国産原油供給量をグラフ化してみる(エネルギー白書2011版)

2012/03/28 06:50

国内油田(八橋油田)資源エネルギー庁は2012年3月12日、エネルギー白書2011のHTML版を公開した(【エネルギー白書2011】)。これに伴い【日本の石炭事情をグラフ化してみる(エネルギー白書2010版)】をはじめとした、以前白書前年版を元に書き連ねた記事の更新などを行っている。今回はやや主旨を変え、白書上のデータを元に、過去の国産原油の産出量に関する記事の内容を再構築してみることにする。【日本の化石エネルギー資源輸入先の推移をグラフ化してみる(エネルギー白書2011版)】などと合わせ読むと、さらに理解が深まるに違いない。

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「日本では石油(原油)消費量のほぼすべてを輸入に頼っている」との事実は誰でも予備知識、世間一般の常識として理解している。しかしその一方で、少量ながら日本国内でも原油は産出している。有名なのが国際石油開発帝石(INPEX)の八橋油田(【石油精製・オイルターミナル・八橋油田】)。

これらの油田から産出される原油の産出量推移が次のグラフ。ややぶれが大きいが、1960年以降の限りで見れば、年間50万-100万キロリットルの原油を産出していることになる。

↑ 国内生産原油量推移(千キロリットル)
↑ 国内生産原油量推移(千キロリットル)

直近の2010年では853×1000×キロリットル。つまり8.5億リットル。仮に自動車1台あたりの満タン量を50リットル、原油から精製されるガソリンの割合を3割とすると500万台強の自動車を満タンにさせるだけのガソリンが供給できることになる(※正確には原油からガソリン・重油などさまざまな石油派生物を精製する際において、原油の種類によって精製比率が異なる)。

この値だけを見ると「なんだ、結構国産でもそれなりにイケるのでは?」との印象を得るかもしれない。しかし次のグラフを見ると、厳しい現実を突きつけられることになる。各年の原油「輸入量」と国産原油生産量を「同じ縦軸単位」で積上げ、日本国内で供給される原油量の推移を示したもので、2010年の値まで対応している。

↑ 国内生産原油量推移(千キロリットル)(輸入原油との兼ね合わせ)
↑ 国内生産原油量推移(千キロリットル)(輸入原油との兼ね合わせ)

グラフ生成時に縦を引きのばし、さらに拡大してようやく……まず最初に気がつくのは「国内生産」の色が見当たらないこと。そして縦軸の区切り値が先のグラフと数ケタ違うこと。あまりにも国産と輸入量の差があり過ぎ、このサイズでは「国内生産」分がグラフ上に反映されなかったのが実情。

このグラフを縦に2倍ほど引き延ばしてようやく、ほんのわずかグラフ上に現れる次第。いかに日本が大量の原油を輸入しているか、そして国産原油量だけでは足りないかが分かる。何もガソリンだけが原油の使い道では無い。多種多様な方面に使われる次第。当然、必要な量も増える。

状況を把握しやすいよう、国産原油が原油供給量全体に占める割合を、折れ線グラフにしてみる。言い換えれば「日本の原油・輸入依存率」。

↑ 日本の原油輸入依存率推移
↑ 日本の原油輸入依存率推移

原油の利用量が増えるにつれ、あまり生産量の変わらない国産原油の比率は落ち、1954年に95%、1960年に98%、1964年に99%を超えてからは、それぞれの値以下に戻ること無く、依存度は高いままを示している。最新の2010年では、原油全体に占める国産原油の比率は0.4%。見方を変えれば国内で利用している原油の99.6%を輸入に頼っていることになる。

輸入量99.6%がどれくらいのものなのか、ビジュアル化してみよう。2010年の原油使用量全体を2リットルのペットボトル1本分にすると、国産原油量は8ミリリットルに過ぎない。目薬1つが15ミリリットル前後なので、その半分程度。

↑ 年間原油使用量を2リットルサイズのペットボトルに例えると、国産原油はわずか目薬半分程度にしか過ぎない
↑ 年間原油使用量を2リットルサイズのペットボトルに例えると、国産原油はわずか目薬半分程度にしか過ぎない

いかに現在の日本が輸入原油に頼っているかが分かるだろう。



原油・石油を大量に消費する社会構造は一朝一夕で変えられるものではない。単に燃料として消費するだけでなく、原料として用いて商品を製造し、その商品を輸出する製造スタイルの企業も多い以上、燃料としてだけでなく原材料としても使われる原油・石油は必要不可欠なもの。さらに【「老体に 鞭を打たせる 無知さかな」...今冬の火力発電所の実情】などで触れているが、汎用性の高いエネルギーである電気を生み出すのにも使われている。昔ながらの言い回し「油の一滴は血の一滴」の表現はオーバーなものではない。

しかしそのような社会構造は、現状のように輸入原油価格が高騰すると、社会全体で支出の大規模な増加を迫られることになる。また、原油は地面に埋蔵されており、しかも地域偏在度が高い。日本は資源確保の観点では不利な立場にある。

リスク分散の観点で考えれば、そして現状でその「リスク」を大きく受けていることを考えると、「原油」に頼り切ることの難しさと危うさが理解できるというものだ。

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