オンライン成長止まり7%プラスに、紙媒体はマイナス圏で低迷のまま…米新聞社広告費動向(2012年発表)

2012/03/25 06:40

先日から【タブレット機でニュースを読む人は約1割…アメリカのニュース取得状況をグラフ化してみる】などで、アメリカの調査機関【Pew Research Center】発によるアメリカのニュースメディア事情についての記事を展開している。その過程で同国の新聞動向を調べ直していたところ、アメリカの新聞広告の売上推移を2010年分までグラフ化した記事で取り上げた新聞周りのデータに関し、(部数は未だに2009年までだが)広告費はようやく2011年のものが反映されていた。そこで今回は広告費の年次データを更新し、最新状況のチェックを入れることにする。

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データの取得場所や広告の種類に関する説明はまとめ記事【定期更新記事:米新聞社広告費動向(Q単位)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

今回ターゲットにするのは、アメリカの新聞の広告収入推移。以前の記事で掲載した領域(2004年以降)で、同じように最新データ・2011年分まで反映させて生成したのが次のグラフ。

↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率)
↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率、2011年分まで)

「リーマンショック」によって大きく落ち込んだ後のリバウンド(反動)が見られた日本の各種経済指標同様に、アメリカの新聞業界の広告収入においても、滝のように下落した2009年と比べて2010年ではリバウンドが確認できた。これはこれらの値があくまでも「昨年と比べての増減の割合」であるからに過ぎない。そしてそのリバウンド効果が無くなった2011年では、オンラインも含め復調ぶりは姿を消し、再び右肩下がりのグラフを生成している。

紙媒体は押し並べて2006年以降は「前年比」でマイナス域のままだが、それでも2010年は戻しを見せ、(グラフの形状的には)「2011年にはプラスに転じるかも?」という淡い期待を持たせた。しかしリバウンドはやはりリバウンドでしかなく、2011年ではマイナス圏のまま、再び減退率を加速させてしまっている。一方オンライン(インターネット)は伸び率が縮小してはいるが、前年比でプラス、つまり成長を続けていることに違いは無い。

オンライン広告に期待をかけたいところだが、日本の広告業界と同じように伸び率こそ高めでも額面はまだ小さく、他の広告区分の減少を補うまでには成長していない。それを確認できるのが、次の「具体的額面」から生成した広告収入推移。

↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)
↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)(2011年分まで)

「アメリカにおけるメディア周りの変化スピードは、日本の比ではないほど速い」のは良く言われている話だが、それを実感できるグラフでもある。2007年、インターネット(によるニュース展開)が本格的に浸透しはじめた時期から新聞広告費は激減。2006年と比較して2011年では半額にも満たない額にまで落ち込んでいる。とりわけ緑の部分、「クラシファイド広告」の減少ぶりが半端でない(1/3足らず)のも分かる。

NAAのデータページでは1950年前後からの経年データが掲載されている。良い機会なので上記2グラフにおいて、対象領域を保存されているデータすべてに拡大したグラフを生成する。

↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率)(長期データ)
↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率)(長期データ)

↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)(長期データ)
↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)(長期データ)

まず前年比増減率の折れ線グラフだが、1980年代までは一時的にマイナス圏に落ち込むことがあっても精々マイナス5%前後に落ち着いていたものが、1990年代の不況時以降は10%内外にまで下落を見せ始めるようになるのが分かる(視点を変えれば概して新聞業界は成長を続けていたことになる)。そして2000年前後のITバブル崩壊前後で初めて前年比マイナス10%を下回る下げを記録する(クラシファイド広告がマイナス15.2%)。

その後やや持ち直しを見せるものの、今度は経済全体の不況に加えてメディア自身の環境変化によるダブルパンチを受け、マイナス10%どころか20%、30%は当たり前に。2010年ではその反動を受けて大きく上昇を見せ、そして2011年ではその勢いも失速。今世紀に入ってからの新聞広告収入の動きの激しさが改めて実感させるグラフに仕上がっている。

金額ベースのグラフで見ると直近2回の不況時において具体的に広告費が落ち込んだ「凹み」が確認できると共に、その額も全体から見れば大したのものでは無かったこと、そしてそれと比較して21世紀に入ってからの「メディアそのものの環境変化」を受けての広告費減退が生半可なものでないことも把握できる。色々な意味でアメリカは日本を先行している。



NAAのサイトには現時点で2011年第4四半期(10-12月)分までの、四半期データの掲載も確認できた。そこでは直近における、より詳しい動向が確認できる。これについては今件同様いつも通りの形式で、機会を改めて触れてることにしよう。

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