日本の化石エネルギー資源輸入先の推移をグラフ化してみる(エネルギー白書2011版)

2012/03/22 06:55

タンカー資源エネルギー庁は2012年3月12日、エネルギー白書2011のHTML版を公開した(【エネルギー白書2011】)。これに伴い、以前【各国のエネルギー自給率をグラフ化してみる(エネルギー白書2010版)】をはじめとした、白書前年版を元にした記事の更新を行っている。今回は日本の化石エネルギー資源の輸入先の推移を眺めた記事に最新のデータを当てはめることにする。【主要国のエネルギー輸入依存度をグラフ化してみる(「2010-2011」対応版)】【天然ガスが伸びてます…日本の一次エネルギー消費推移をグラフ化してみる(「2010-2011」対応版)】などと合わせ読むと、さらに理解が深まるに違いない。

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参照した具体的な場所は「第2部 エネルギー動向 第1章 国内エネルギー動向 第3節 一次エネルギーの動向」。「化石エネルギー」とは「化石燃料」とほぼ同意で、石油や石炭、天然ガスなどを意味し、昔の動植物が経年と圧力で化石に変化したことにより生成されたもの。化石エネルギーは全般的に、利用できる形へのエネルギー変換が容易。その分「埋蔵地域の偏在」「利用時の環境汚染問題」「容易に再生できないことによる枯渇問題」などの弱点がある。

また「非化石エネルギー」は「化石エネルギー」以外のエネルギー全般を意味し、具体的には原子力、水力、地熱、新エネルギーなどを指す。また、容易に再生が可能か否かという観点から、それぞれを「非再生可能エネルギー」「再生可能エネルギー」と呼ぶこともある。

なお「エネルギー白書2011」では震災の影響を受け、「2010」とは大きく構成が異なっており、昨年までの白書から記述が簡略化・削除されているものがある。そのため今件記事でも、前回と同じグラフを生成できない場合もある。

さて、化石エネルギーの「原油」「石炭」「天然ガス」のうち、まずは「原油」について輸入先の推移をグラフ化したのが次の図。昨年が年総量だったのに対し、今回は平均日あたりの輸入量に変わっていることに注意。

↑ 日本の原油輸入量(万バレル/日)
↑ 日本の原油輸入量(万バレル/日)

↑ 日本の原油輸入・中東依存度推移
↑ 日本の原油輸入・中東依存度推移

意外なのは総量が1970年代前半に一度ピークを迎え、その後大きく減少。そして再び増加した後に、1990年代半ばを第二のピークとして少しずつ減退を見せていること。これは化石エネルギー総量におけるリスク回避のための使用種類の分散化(原油傾注度の減少)、使用先での効率化などが原因(1970年代以降の動きにおいては、直接的には第一次・第二次石油危機(オイルショック)に伴う産業構造の変化、リスク分散化の影響が大きい)。

さらに原油輸入先の分散化も望ましいのだが、残念ながらむしろ最近では再び中東への傾注度が上昇している。同地域との友好関係強化の視点ではプラスだが、エネルギー戦略上のリスクを考えた上では「ひとつのカゴに卵をすべて盛る」形になり、望ましいとはいえない(かつての「石油ショック」のような事態に対応しにくくなる)。

原油の輸入先分散が叶わない分、石炭と天然ガスは分散化が積極的に推し進められている。まずは天然ガス(液化天然ガス、LNG)。

↑ LNGの供給国別輸入量の推移(100万トン)
↑ LNGの供給国別輸入量の推移(100万トン)

一番きれいな分散化、つまりリスク分散が進んでいるのが天然ガス。時代経過と共に増量しているのは後述する石炭と同じだが、ほとんどアジア(インドネシア、ブルネイがメイン)からの輸入に頼っていた時代から、中東・アジア・オセアニア・アフリカへと多地域化を果たしている。ある意味、一番進んだ活用法が展開されている化石燃料が天然ガスともいえる。

最後の石炭……だが、今回の白書では「輸入・国産」別でしか推移掲載は無く、輸入先の掲載は2010年度分のみとなっている。

↑ 日本の石炭供給量の推移(100万トン)(年度)
↑ 日本の石炭供給量の推移(100万トン)(年度)(再録)

↑ 日本の石炭輸入先シェア(2010年度)
↑ 日本の石炭輸入先シェア(2010年度)

この数年間の横ばい傾向を除けば、確実に総量が増加しており、先の原油とは状況が異なることが確認できる。また輸入先も(昨年記事のデータと今回の2010年のものを合わせて見比べると)北米こそ減少しているが、旧ソ連(現ロシアなど)やアジア諸国(インドネシアなど)、オセアニア(オーストラリアなど)と分散化が進んでいる。昨今ではややオーストラリアに傾注しがちな感があり(2010年では2/3近く)、バランス感覚という点ではアジアや旧ソ連からの輸入を促進したいところ。



化石エネルギーのデメリット部分(枯渇可能性、カントリーリスク、地球環境負荷など)を考えると、「非化石エネルギー」が多用できるのならそれに越したことはない。しかし水力は量産が難しく、地熱は日本の地の利を活かせるものの開発はこれから(そして安定性や環境問題もある)、その他の新エネルギーなどもそれぞれ問題が山積し、すぐに現行の化石エネルギーと代替できるものではない。

しばらくの間は「天然ガス」の事例に見られるような輸入先の分散を推し進めつつ、化石エネルギーに頼らざるを得ないのが現状。巧みな外交戦略と海運の安全性を維持拡大することも、連動する形で求められよう。

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