紙媒体の減退に足踏みか、しかしオンラインは成長鈍化・プラス3%に…米新聞社広告費動向(2011年4Q)

2012/03/26 06:50

日本同様、むしろ日本以上に米国の新聞業界は厳しい状況におかれている。その現状をより詳しく確認するため、部数や広告売上の推移を、同国新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」が公式サイトにて公開しているデータを基に、定期的に精査を実施している。広告費動向は最新データを基に年次分が【アメリカの新聞広告の売上推移をグラフ化してみる(2011年分まで)】にて先日記事にしたが、部数は2012年3月25日時点で未だ古い値のまま。【アメリカの新聞発行部数などをグラフ化してみる(2009年分)】【アメリカにおける日曜版の新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2009年分)】が最新のままとなっている。他方、部数の2011年分更新より先に、広告費の2011年第4四半期分のが(2011年年次分と共に)公開されていることが分かった。今回はこのデータをグラフ化してみることにする。

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データの取得場所や広告の種類に関する説明はまとめ記事【定期更新記事:米新聞社広告費動向(Q単位)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

21世紀への突入以降、2009年までは米新聞の広告収入は右肩下がりだったものの、2010年にはさすがにリバウンド。しかしそのリバウンドも2011年には早くも失速したという流れは、以前の記事でお伝えした通り。

↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率)
↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率、2011年分まで)(再録)

↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)
↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)(2011年分まで)(再録)

「リバウンド」とはいえ、前年比プラスだったのはオンライン(インターネット、以下同)だけで、紙媒体は「マイナス度合いが改善された」に過ぎず、マイナス(前年と比べて減っている)であることに違いは無い。そしてそれらの復調への動きも2011年にはすべて失速している。

そして今回取得した直近四半期こと2011年第4四半期のデータがこちら。せっかくなので直前期1Qも併記しておいた。あくまでもそれぞれは「前年同期比」であることに注意。直前期との比較では無い。つまり季節特性などによる影響は受けない。

↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2011年3Q-4Q)
↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2011年3Q-4Q)

唯一プラスとなっているのは「オンライン広告」だけ。他は全部前年同期比1割前後の減少。総合計「紙媒体+オンライン合計」がマイナス6.69%とマイナス2ケタ台に到達せずに1ケタ台に留まっているのは、オンライン広告の奮闘によるところが大きい。そのオンライン広告も今四半期では成長率が鈍化。他の広告がマイナスを継続しているものの下げ率がいくぶん緩和されたのと合わせ、いつもとは真逆の動きをしており、少々気になるところではある。

ちなみに金額ベースのグラフは次の通り。伸び率ではオンラインが唯一プラスで奮闘しているものの、金額では全体を支えるところまでに成長していないのは、日本の状況とさほど変わらない。

↑ 米新聞の広告収入(四半期区分)(億ドル、2011年4Q)
↑ 米新聞の広告収入(四半期区分)(億ドル、2011年4Q)

米新聞広告関連の記事で繰り返している「オンラインは復調」「紙は低迷・縮小を続ける気配」は今期2011年第4四半期の広告費にも現れている。アメリカの景気はいくぶん持ち直しを見せつつあるようだが、その状況下で最適化、メディアの構造変化は確実に歩みを進めている。さらに直上で言及したように、オンライン広告の伸びにも陰りが見え、「現状の」新聞における広告プラットフォームとしての価値の「さらなる」再評価が行われている可能性が出てきた。

それがより確実に把握できるのが、次の「四半期単位の前年同期比推移」を金融危機が起きる2007年からグラフ化したもの。金融危機以前から紙媒体の低迷とオンラインの堅調ぶりという動きがあり、それが不景気の波にもまれて両者とも低迷。そして上限を抑えられるような形になったものの2009年後期からは戻しを見せるが、紙媒体の戻りは限界を迎えて失速し、再び低迷に向かっている、さらにはオンラインも成長が頭打ち状態なのが(金額そのものは増加中に違いないが)把握できる。

↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2007年-)
↑ 米新聞の広告収入推移(四半期区分)(前年同期比増減率、2007年-)

2011年に入ってからオンラインですらも成長スピードが落ちている(成長していないわけではない)実態がイレギュラーなものではなく、傾向としての動きであるのが確認できる。ネット内での囲い込み(具体的にはFacebookなどのソーシャルメディア)競争でじりじりと有望分野ですら競り負けつつあるのが想像できる。

新聞業界においては数少ない、残された希望の星といえるオンライン広告までもが成長度合を縮めている。これでは縮小化が加速する紙媒体部門を支えきれるはずもない。今後アメリカの新聞業界がどのような形で切り返しを図るのか、それとも状況に流されるまま、収入、そして規模そのものの縮小を続けるのか。日本の新聞業界の行く先を占う観点でも、注視を続けたいところだ。

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