社会保障維持拡充のための財源、「法人税」が8割でトップ、「消費税」は6割強

2012/04/05 12:00

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財源計算連合は2012年3月30日、セーフティネットに関する意識調査結果を発表した。それによると調査母体においては、現在の税・社会保険料負担のままで、社会保障水準を維持できないとする人は7割を超えていることが分かった。このような状況下で社会保障の維持充実、財政健全化を実現するため、どこに財源を求めるべきかとの問いには、「法人税」との回答が最も多く8割を超えていた。次いで「社会保障以外の歳出削減」「経済成長による税収の自然増」が続く。消費税へ財源を求める人は6割、相続税は5割を超えている(【発表リリース、PDF】)。


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今調査は2012年2月2日から7日にかけて携帯電話を使ったインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1、世代構成比は20代・30代・40代・50代・60歳以上で均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。

「社会保障(医療や健康保険、年金、介護、妊娠・出産・育児支援、雇用などで受けられるサービス)」を展開するには社会的リソースが必要で、それには税や各種社会保険料の負担が求められる。今調査項目では「現在の負担」のまま「現在の社会保障給付水準」を維持できるか否かを聞いているが、肯定派は4%しかいない。

↑ 現在の税・社会保険料負担のまま、現在の社会保障水準を維持できると思うか
↑ 現在の税・社会保険料負担のまま、現在の社会保障水準を維持できると思うか(再録)

そこで現状維持、拡充のためには財源(社会的リソース)の確保が必要になる。今件ではそれをどこに求めるかについて尋ねているが、もっとも多くの人が同意を示したのは「法人税」で81.9%。次いで「社会保障以外の歳出削減」で79.7%となった。

↑ 社会保障改革や社会保障の充実、財政健全化を実現していくために、財源をどこに求めていくべきだと思うか(適切派回答率)
↑ 社会保障改革や社会保障の充実、財政健全化を実現していくために、財源をどこに求めていくべきだと思うか(適切派回答率)

「法人税」「社会保障以外の歳出削減」が上位についているのは、一つに「社会保障」とはあまり関係が無い分野なこと、そして回答者の立場からは一定の距離が置かれていて縁遠い存在であることがうかがえる。一言で表現すれば「社会保障を受ける自分には、あまり関与しないところに負担してもらおう」とする考え方といえる(双方とも巡り巡って自分自身にかえってくるのだが)。

「経済成長による税収の自然増」が7割強、続いて「所得税」「消費税」が続く。「社会保険料」「利用者の自己負担」など、自己責任部分への回答率は”比較論”ではあるがさほど高く無い(それでも半数以上が同意を示している)。

これらのうち昨今話題に登ることが多い、「消費税」「所得税」について属性別に見た結果が次のグラフ。

↑ 社会保障改革や社会保障の充実、財政健全化を実現していくために、財源をどこに求めていくべきだと思うか(適切派回答率)(消費税)
↑ 社会保障改革や社会保障の充実、財政健全化を実現していくために、財源をどこに求めていくべきだと思うか(適切派回答率)(消費税)

↑ 社会保障改革や社会保障の充実、財政健全化を実現していくために、財源をどこに求めていくべきだと思うか(適切派回答率)(相続税)
↑ 社会保障改革や社会保障の充実、財政健全化を実現していくために、財源をどこに求めていくべきだと思うか(適切派回答率)(相続税)

まず消費税だが、40代の凹みがやや気になるものの、それ以外はほぼ押し並べて均一で、世代間の思惑の違いはほとんどない。男女間にも差異は見られない。

一方相続税では世代によってやや違いが見受けられる。やはりこちらも40代の凹みが気になる(40代は税負担そのものへの忌避感が強いようだ)ものの、それを除けば相続を真剣に考えざるを得なくなる高齢世代ほど、高い値を示している。やはり身近な問題にならないと、真剣に考えないということなのか。あるいはうがった見方だが「子供相続させるよりは、自分自身にかえってくる社会保障の充実に充てた方が良い」と考えているのかもしれない(【高齢者の7割強は「子の世話無しでいいから、財産は自分で使い切る」】という話もある)。

「社会保障」は「個人負担」と一対のもので、「社会保障」の不足分は我慢するか「個人負担」で補う事になる(医療費の保険分と自己負担分が良い例)。社会保障の維持増大のために、個人負担分に充てるリソースが「社会保障の増加分以上に」減らされ、最終的に生活の質が大幅に低下したのでは割に合わない話となる。今件では主要項目の財源先(=その方面の負担増)賛成派が過半数を超えているが、これはあくまでも「最適に財源が使われる」ことを前提としたもの。明確な目標も無く、憶測ばかりの計画では、同じような結果は出ないことを書き加えておく。


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【年金や保険の「払い損」的な不公平感、世代間で大きな格差】


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