ブルガリア、イタリア、スウェーデンも増加・スペイン若年層の失業率50%を超える…EU失業率動向(2012年2月分)

2012/04/05 06:50

以前【EU統計局(Eurostat)】で毎月発表している、失業率関連の統計データの最新版を確認の上、その内容を記事として精査した。それ以降毎月、EU統計局の発表資料を元にして最新の情報の確認をチェックしているが、今回はその2012年4月2日発表・同年2月分の値について各種グラフを更新し、状況の把握を行うことにした(該当リリース:【February 2012 Euro area unemployment rate at 10.8%(PDF)】)。

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文中・グラフ中にあるEA17やEU27については一覧ページ【ヨーロッパ諸国の失業率動向(EU統計局発表)】上の解説部分を参考のこと。

ILO基準における2012年2月時点の発表データによる失業率は次の通り。なおこのグラフもあわせ今記事では、直近2月分のデータが未掲載(調査途中)の場合、原則としてその前の月分のデータを代用している。

↑ 2012年2月時点での失業率(季節調整済)
↑ 2012年2月時点での失業率(季節調整済)

スペインは相変わらず20%強の値を示し、ギリシャもほぼ2割。たかだか一か月ほどで状況の大きな変化があろうはずもない。そして、やはり債務問題でしばしば報道に登る国が上位についている状況を見ると、失業問題と経済・債務問題が密接な関係にあることが推測できる(特にギリシャは事実上のデフォルト状態にあり、別次元の話に達している)。

今回も前回同様、前月(2012年1月)の値との差異を計算し、グラフ化を行う。失業率については(次の若年層周りでも同様だが)、国によって細かい修正が過去にさかのぼって行われることがある。そこで前月比の算出の際に、今回計測月より前の月のものでも、最新のデータへ差し替えられているものがあれば(今回の場合は2012年1月分が該当)、新しい値を入力し直した上で計算を行う。

↑ 失業率変化(プラス=悪化)(季節調整済・2012年1月→2012年2月)(またはデータ最新一か月前→最新)
↑ 失業率変化(プラス=悪化)(季節調整済・2012年1月→2012年2月)(またはデータ最新一か月前→最新)

最初のグラフでワースト2に挙げられたスペイン・ギリシャが、共に前月から大きく値を上げており、失業状況の悪化が進んでいることが分かる。

そして冒頭にあるように、特に問題視されているのが、若年層の失業率。25歳以下の失業率はEA17か国で21.6%・EU27か国でも22.4%を記録しており、5人に1人以上が失業状態。特にスペインの50.5%、ギリシャの50.4%(2011年12月)を筆頭にポルトガルやリトアニアなど、経済的に弱い国や労働市場での問題点を抱える国での高さ、急激に経済が冷え込んだ国の失業率増加が確認できる。

↑ 2012年2月時点での25歳以下の失業率(季節調整済)(2月データが無い国は直近分)
↑ 2012年2月時点での25歳以下の失業率(季節調整済)(2月データが無い国は直近分)

↑ 2012年2月時点での25歳以下の失業率・前月比(季節調整済)(2月データが無い国は直近分)
↑ 2012年2月時点での25歳以下の失業率・前月比(季節調整済)(2月データが無い国は直近分。前月比が取得できない国は空欄・数字無し)

若年層失業率は国によって取得タイミングが異なるようで、今回分のレポートでは2012年2月分とその直前月1月分双方が掲載されておらず、最新の値が2011年12月、その前が2011年2月という国が複数存在している。2計測値の期間が1年近く開いており、単純比較ができないため、それらの国の前月比は空欄扱いとしている。前月比が確認できる範囲では、ブルガリア、イタリア、スウェーデンの若年層失業率が1ポイント内外で増加しており、気になる動きを見せている。

各国とも総じて若年層の失業率が高いのは、産業構造の変化、そして若年層が手掛けることが多い「技術が未習得で比較的容易な作業」が機械化されたり、為替レート上で相対的賃金の安い新興国に割り振られるのが主な要因。

さらに債務問題により国レベルで財政が悪化しており、その対策として緊縮財政をとったこともあり、国内の産業が冷え込み、経済は低迷。当然、労働市場も緊縮化してしまう。その上、高齢化により就労年齢が上がっていることから、必然的に「席が空かない」状態になり、若年層が割を食う事態に陥っている。

それに加えて意図してか、結果論なのかは判断が分かれるが、【欧州の若年失業問題の整理に役立ちそうな記事】の例にあるように、「高齢者優遇」「若者冷遇」の雇用対策の結果(労働者の権利を手厚く保護するため、業績が悪化しても容易に現行労働者の解雇はできず、必然的に若年層を雇う余裕はこれまで以上に無くなる)が、若年層の失業率増加の大きな起因となっている。

日本でも2011年分の速報として労働力調査の最新データが公開された。これを受けて【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2011年版)】などを記事化したが、若年層の状況はやや改善したものの、やはり他世代と比べれば高い失業率は維持されたまま。労働市場、失業対策においては「他国と比べればマシだから我慢するように」では無く、「低い国々から有益な手法を学び、自国の状況改善に役立てられるかを検証」し、積極的かつ先行きが明確に明るい見える政策を「切実に」求めたいところだ。

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