少しずつ、確実に増す生活の厳しさ…エンゲル係数の推移をグラフ化してみる

2012/04/04 12:00

食費総務省統計局から2012年2月17日に発表された【家計調査報告(家計収支編)平成23年(2011年)平均速報結果の概況】を基に、先日から【年金生活をしているお年寄り世帯のお金のやりくりをグラフ化してみる(2011年版)】にあるように、昨年の「家計調査報告(家計収支編)」を元に執筆した記事についてデータを更新したり、今回の発表資料で気になる動きなどについてグラフ作成と事象の検証を行っている。今回は同レポート内「最近の家計消費の特徴(二人以上の世帯)」から、「エンゲル係数の推移」について見て行くことにする。

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エンゲル係数」とは消費支出に占める食料品の割合を意味する。具体的には

・(実)収入……世帯主の収入(月収+ボーナス臨時収入)+配偶者収入など
・支出……消費支出(世帯を維持していくために必要な支出)
     +非消費支出(税金・社会保険料など)
     +黒字分(投資や貯金など)
・エンゲル係数……食料費÷消費支出

となる。元々エンゲル係数そのものはドイツの社会統計学者エルンスト・エンゲル(Ernst Engel)が提唱したもので、「家計の消費支出に占める飲食費割合が高いほど生活水準は低い」という説に基づいている。よほどの富裕層(そしてそれらはごく少数)でない限り、食費の額に大きな違いは出ず、一方で食費そのものはどの家庭でも必ず発生する。よって、全体の支出に占める比率は、消費支出そのものが大きくなるほど低くなる・食費以外の項目に割り当てられる額が大きくなるという考え方。

現在では商品価格の水準や生活様式が同じもの同士でないと比較にならない、農村部の住民は自前で主食や野菜を自給出来る(割合が高い)ので必然的にエンゲル係数が低くなる、さらには住居費も合わせて考えるべきだとの意見もあり、以前ほど重要視されてはいない。しかしそれでも一定の参考値になる値なのにも違いない。

そのエンゲル係数だが、二人以上世帯に限定した推移が次のグラフ。定義に従えば生活が苦しくなるほど上昇する傾向を見せるが、この10年では2005年を底値に少しずつ値を積み増しており、その定義通りの動きを示しているのが分かる。

↑ 世帯主の年齢階級別エンゲル係数の推移(二人以上の世帯)
↑ 世帯主の年齢階級別エンゲル係数の推移(二人以上の世帯)

縦軸の区切りが0.2ポイントと小さめなことから、2-3年程度の動きでは誤差の範囲とも判断できる。しかしこの10年間の動きを見る限りでは、動きそのものは小さいものの、景気に連動している様子が見て取れる。特に2007年以降の金融危機からリーマンショックによる上昇、景気回復感による逓減、そして東日本大地震・震災や失政での急激な再上昇など、注目すべき動きが確認できる。

これを世帯主の世代別に仕切り直したのが次のグラフ。

↑ 世帯主の年齢階級別エンゲル係数の推移(二人以上の世帯)(世帯主世代別)
↑ 世帯主の年齢階級別エンゲル係数の推移(二人以上の世帯)(世帯主世代別)

元々エンゲル係数は高年齢世代ほど高い傾向にある。中堅世代の子持ち世帯は子供への出費が(食費以上にそれ以外の負担が大きい)増え、消費支出も大きい。一方高年齢世代は年金生活者がメインのため、消費支出が小さく、当然食費が占める割合も大きくなるからだ(「年金生活をしているお年寄り世帯のお金のやりくりをグラフ化してみる(2011年版)」も参考のこと)。青系統色の折れ線グラフの高位置がそれを表している。

各世代動向を見ると、全体値に近い動きを見せているものの、2010年から2011年の大きな上昇(≒生活の悪化)を別にすると、30代以上はほぼ横ばい、むしろ減少する局面もあったことが分かる。一方30歳未満に限れば2008年以降一貫して上昇しており、この10年間でほぼ2ポイントほどの上乗せが確認できる。この10年間、特に直近3、4年における、若年世代の景気悪化感は他世代を大きく上回っていることが容易に想像できる。



世代間格差は時間・経験による蓄積を考慮すれば、ある意味当たり前の部分もある。一方で昨今の動向はそれだけでは説明できない面もあるとの主張も少なくない。少なくとも今件は「若年世代層ほど、日常生活におけるお金のやりくりが厳しくなりつつある」状況を裏付ける一つの資料として、覚えておかねばなるまい。

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