吉野家は「焼味豚丼」のクーポン券が奏功か、売上プラス1.7%…牛丼御三家売上:2012年3月分

2012/04/09 06:45

[吉野家ホールディングス(9861)]は2012年4月5日、同社の子会社である牛丼チェーン店吉野家の2012年3月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でプラス1.7%となった。牛丼御三家のうち[松屋フーズ(9887)]が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年3月における売上前年同月比はプラス0.2%、[ゼンショー(7550)]が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス0.6%の動きを見せている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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吉野家のこの1、2年での動向を確認すると、同社では2010年9月から、メインメニューの牛丼より安価な「牛鍋丼」を発売、これが売上高アップに大きく貢献した(同月の売上高は前年同月比でプラス5.9%を記録している)。しかしその後は大きな新商品展開のイベントなども無く、オプション的メニュー「小鉢」も大きな影響は与えていなかった。そして【吉野家でカレー…吉野家から「こく旨カレー」「旨辛カレー」登場】にもあるように2011年8月から「こく旨カレー」「旨辛カレー」の発売を開始。さらにトッピングとしてチーズも登場させている。

2011年9月には昨年発売した「牛鍋丼」をリニューアルすると共に、「追っかけ」のバリエーションを変更(【吉野家、「牛鍋丼」を新味に・「おくらとろろ」「とろりチーズ」を「追っかけ」に追加】)。これらの動きを受けて客単価は大きく上昇していたものの、11月にはそれも失速。昨月2011年12月分では【吉野家の「焼味豚丼 十勝仕立て」 、販売累計数300万食突破】にもある通り同年12月8日から発売を開始した新メニュー「焼味豚丼 十勝仕立て」 が好評を博して客数・売上共に5か月ぶりに前年同月比でプラスに転じた。

今回の2012年3月分では2月分から転じて売上をプラス圏に切り返している。同月では【吉野家の「焼味豚丼」「豚焼定食」合わせて1000万食突破、みそ汁とのセットでの割引クーポン配布】で伝えているように、「焼味豚丼」のクーポン券を大規模に展開しており、これが少なからず貢献したように見える。

↑ 牛丼御三家2012年3月営業成績
↑ 牛丼御三家2012年3月営業成績

昨年夏以降「復調」「本格的な回復はまだ先」という表現を重ねていた吉野家の客数だが、2011年12月分でようやく前年同月比プラスを記録。その後またマイナス圏に沈んだが、今回3月は再びプラス。「前年同月の2011年3月における」前年同月比はプラス0.8%だったことを考えると、現状維持プラスαの域まで手が届いた感はある。

松屋の豚めし復活の動き松屋は客数と客単価のバランスを取る姿勢が巧みで、客単価が不調気味でもその分客数がカバーをし、売上高を積み増し、安定的な売上を継続している。今回3月分では【松屋は豚めし復活 松屋、「豚めし」を3月8日から期間・数量限定で販売】で豚めしの限定復活、【松屋、15日から「豚焼肉定食」「豚生姜焼定食」を値下げ】による定食アイテムの一部定価引き下げなどが行われているが、後者などでやや客単価は落ちたものの、その分双方のイベント的な動きで客数は大きく上乗せできた結果が出ている。

一方すき家は昨月に続き今月も前年同月比の売上がマイナス。1年前の冬期における「(その時点から一年前の)客数大幅増加に伴う反動期間」はすでに過ぎているが、未だに競合他社と比べて足踏み状態が続いている。なお同社は2009年に入ってからほぼ毎月、前年同月比での客単価でマイナスを記録している(プラス月は3回のみ)。客単価を押し下げてでも客数を伸ばし、売上を底上げする方針に見えるが、一方面の戦略のみで進んでいることの弊害が出ているように見える。救いなのは2010年と比べて、2011年以降は客単価の減少ぶりが、多少ながらも落ち着きを見せていることか。

先日の【2012年2月度のチェーンストアの売上高、前年同月比プラス0.3%】でも書き記しているが、チェーンストア(デパートやスーパー)では2月の時点でも、「和牛は相変わらず不調、さらに豚肉も不調だが、鶏肉は堅調」という動きが確認できる。とはいえ昨今の動きは「震災」の影響よりも「生肉商品」の問題を起因とするところが大きく、牛丼御三家のビジネスとは関係の無い話ではある。

3月分を各社一言ずつでまとめると「吉野家…客単価が貢献し売上はプラス」「松屋…客単価は落ちるも、それ以上の客数増でわずかに売上プラス」「すき家…ほぼ横ばい(やや軟調)」という形になる。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年3月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年3月)

すき家の成長戦略の基本のように見える「客数増加」は昨年頭から歩みがゆっくりとしたものになり、2011年8月以降はギリギリプラスを維持していた。そして2011年12月分以降はマイナスに転じたまま。上記にある通り、すき家は継続的な客単価減少傾向にあるため、客数の増加でしか売上のアップを見込めない状態のため、客数の減少は他の2社以上に大きな影響を与え得る。

店舗数比較では、すでにすき家がはるかに吉野家を超える形で推移している(【牛丼御三家の店舗数推移をグラフ化してみる(2011年12月版)】)。そして今でもすき家の拡大戦略は続いているものの、昨今では歩みをゆるやかなものにしている。一方で松屋は昨年後半以降、積極的な店舗展開を進めているように見える。吉野家だけでなく、すき家・松屋もまた、少しずつ、そして確実に大きなかじ取りをしはじめたようだ。

これらの動きが営業成績とどのように関連してくるか、気になるところではある。

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