年金生活をしているお年寄り世帯のお金のやりくりをグラフ化してみる(2011年版)

2012/03/28 12:10

先に【団塊世代男性の年金受給者8割近く・個人年金は1/4、「まだ働いてる」は約6割】などで高齢世帯の生活状況に関する記事を展開した際に、年金生活をしているお年寄り世帯のお金のやりくりをグラフ化した記事を参照した。この記事の元データとなる【家計調査報告(家計収支編)】が、2012年2月17日の時点で最新版・2011年分のものに更新されていることが分かった。そこで今回は「年金生活を-」の記事の各値を最新のものに差し替え、グラフなどの再構築を行うことにする。

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人によっては生涯現役の人(自営業や企業役員)、あるいは一度定年を迎えて再就職を果たす人もいるが、多くの人は60-65歳で定年を迎え、その後はそれまでの貯蓄を切り崩したり、年金(今件各項目では「社会保障給付」に相当)で日々の生活をやりくりすることになる。「家計調査」では実例として、2011年における平均的な「60歳以上の単身無職世帯(元々独身か、相方に先立たれたか離別して一人暮らしをしている60歳以上の無職の人)」「高齢夫婦無職世帯(夫は65歳以上、妻は60歳以上でその世帯には二人きり・無職)」それぞれのパターンにおける家計収支が描かれている。そのうち収入面を抽出したのが次のグラフ。

↑ 高齢者世帯の家計収支(収入面、2011年)
↑ 高齢者世帯の家計収支(収入面、2011年)

例えば単身世帯の場合は年金が約11万2000円。それに加えて毎月1万円ほどの収入(「無職」が前提なので、利息なり証券の配当などだろう。あるいは不動産収入も平均化された上で加算されているはず。ただし【「年金」「給料」「私的年金」…60代前半シニア層の三大主要収入】の通り、「仕送り」や「資産収入」を収入としている人は少数でしかない)。あわせて約12万円が実質的な収入。しかし非消費支出(税金・社会保険料など)と消費支出 (世帯を維持していくために必要な支出)は合わせて15万2422円のため、足りない3万0783円をねん出する必要がある。基本的にはグラフの説明にあるように、これまで貯めてきた貯蓄からの切り崩しで充当される。

同様に高齢夫婦無職世帯の場合は、年金が約20万円強、その他の収入が約1万5000円。貯蓄の切り崩しが4万円強で合わせて26万4866円が、月あたりの入金合計額となる。

注意すべき点は、どちらのパターンの世帯でも、収入に対して毎月2割強の貯蓄切り崩しをしていること(単身無職世帯ではむしろ3割に近い)。支出面のグラフ化は、例えば60歳以上単身無職世帯の場合は次のようになる。非消費支出がこれとは別に1万1552円(2011年の場合)発生していることに注意されたい。

↑ 60歳以上の単身無職世帯における消費支出の内訳(2009-2011年)
↑ 60歳以上の単身無職世帯における消費支出の内訳(2009-2011年)

これを見ても分かるように、新たに貯蓄をしていることは無いので(使うお金が足りないから貯金をおろしている状態で、同じ月に同じ口座へ貯金をするのは非論理的)、一方的に貯蓄額が減ることになる。

また前年との違いを見ると、食費比率が再び増加、「交際費」や「教育娯楽」などの比率が減少している。総額が減っていることを合わせて考えると、エンゲル係数(食料費÷消費支出)の増加から生活全般が厳しくなっていること、そして収入減少分を自分の趣味趣向などの楽しみを削ることで調整しているようすがうかがえる。

前回の記事同様、今回も「貯蓄率」は大きな問題ではないので、その項目に関する言及は省略する(一応計算しておくと、単身世帯はマイナス8.0%、夫婦世帯はマイナス22.4%。昨年よりマイナス幅が増大しており、それだけ貯蓄の切り崩し率が増加している、つまり生活が苦しくなっていると見なす指標の一つではある)。

代わりに、高齢者の単身無職世帯と夫婦世帯の支出の違いを見ておくことにしよう。

↑ 60歳以上の無職世帯における消費支出の内訳(2011年、単身と夫婦)
↑ 60歳以上の無職世帯における消費支出の内訳(2011年、単身と夫婦)

絶対金額では無く、消費支出内の比率の比較なので、そのまま並べるのはやや無理があるかもしれない。しかしながら生活様式の差異を推し量るには十分な精度といえる。

さて各項目を眺めると、「二人分が必要な項目(食料、保健医療)は単身世帯より夫婦世帯の方が比率が上」「二人である程度共用できる項目(住居、光熱・水道など)は単身世帯より夫婦世帯の方が比率が下」という結果が出ている。そのまま約2倍(一人か、二人かの違い)の比率にならないのは、総額が違うから。

これらのことから、少なくとも金銭面では(合わせて上記の貯蓄率の減少幅からも確認できるように)、夫婦世帯の方が余裕のある生活ができているように見える。高齢者関係の論説を読み説く際、この事実を覚えておいて損はあるまい。

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