震災で強まる社会参加意識、「自らの社会貢献」項目では男女逆転現象も
2012/04/05 06:40


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今調査は2012年2月14日から20日にかけて携帯電話を利用したインターネット経由で20-59歳の男女に対して行われたもので、有効回答数は6000人。世代構成は20代・30代・40代・50代で均等割り当て。男女比は1対1。
東日本大地震・震災を経て人々の心理心境に大きな変化が生じたことは、【震災を経て強まる「他人への配慮」】をはじめ複数の記事でお伝えした通り。今件では「社会参加意識」にスポットライトを当てることにする。まずは主要項目について、震災前後の変化を聞いた結果が次のグラフ。震災後に一括して聞いたことも事由の一つだが、どの項目も多かれ少なかれ積極姿勢側に動いているのが分かる。

↑ 社会参加意識の変化(当てはまる派=「当てはまる」「やや当てはまる」の合計)(質問は震災後に一括)
中でも「自らの社会貢献」「エネルギー」「居住地域の災害対策」については震災前後で約2倍の積極姿勢が見受けられる。いずれも震災に直接関わり得る項目で、震災で実体験したか、あるいは見聞きして必要性を強く覚えたかによる反応と考えれば納得はいく。
特に女性は男性以上に大きな反応を示している。次に挙げるのは「政治への強い関心を抱いているか」の項目における男女別結果だが、震災前は女性の意識は男性と比べてかなり低い水準だったのに対し、震災後は男性に肉薄する水準にまで高まっている。

↑ 社会参加意識の変化・政治への強い関心(当てはまる派=「当てはまる」「やや当てはまる」の合計)(質問は震災後に一括)(男女別)
女性の積極姿勢の高まりは「自分自身の社会貢献」の面で、顕著な動きが確認できる。震災前後で男女の値が逆転し、女性は男性以上に自分自身の社会貢献、例えば「助け合いの気持ちの体現化」に強い意志を持つようになっている。

↑ 社会参加意識の変化・自らの社会貢献(当てはまる派=「当てはまる」「やや当てはまる」の合計)(質問は震災後に一括)(男女/世代別)
世代間の差異はほとんど無く、震災後も大きな世代間の違いにおける状況変化は見られない(壮齢層がやや高めという点でも震災前後で変化なし)。やはり男女の差異が特徴的なのが一目瞭然。
これは【人との絆の深まり、助け合い・自立心の向上…震災を経て変化した人の想い】や【女性が高め、高齢者は長め…本震後の自粛意識傾向】でも触れているが、女性は男性よりも人の生存本能・防衛反応的な作用が大きく働く傾向があり、結果として強い反応を示したものと考えられる。
今回のような結果を単なる「反応」と見れば、時間の経過と共に状況は沈静化し、数字は震災前の水準に近づいていく。しかし場合によっては数字はある程度高い水準を維持したままになる可能性もある。社会の動向を左右しうる傾向なだけに、その動きが気になるところだ。
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