相談件数増加継続、13万件を突破…警察庁、2016年のサイバー犯罪の検挙状況などを発表

2017/03/23 15:37

警察庁は2017年3月23日、2016年中のサイバー犯罪(コンピュータ技術及び電気通信技術を悪用した犯罪。ハイテク犯罪と同義)に関する検挙状況をはじめとした脅威に関する情勢の情報を発表した。それによると2016年中に各都道府県警察の相談窓口で受理した、サイバー犯罪などに関する相談件数は13万1518件となり、前年比で3421件の増加となったことが明らかになった。前年比で迷惑メールに関する相談は2051件減り1万4583件に、詐欺・悪質商法に関する相談は454件増加し6万7480件となった。不正アクセスに関する相談件数は前年比で34.4%増、違法・有害情報に関わる相談は42.4%増となり、サイバー犯罪の現状における傾向を如実に表す結果となっている(【発表リリース:平成28年中におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について】)。

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今報告書によれば、2016年のネットワーク利用犯罪検挙数は8324件で前年比228件のプラスとなり過去最高値。またネットワーク利用犯罪は7448件で前年比は35件のマイナスとなった。各都道府県警察の相談窓口で受理した、サイバー犯罪などに関する相談件数は13万1518件となり、前年比で3421件・2.7%の増加。冒頭にもあるように迷惑メールに関わる相談は減ったものの、不正アクセス・コンピュータウイルスや違法・有害情報に関する相談は大幅に増加しており、昨今のインターネットに関わるトラブル、犯罪の実情を表す動向を示している。

↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移
↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移

↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移(2016年、前年比)
↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移(2016年、前年比)

推移グラフでは2005年以降を対象に生成したが、2006年の相談総数が前年比でマイナス27.0%と大きく減っている。これは当時の資料【平成18年のサイバー犯罪の検挙及び相談状況について、PDF】なども合わせて確認すると、大きな減少を見せた項目は「ワンクリック請求を中心とする、詐欺・悪質商法」に対する相談であり、一方で警察庁の【インターネット安全・安心相談システム】へのアクセス数が急増、同サービスのうち「料金請求」項目ヘのアクセスが過半数を占めている。同サービスは2005年6月16日に運用を開始していることから、通常の相談窓口を利用する層の多くが、公知によってその存在を知ることとなった、よりハードルの低い「インターネット安全・安心相談システム」へ移行した結果といえる。

詐欺・悪質商法の件数が多いことから、その項目を別分けした上で、主要項目別に経年の相談件数変移を折れ線グラフ化すると次の通りとなる。

↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法限定)
↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法限定)

↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法以外)
↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法以外)

高齢者や若年層が被害を受けやすい架空・不当請求メールを含む詐欺・悪質商法は法整備や各種対策でこの数年漸減傾向にあったが、2013年では大きく増加に転じ、2009年とあまり変わらない水準にまで戻してしまった。以降直近の2016年まで増加を続けており、相談件数総数を大きく底上げする要因となってしまっている。

単純な迷惑メールの件数は2013年に減少したものの、2014年では再び増加に転じ、2016年でようやく減少に転じた。この減少への転換が次年以降も継続すれば、同じタイミングで大きく増加した違法・有害情報と合わせ、インターネット上のコミュニケーションの主流が電子メールからソーシャルメディアにシフトし、利用機会の増減が生じた結果として相談件数にも影響が生じたと考えることもできる。

かつて問題視されていたインターネットオークション関連の相談は、詐欺・悪質商法から別個項目分けされていることからも分かるように、社会問題化していたが、この数年は漸減。しかし2013年以降は減少に歯止めがかかり、以後は横ばいの動きにある。詐欺・悪質商法の増加も合わせ、金銭に絡んだインターネットに関する相談(をせざるを得ない案件)が増加したことになる。より具体的、悪質な方向にインターネット関連の犯罪性向が変化する兆しなのかもしれない。

リリースでは昨今の脅威情勢について

1.不正送金事犯では対法人が減り、代わりに電子決済サービスを使った事案が多発。不正送金先口座は約半数の51.8%が中国人名義、次いでベトナムの25.4%、日本人名義は12.7%。被害口座の名義人の多くがセキュリティ対策を未実施。

2.インターネットバンキング周りでは件数などは減少した。対法人事案が減り、電子決済サービスを使った電子マネー購入の手口が増加している。

3.不正アクセス行為は減少中。アクセス後の行為としてインターネットバンキングでの不正送金が最多。

4.IoT機器を標的とするボットによる探索行為が急増。

5.標的型メールに添付されたファイル形式は9割近くが圧縮ファイル、次いでWord文書が9%。

6.検挙・補導された被疑者の年齢階層は幅広い。

探索行為の多様化…ルーターや監視カメラなどの取り込み機器を標的とした探索行為などが増加。

などを挙げている。

報告書では検挙事例などを挙げているが、例えば

●不正アクセス禁止法違反
高校生の少年(16)らは、27年5月から同年11月までの間、SQLインジェクションによる不正アクセスにより、企業のサーバコンピュータから多数の他人のID・パスワードを不正に取得し、同ID・パスワードを使用してショッピングサイトに不正にアクセスして玩具を購入した。28年9月、不正アクセス禁止法違反(不正アクセス行為)等で送致した。(宮城)

●不正指令電磁的記録に関する罪
少年(15)らは、無料オンラインストレージサービスにチートツールを装った遠隔操作ウイルスをアップロードし、これをダウンロードした者のコンピュータに感染させるなどした。28年9月から同年12月までに、遠隔操作ウイルスを感染させた少年9名を不正指令電磁的記録供用等で検挙した。(北海道、宮城、群馬、神奈川、新潟、静岡、福井、滋賀、島根、岡山、徳島、愛媛、鹿児島)

などのように未成年者による事案も確認できる。また記録によると不正アクセス禁止法違反によって、14歳未満の少年5名が触法少年として補導されている(刑法上14歳に満たない者は罰することができないため)。



今件のグラフのあくまでも「相談件数」の推移(具体例には検挙事案も挙げている)。相談に至らなくとも同様の事象が発生している可能性は多分にあり、また実際に検挙が行われた件数とも別物。とはいえ、デジタル界隈における多種多様な問題の動向を推し量るには、十分役立つデータといえる。

例えば【いわゆる「レイバンアタック」に本物のレイバンも注意喚起】などで解説した、ツイッターのアカウント乗っ取り事案や、以前大いに問題視されたLINEのアカウント乗っ取りと詐取者によるプリペイドカード購入依頼、【とりあえず楽天とAmazonとLINEのパスは変更しておいた方がよさそうだ、という話】にもある通り、主要通販サイトのアカウント・パスワードのセキュリティ問題のように、インターネット上の犯罪に係わる問題は、すでに他人事では無くなっている。さらに昨今ではデジタルカメラ機能付きのスマートフォンの有用性・普及率を逆手に取り、カメラと連動する形で利用者の写真を撮り、あるいは撮るかのような挙動を見せ、脅しの効力を強化する事例まで登場している。インターネット上における犯罪・攻撃は、技術と共に確実に進歩している。

違法・有害情報に関する相談や不正アクセス、コンピュータウイルスに関する相談が急増していることは注目に値する。インターネット関連の技術のハードルが低くなり生活のそこかしこで利用され深く浸透するようになればなるほど、触れる機会は増え、リスクは底上げされる。さらに知識経験の浅い人の利用も増えるため、事案発生のケースが増加することは容易に理解ができる。

情報が単なる文字データでは無く、多様な方面で自らのプライバシー、実生活に大きな影響を与えることを利用者一人一人が十分以上に気を付けると共に、関係各方面には一層の努力配慮を願いたいところだ。


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