日米の金融市場の回復動向がそのまま反映された動き(日米家計資産推移:2011年4Q分)

2012/03/25 12:00

日本銀行は2012年3月23日、2011年第4四半期(10-12月)における資金循環の日米比較に関するレポートを公開した。それによるとアメリカは「債券」「投資信託」額は減少したものの、他の項目、特に「株式・出資金」額が増加し、金融資産をリスク商品に移行する傾向にある、または金融商品そのものの評価額が増加していることが分かった。他方日本は前期からの動きが継続する形で、「現金・預金」が額を増加させているのが分かる。金融市場の回復ぶりの違いが、そのまま大きく反映されたように見受けられる(【リリース掲載ページ】)。

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今リリースは日本銀行が年4回定期的に速報値として発表しているもの。それに伴い以前掲載した記事から連携・連動させる形で色々とグラフ化・考察を行っており、今回はその最新版データに基づいた記事となる。

まずは直近、2011年第4四半期(4Q)時点での、日米の家計における資産構成比率。日本が「現金・預金」に大きく傾倒している一方で、アメリカが「株式・出資金」や「投資信託」「債券」を大量に保有している図式に変わりは無い。なお今回も前回同様に、数回前から元資料に掲載されるようになったユーロエリア(逐次最新情報への継続更新に違いは無いが、日米と比べて四半期遅れた情報開示となっている。つまり今件は2011年3Q分)についても、参考の形で掲載した。

日米欧家計金融資産構成比率比較(2011年4Q)
↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2011年4Q)

3者とも「保険・年金準備金」の比率はほぼ同じであること、「現金・預金」と「投資信託」「株式・出資金」などの有価証券保有比率がユーロ圏は日米の中間にあることなど、興味深い傾向が確認できる。

これをいつもの通り日米別に、その推移をグラフ化する。まずは日本。構成比率と絶対額の推移を確認する。

日本の家計金融資産構成比率推移(1997年-2011年4Q)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(1997年-2011年4Q)

日本の家計金融資産構成推移(1997年-2011年4Q)(単位:兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(1997年-2011年4Q)(単位:兆円)

直近数年(2008年前後)で「現金・預金」の比率が大きく伸びたのは、貯金額そのものが増えたのも多少はあるが、それ以上に株価の低迷によるところが大きい(相対的に「現金・預金」比率が上がったという理屈。また損切りによるポジション整理も多分にある。「株式・出資金」の額・比率が同じタイミングで大きく減少していることからも、その動きが理解できる)。もう少し詳しい挙動(四半期単位)を知りたいところだが、残念ながら現時点においては、合間を埋めるデータを見つけ出すことはかなわない。

今期においては冒頭で触れたように、株価の停滞を受けて「株式・出資金」には大きな動きは無い一方(前四半期と比べればやや戻しているが、2四半期前には及ばない)、「現金・預金」が値を上げており、リスク資産回避の流れとも受け止められる。もっとも4Qで「現金・預金」が上昇するのは毎年のことなので、単に年末年始に向けた換金化の可能性も否定できない。

一方アメリカ。

米家計金融資産構成比率推移(2007年4Q-2011年4Q)
↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年4Q-2011年4Q)

米家計金融資産構成額推移(2007年4Q-2011年4Q)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年4Q-2011年4Q)(兆ドル)

アメリカの該当期の株価動向は、日本とは打って変わり、大きく上昇する傾向にあった。この流れの中で「投資信託」「株式・出資金」共に大きく増加している。同時に「現金・預金」の絶対額もここ数年来の傾向に従う形で漸増中(上昇幅が小さいので、資産構成比率は逆に低下している)。単に「現金・預金」の増加がスローペースなだけの可能性もある。

グラフには記載していないが、家計金融資産の総額は2011年4Q時点で日本が1483兆円、アメリカが49.1兆ドル。これはそれぞれ直近前期から(日本)プラス0.82%・(アメリカ)プラス2.94%の変移となっている。為替レートの問題もあるため両国間の額面での単純比較はできないが、それぞれの国において3か月でどれだけ家計の金融資産の評価額が取り崩し・積上げされたか、そしてその上昇率からそれぞれの国の景気の勢いが推し量れよう(ちなみに為替レートは同年10月1日から12月31日までの間に、一時数円の円安が進行したが、年末に再び円高となり、期末時点では期初と比べてほとんど変わりは無い)。

今期は日米の株価の復調ぶりの違いが、そのまま家計の金融資産の増加の動きに現れる形となった。また前回でも指摘しているが、日本では中期的に継続している流れが(震災を経ての心理的変化を受けてか)加速する形で、「現金など流動性の高い貯蓄への」マネーシフトが起きているように見える。

記事執筆時点では世界各国市場に遅れる形だが、ようやく日本の株式市場も動きを見せ始めた。この流れが家計の金融資産動向にどこまで影響を与えるのか、次回の発表内容が気になるところだ。


※2013.06.25.更新
今件記事は説明が多分に重なる部分などを省略した簡略版です。全体版及び最新版については【日米家計資産推移(日銀)最新記事】にて掲載しています。

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