iPodやスマホで伸び続けるネット、落ちるモバイル…「着メロ」「着うた」などの有料音楽配信販売数と売上動向(2012年発表)

2012/04/02 07:00

日本レコード協会は2012年3月29日、「日本のレコード産業2012」を発表した(【発表リリース】)。同協会調査による2011年のレコード・音楽産業の概要を網羅した資料で、音楽業界の動向を多方面から検証することができる、現時点では最新かつ綿密な資料である。今回はこの資料のデータの中から、「着メロ」「着うた」などの有料音楽配信販売数と売上をグラフ化して精査した記事の様式を踏襲する形で、「着うた」「着メロ」などをはじめとする、有料音楽配信の売上件数と売上額をやや細密に区分した状態でグラフ化してみることにした。

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悪環境の中でも奮闘し、全体の不調を支え切るまでには至らないものの、音楽業界の中でもその存在価値を確かなものとしている有料音楽配信。その大部分は「現時点では」携帯電話に代表されるモバイルが担っている。それではインターネットとモバイルそれぞれにおいて、売上件数と総売上はどのように推移しているのか。まずはインターネット部門の結果をグラフ化したのが次の図。

↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(インターネット、数量は万回、金額は億円)
↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(インターネット、数量は万回、金額は億円)

グラフを見ると、2005年第2四半期まではほぼ横ばいだった売上件数・額が同年第3四半期から突然動機付き、何度かの踊り場を挟んで大きく躍進を見せている状況が確認できる。これは2005年8月にアップル社のインターネット音楽配信サービス「iTunes」がスタートし、多くの人が利用し始めたことを起因とする。巨大なコンテンツの供給場登場で、市場が一気に花開いた形だ。

2010年においては、第2四半期にやや落ち込みを見せてはいるが、以降再び上昇を開始している。音楽業界全体の売上が大きく落ち込む中、iPodをはじめとする携帯デジタル音楽プレイヤーの浸透が進んでいることによる、セールスの確かな進捗ぶりが確認できる。

さらに2011年に入ると上昇傾向が確実なものとなり、上昇カーブも大きくなっている。これはスマートフォンの急激普及促進に伴い、それを用いたコンテンツ利用者が増加しているのが原因。スマートフォンの普及は、音楽業界、特に有料音楽配信の世界にも大きな動きをもたらしている。

一方モバイルはインターネット以上に興味深い展開を見せている。

↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(モバイル、数量は万回、金額は億円)
↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(モバイル、数量は万回、金額は億円)

まずは聞きなれない用語の説明について。

・Ringtunes……着うた
・Ringback tunes……呼び出し音(メロディーコールなど)
・シングルトラック……着うたフル

これを元に、図から見える「モバイルの」傾向などを箇条書きにすると次のようになる。

・売上高は2008年、件数は2007年をピークに横ばい。件数はわずかに漸減傾向を見せていたが、2010年以降は両者とも顕著に減少している。
・2011年は減少傾向が加速している。ただし「Ringback tunes(呼び出し音)」は一定の水準を維持している。
・「着うた」「着うたフル」は販売件数が漸減。特に「着うた」の減り方が著しい。

今年はまだ分析に取りかかっていないが、今年2月に発表された【2011年度音楽メディアユーザー実態調査】に目を通すと、iPodなどのデジタル携帯オーディオプレイヤーや、iPhoneなどのスマートフォン利用者による音楽視聴事例が増えており、これが音楽業界に大きな変化をもたらし得る動きを示している。上記でも触れている通り、モバイル分野はスマートフォン(=インターネット)分野に言葉通り「食われつつある」状況と見てよいだろう。



躍進を続けていたモバイル向け有料音楽配信サービスも、不景気と市場の飽和状態、そして新世代のモバイルともいえるスマートフォンの普及を受け、漸減傾向にある。一方で金額的な市場規模はまだモバイルの数分の一でしかないが、パソコンやスマートフォンによるインターネット分野は確実に領域を拡大している。デジタル音楽市場における「全部聴けるのなら各種デジタルサービスを利用し、CDは買わなくていいネ」との状況は以前から変わるところは無いものの、その内部構造が大きな変化を迎えている雰囲気はある。

iTunes Store少子化や携帯電話の買い替え需要の安定化により、利用者数そのものの伸びが期待できない今、利用件数を2005年や2006年の時期のようにモバイル端末の利用者(=市場)を伸ばすのは難しい。そして今後携帯電話のハードにおける販売展開では確実にスマートフォンの伸びが期待できる以上、「携帯電話内で完結する着メロ・着うた(フル)」よりも、「パソコン、スマートフォン、デジタル携帯オーディオプレイヤー間でデータを共有できる、インターネット上の音楽配信」が注目を集め、今まで以上に利用頻度が高まるのは当然至極の流れ。

【収録曲1100万曲・DRMフリー…アマゾンで「Amazon MP3 ダウンロード」がオープン】で紹介したように、大手通販サイトでも積極的に音楽データを販売する動きが活発化している。CDやDVDのような物理媒体以上に注目を集める有料音楽配信の中でも、新たな胎動が起きていると見て間違いあるまい。

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