相談件数大幅増加、12万件を突破、前年比約1万件プラス…警察庁、2015年のサイバー犯罪の検挙状況などを発表

2016/03/18 15:33

警察庁は2016年3月17日、2015年中のサイバー犯罪(コンピュータ技術及び電気通信技術を悪用した犯罪。ハイテク犯罪と同義)に関する検挙状況をはじめとした脅威に関する情勢の情報を発表した。それによると2015年中に各都道府県警察の相談窓口で受理した、サイバー犯罪などに関する相談件数は12万8097件となり、前年比で9997件の増加となったことが明らかになった。前年比で迷惑メールに関する相談は2449件増え1万6634件に、詐欺・悪質商法に関する相談は8686件増加し6万7026件となった。また不正アクセスに関する相談件数は年々確実に増加の傾向を示していたものの、2015年は一転して減少に転じている(【発表リリース:平成27年中のサイバー空間をめぐる脅威の情勢について】)。

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今報告書によれば、2015年のネットワーク利用犯罪検挙数は8096件で前年比プラス2.4%、過去最高値を示した2013年の8113件に近づく値を示している。またネットワーク利用犯罪は7483件で前年比はプラス1.8%と増加、こちらは前年に続き過去最高値を更新している。各都道府県警察の相談窓口で受理した、サイバー犯罪などに関する相談件数は12万8097件となり、前年比で9997件・8.5%の増加。冒頭にもあるように不正アクセスに関する相談は2015年では前年から減ったものの、迷惑メールや詐欺・悪質商法などに関する件数が大幅に増加を示している。

↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移
↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移

↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移(2015年、前年比)
↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移(2015年、前年比)

今グラフでは2005年以降を対象に生成したが、2006年の相談件数が前年比でマイナス27.0%と大きく減っている。これは当時の資料【平成18年のサイバー犯罪の検挙及び相談状況について、PDF】なども合わせて確認すると、大きな減少を見せた項目は「ワンクリック請求を中心とする、詐欺・悪質商法」に対する相談であり、一方で警察庁の【インターネット安全・安心相談システム】へのアクセス数が急増、同サービスのうち「料金請求」項目ヘのアクセスが過半数を占めている。同サービスは2005年6月16日に運用を開始していることから、通常の相談窓口を利用する層の多くが、公知によってその存在を知ることとなった、よりハードルの低い「インターネット安全・安心相談システム」へ移行した結果といえる

詐欺・悪質商法の件数が多いことから、その項目を別分けした上で、主要項目別に経年の相談件数変移を折れ線グラフ化すると次の通りとなる。

↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法限定)
↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法限定)

↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法以外)
↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法以外)

高齢者や若年層が被害を受けやすい架空・不当請求メールを含む詐欺・悪質商法は法整備や各種対策でこの数年漸減傾向にあったが、2013年では大きく増加に転じ、2009年とあまり変わらない水準にまで戻してしまった。以降直近の2015年まで増加を続けており、相談件数総数を大きく底上げする要因となってしまっている。単純な迷惑メールの件数は2013年に減少したものの、2014年では再び増加に転じ、2015年もその勢いは止まらず、過去最高値の更新が続いている。

かつて問題視されていたインターネットオークション関連の相談は、詐欺・悪質商法から別個項目分けされていることからも分かるように、社会問題化していたが、この数年は漸減。しかし2013年以降は減少に歯止めがかかり、以後は横ばいの動きにある。詐欺・悪質商法の増加も合わせ、金銭に絡んだインターネットに関する相談(をせざるを得ない案件)が増加したことになる。より具体的、悪質な方向にインターネット関連の犯罪性向が変化する兆しなのかもしれない。

リリースでは昨今の脅威情勢について

1.サイバー攻撃の多様化…国内外からの攻撃を問わず、多数の公的機関や事業者に対する情報盗取被害が相次ぐ。標的型メール攻撃、ワード文書形式の添付ファイルスタイルが急増。「アノニマス」を名乗る団体による攻撃も相次ぐ。

2.探索行為の多様化…ルーターや監視カメラなどの取り込み機器を標的とした探索行為などが増加。

3.サイバー犯罪の多国籍化…インターネットバンキングに係わる不正送金事犯被害総額は30.73億円。過去最高。海外サーバを利用したわいせつ電磁的記録記録媒体陳列事件、海外からの接続を取り次ぐ中継サーバ事業者による不正アクセス事件などの発生、確認。

などを挙げている。

例えば違法中継サーバー問題としては、日本国内で海外(特に中国)とのインターネット接続を取り次ぐための中継サーバー事業者がその権限を用いて不正アクセス行為をしており、当事者の検挙後も再利用される可能性があるため、上位の大手通信事業者に働きかけを行い、定款改正の上、契約解除が成された事例がある。

また、金融機関、IT企業などのサーバにDDoS攻撃を仕掛け、当該攻撃回避のための「支払い」をビットコインで要求する恐喝未遂事件が発生。同種手口事案は海外でも発生していたことから、ユーロポール及び国際刑事警察機構(ICPO)の調整の下、国際捜査が行われ、ボスニア・ヘルツェゴビナ警察などが関連する被疑者2名を検挙する事案もあった。

一方で、勤務先で知り得た他人のクレジットカード情報を用いてオークションの支払いに利用し、電子計算機使用詐欺で検挙されるという事例も確認されている。また相談例でも「登録した覚えのない有料サイトの料金を請求された」「掲示板サイトに個人を誹謗中傷する内容を書き込まれた」「掲示板サイトに無断で顔写真を掲載された」「無料通話・メールアプリのアカウントを乗っ取られ、勝手にメッセージを送信された」など、よく見聞きする事例が報告されている。



今件のグラフのあくまでも「相談件数」の推移(具体例には検挙事案も挙げている)。相談に至らなくとも同様の事象が発生している可能性は多分にあり、また実際に検挙が行われた件数とも別物。とはいえ、デジタル界隈における多種多様な問題の動向を推し量るには、十分役立つデータといえる。

例えば【いわゆる「レイバンアタック」に本物のレイバンも注意喚起】などで解説した、ツイッターのアカウント乗っ取り事案や、以前大いに問題視されたLINEのアカウント乗っ取りと詐取者によるプリペイドカード購入依頼、【とりあえず楽天とAmazonとLINEのパスは変更しておいた方がよさそうだ、という話】にもある通り、主要通販サイトのアカウント・パスワードのセキュリティ問題のように、インターネット上の犯罪に係わる問題は、すでに他人事では無くなっている。さらに昨今ではデジタルカメラ機能付きのスマートフォンの有用性・普及率を逆手に取り、カメラと連動する形で利用者の写真を撮り、あるいは撮るかのような挙動を見せ、脅しの効力を強化する事例まで登場している。インターネット上における犯罪・攻撃は、技術と共に確実に進歩している。

中でも金銭周りのトラブル相談が増加していることは注意を要する。情報が単なる文字データでは無く、多様な方面で自らのプライバシー、実生活に大きな影響を与えることを利用者一人一人が十分以上に気を付けると共に、関係各方面には一層の努力配慮を願いたいところだ。


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