【更新】「繊維」「窯業・土石」「鉄鋼」「非鉄金属」「機械」が改善か・前年同月比でマイナス0.7%(2012年2月分大口電力動向)

2012/03/20 19:30

電気事業連合会は2012年3月16日、2012年2月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年2月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で791億kWhとなり、前年同月比でマイナス1.4%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス0.7%を記録し、12か月連続して前年同月の実績を下回ることになった。これで1年連続してのマイナスとなる([発表リリース、PDF])。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事をまとめた一覧ページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で説明をしている。そのページでチェックしてほしい。

2012年2月においては大口全体で前年同月比マイナス0.7%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる(節電効果でのマイナスもいくぶん数字には反映されているので、多少は誤差もある)。

大口電力使用量産業別前年同月比(2012年01月-2012年02月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2012年01月-2012年02月)

今月は「鉄鋼」がかろうじてプラス。ちょうど1年前における前年同月比がプラス13.8%なので、そこからさらに2.7%も上乗せできたのは特筆すべき……と言及したいところだが、今年はうるう年で昨年よりも1日多く、曜日修正を別にすれば単純計算で3.6%は追加されることになる。そこまで考慮すると、純粋に先月から改善されたのは「繊維」「窯業・土石」「鉄鋼」「非鉄金属」「機械」。全体的にはそこそこ改善というところか。ただし、「鉄鋼」以外前年同月比ではマイナスなことに違いは無い。

先月比のグラフでは短期はともかく中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の動向としては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きが2011年3月で止まり、それ以降は大きく下落しているのが改めて確認できる(無論東日本大地震・震災を直接・間接起因とするもの)。また直近数か月は多くの項目でマイナス圏での推移が続いており、工場の物理的な損害以外に、(原材料の調達不足、タイムシフト・デイシフトをはじめとする各種節電対策など)多種多様な稼働率・生産調整が影響している様子が見て取れる。今月の持ち直しは中期的に見れば誤差の範囲でしか無いことも理解できる。

1年前のこの時期が(リーマンショックからの)回復傾向にあったことを考慮すると、今件は「それ(1年前)と比較して」の値が算出されるので(つまりはプラスと比較される。今月の場合は2011年2月で、その時は全体で「その時の」前年同月比プラス7.2%)、今後も来月(つまり2011年3月との比較。その時はプラス10.3%)までは、今月のようにマイナス値を継続することが容易に想像できる。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場の物理的復興は相当率なものとなったが、回復を望めず生産施設をたたんでしまった事例をはじめ、各種部品不足に伴う工場の稼働率の低下、節電対策による消費電力減退、そして景気低迷に伴う生産調整など、生産力の数字的低迷は否めない。そしてこれから気候が暖かくなるにつれ、電力周りの問題はクローズアップされていくに違いない。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業の動向を間接的に確認できる、大口電力の動向は注意深く見守っていきたい。

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