収入と税金の変化をグラフ化してみる(2011年分反映版)

2012/03/29 06:50

公租公課徴収総務省統計局は2012年2月17日、【家計調査報告(家計収支編)平成23年(2011年)平均速報結果の概況】を発表した。そこで先日【年金生活をしているお年寄り世帯のお金のやりくりをグラフ化してみる(2011年版)】で記したように、昨年の「家計調査報告(家計収支編)」を元に執筆した記事のデータ更新や、今回の発表資料で目に留まった動きなどを元にしたグラフ作成と事象の検証を行っている。今回は収入と税金の変化をグラフ化し精査した記事について、最新の2011年版にデータを差し替え、再構築することにした。

スポンサードリンク


今件データは総世帯(単身+二人以上)のうち勤労者世帯の平均値(つまり勤労収入が無く蓄財や年金などで生活している世帯などは含まれない)を算出したもの。平均世帯人員は2.79人・世帯主平均年齢は45.6歳(2011年データ、以下同)。また、実収入は1年に得た各種収入(世帯主と配偶者収入)の合計を12で割った、つまり一か月の平均値なので、ボーナスなどは月単位で分散加算されている。宝くじや保険金、退職金などの特殊事情による収入は除外してある。さらに「実収入」は「非消費支出(税金や社会保険料)」と「可処分所得」(自由に使えるお金)に分けられる。

・(実)収入……世帯主の収入(月収+ボーナス臨時収入)+配偶者収入など
・支出……消費支出(世帯を維持していくために必要な支出)
     +非消費支出(税金・社会保険料など)
     +黒字分(投資や貯金など)
※可処分所得=「収入」-「非消費支出」

まずは実収入と、非消費支出・可処分所得の推移を見ることにする。

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得の推移(円)(総世帯のうち勤労者世帯)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得の推移(円)(総世帯のうち勤労者世帯)

2000年以降減り続けた「実収入」だが、2004年-2005年を底値にようやく上昇の兆しが見えていた。しかしリーマンショックの2009年で大きく下落。以降は低迷を続けている感が強い。実際に自由に使えるお金「可処分所得」は 2000年と比べて3万円近く減ったまま、2008年あたりまでほぼ横ばいを続けたあと、やはり2009年で大きく下落。その後は低迷したままとなっている。要因としては「実収入」が減っているに加え、「非消費支出」の圧迫感が強い。

これらの動向がより分かりやすくなるのが次のグラフ。「実収入」に占める「非消費支出」こと税金や社会保険料の割合の変化を示したものだが、実収入が減少を続けた2004年-2005年までが横ばいだったのに対し、2006年から急激に割合を増やしているのが確認できる。2010年から2011年は0.2ポイント増加しており、これが可処分所得の減少につながっている。

↑ 実収入に占める非消費支出の割合(総世帯のうち勤労者世帯)
↑ 実収入に占める非消費支出の割合(総世帯のうち勤労者世帯)

↑ 実収入に占める税金や社会保険料比率
↑ 実収入に占める税金や社会保険料比率

累進課税・上限値の設定などもあり完全な比例関係にはないが、一般的に収入が増えればその分税金や社会保険料も増加する。額が増えても収入に占める割合そのものはそれなりに定率になるはずなのだが、この数年においては「平均的なモデルの世帯では」公租公課の負担「割合」が増えている。率にして1-2ポイント。この上昇分が、2008年あたりまでの「収入が増えても使えるお金が増えない」、それ以降の「収入が減った以上に生活が厳しいように思える」という事態を招く一因となっている。特に2008年以降は実収入の減少もあって直接税が占める比率は減ったものの、それ以上に社会保険(額・)比率が増加し、結果として非消費支出が増えているのが分かる。

「可処分所得が増えなくても物価が安定していれば同じ水準で生活できるはず。物価が下がれば生活はむしろ楽になるのでは?」という意見もある。【過去60年にわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる】にもあるように1990年代以降は消費者物価指数はほぼ横ばい、あるいは減少の傾向を見せている。直近2年間のデータに限っても(【平成17年基準 消費者物価指数 全国平成22年平均】から、主要指数と食料指標を月次ベースで取得)、安定した動きを示しているのが分かる(食品はややぶれが大きいが……)。

↑ 消費者物価指数(CPI)動向(2010年=100)
↑ 消費者物価指数(CPI)動向(2010年=100)

この2、3年は「収入が減り、それに伴い直接税も減った。しかし社会保険料は増え、結果的に可処分所得は減少した」状態。物価が安定していても使えるお金が減っているのだから、生活が厳しくなって当然ではある。



2005年以降の公租公課の増加原因については先の記事で解説しているが、年金・社会保険料の漸増が続いている事、定率減税の撤廃が大きな要因。また今回追加した2011年分もあわせ、2005年以降社会保険料が(実収入が減っても)確実に増加し、結果として可処分所得が目に見える形で減少している点に注目したい。「定率減税の撤廃」「リーマンショック」のような大きな経済的イベントは、確実に世帯のお金事情に影響を与えていることが改めて認識できる。

一方で直近の2011年においては、金融危機の開始である2007年、リーマンショックの2009年から比べれば、いくぶん景気の回復感は見られるはずではあったが、相次ぐ経済面での失策や東日本大地震・震災の影響が色濃く出ており、2000年以降では「実収入」「可処分所得」で最低額、「社会保険料」では最高額を示している。どのよう報道がなされているのはか別として、少なくとも数字の上では生活の厳しさは(直近では「実収入」「可処分所得」共に減少を始めた)2009年-2010年以降、確実に進行しているようだ。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2018 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー