震災と電気代の関係

2012/04/03 12:10

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スイッチ総務省統計局が2012年2月17日に公開した【家計調査報告(家計収支編)平成23年(2011年)平均速報結果の概況】をベースに、【年金生活をしているお年寄り世帯のお金のやりくり(2011年版)】の記事に代表されるように、昨年の「家計調査報告(家計収支編)」を元に執筆した記事のデータ更新、そして今回の発表資料の中で気になった動きなどを下地にグラフ作成と事象の検証を行っている。今回は同レポート内「最近の家計消費の特徴(二人以上の世帯)」から、「東日本大地震・震災と電気代の動向」について見て行くことにする。


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2011年3月に発生した東日本大地震・震災は直後のインフラにおける物理的損壊による電力供給量の絶対的な不足、その後失策などを要因とした発電力の漸減による慢性的な電力不足が続いている。特に2011年夏は法的拘束力を伴う電力使用制限令も発せられ、人々の節電意識は大きな高まりを見せた。

このような状況下における、電気代の前年同月比推移をグラフ化したのが次の図。2011年4月以降マイナス値が続いており、いかに電気代が節約された、というよりは電力使用量が減っているかが分かる。なお今件グラフは「電気代」の変移であり、実際の電力使用とは一か月ずれが生じている(例えば2011年9月の電気代は前年同月比マイナス16.8%だが、これは9月ではなく8月の電力使用に対する電気代である)。

↑ 電気代の月別支出金額及び購入数量の対前年同月増減率の推移(前年同月比、二人以上世帯)
↑ 電気代の月別支出金額及び購入数量の対前年同月増減率の推移(前年同月比、二人以上世帯)

【8月利用分電気代は2割増…2010年の酷暑が分かる光熱費推移】でも触れているが、2010年夏は「猛暑」ですら生ぬるさを覚える(「酷暑」という独自表現を用いた程)暑さだったこともあり、大きく電力量が跳ね上がっている。結果として2011年では節電による前年同月比が、大きなものとなっているのが分かる。

また2011年夏に発令された電力使用制限令では、一年前の最大電力より15%減少が目標となっている。今グラフは「電力量・電気代」で、しかも「一般世帯」であって電力使用制限令の対象となった大口需要家では無いが、「前年同月比15%減」は果たせていることが見て取れる。

現時点では電力使用がまだ少なめの季節のため、電力需給で切迫した感は薄い。しかし東日本大地震・震災から一年が過ぎた今年の方が、むしろ電力需給の数字的危機感は強い。昨年の電力需給の厳しさが「震災」によるものだとすれば、今年の夏における厳しさは(そしてそれはほぼ確実といえる)むしろ「人災」「政災」によるところが大きい。沖縄電力を除く、電力・電力卸会社11社が、普段なら毎年行っている「今後10年間の電力供給計画」を未定のまま提出するという、異例な事態となったのも、むべなるかなという感は否めない。


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