60過ぎて働く理由、トップは「今の生活費として」

2012/03/19 06:55

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生活費厚生労働省は2012年2月22日、中高年齢者に対する継続的な調査「中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)」の第6回調査結果を発表した。それによると60-64歳の高齢者のうち、仕事をしている人は6割強に達していることが分かった。役員や正規職員は15%ほどに留まり、残りは自営業者や非正規職員、内職などに従事している。そして働いている人にその理由を聞いたところ、もっとも多い回答は「現在の生活費のため」で、6割強に及んでいた。次いで「生活費補完」「将来の生活資金」などが続いており、生活を支える資金(への不安)が、60歳を超えてなお働き続けるもっとも大きな原動力となっている状況が見て取れる(【発表リリース】)。


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今調査は2005年10月末時点で50-59歳だった日本全国の男女を対象に、その時点以後継続的(毎年1回・11月第一水曜日)に同一人物を対象に行われているもの。今回第6回における対象者年齢は55-64歳、2010年11月3日に実施している。調査方法は調査票郵送・被調査者自己記入・郵送返送。回答数は2万6220人、そのうち第1回-第6回まで集計可能な2万5157人分を集計客体としている。調査母体全体では55-64歳であるが、今件項目ではその中から60-64歳の者を対象とし、集計している。

先に【60代前半の就業率は6割強・女性の5人に1人はパートやアルバイトに】で解説したように、60代前半の就業率は6割強という結果が出ている。

↑ 調査時点での就労状態(2010年11月3日、60-64歳、択一)
↑ 調査時点での就労状態(2010年11月3日、60-64歳、択一)(再録)

そこで就労スタイルを問わず「働いている」と答えた人に向けて、なぜ仕事をしているのかを聞いたところ、「現在の生活費のため」が63.8%でトップ回答となった。

↑ 仕事をしている理由(複数回答)(2010年11月3日、60-64歳、「仕事をしている」回答者)(各属性総数が100%)(上位項目のみ)
↑ 仕事をしている理由(複数回答)(2010年11月3日、60-64歳、「仕事をしている」回答者)(各属性総数が100%)(上位項目のみ)

第二位の「現在の生活費補完」との違いは、就労で得られた手取りが生活費のメインであるか否か。「生活費のため」「生活費の補完」双方を同時に回答する状況は考えにくいので、「働いている人の2/3は生活費のメインに、1/3は補完的・サブとして、稼ぎを得ている」と考えるのが妥当。金銭周りでは「将来の生活資金」が第三位に入っているが、「生活費のメイン・サブに充てた残り、あるいは別途一部を将来に向けて蓄えている」というパターンだろう。

直接の金銭周り以外では「健康維持」がもっとも多くほぼ3割。そして「今の仕事が好き」、さらには「社会とのつながりの維持」「家にずっといるのは嫌」など「仕事場をソーシャルな場」として認識している意見も多い。これまで務めてきた会社を定年退職した人も多く、途端に他人とのつながりが薄れてしまう場合も多々考えられる(近所付き合いも昔と比べれば、希薄な今日この頃ではある)。職場を「交流の場」とする考えも理解はできる。

男女別に見ると、金銭面では男性が「メイン」・女性が「補完」として対生活費について考えている場合が異性よりも多い。元々男女どちらが稼ぎ頭である場合が多いかを考えれば道理は通る。また、お金以外の上位項目ではすべて女性が男性よりも高い値を示しており、男性よりも女性の方が社交的な考えで仕事をしているのが分かる。

全般的に見返すと、「必要な金銭報酬を得るために働いている」人が多数に及び、金銭以外のメリットのために働く人は少数、(金銭以外要件を)二次的要素として働いている人がそれなりにいるようすがうかがえる。「定年退職を迎えた高齢者は、生き甲斐を見つけるために仕事に就く場合が多い」という話も耳にするが、「それのみ」で働く人はほとんど居ないと見てよいだろう。


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