相談件数わずかに減少だが13万件台は継続…警察庁、2017年のサイバー犯罪の検挙状況などを発表

2018/03/23 10:10

2018-0323警察庁は2018年3月23日、2017年中のサイバー犯罪(コンピュータ技術及び電気通信技術を悪用した犯罪。ハイテク犯罪と同義)に関する検挙状況をはじめとした脅威に関する情勢の情報を発表した。それによると2017年中に各都道府県警察の相談窓口で受理した、サイバー犯罪などに関する相談件数は13万0011件となり、前年比で1507件の減少となったことが明らかになった。前年比で迷惑メールに関する相談は3072件減り1万1511件に、詐欺・悪質商法に関する相談は212件減少し6万7268件となった。不正アクセスに関する相談件数は前年比で25.2%増、違法・有害情報に関わる相談は41.8%減となっている(【発表リリース:平成29年中におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について】)。

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今報告書によれば、2017年のネットワーク利用犯罪検挙数は9014件で前年比690件のプラスとなり過去最高値。またネットワーク利用犯罪は8011件で前年比は563件のプラスとなった。各都道府県警察の相談窓口で受理した、サイバー犯罪などに関する相談件数は13万0011件となり、前年比で1507件・1.1%の減少。冒頭にもあるように迷惑メールに関わる相談は減ったものの、不正アクセス・コンピュータウイルスに関する相談は大幅に増加しており、昨今のインターネットに関わるトラブル、犯罪の実情を表す動向を示している。

↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移(件)
↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移(件)

↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移(2017年、前年比)
↑ サイバー犯罪などに関する相談件数推移(2017年、前年比)

推移グラフでは2005年以降を対象に生成したが、2006年の相談総数が前年比でマイナス27.0%と大きく減っている。これは当時の資料【平成18年のサイバー犯罪の検挙及び相談状況について、PDF】なども併せて確認すると、大きな減少を見せた項目は「ワンクリック請求を中心とする、詐欺・悪質商法」に対する相談であり、一方で警察庁の【インターネット安全・安心相談システム】へのアクセス数が急増、同サービスのうち「料金請求」項目ヘのアクセスが過半数を占めている。同サービスは2005年6月16日に運用を開始していることから、通常の相談窓口を利用する層の多くが、公知によってその存在を知ることとなった、よりハードルの低い「インターネット安全・安心相談システム」へ移行した結果といえる。

詐欺・悪質商法の件数が多いことから、その項目を別分けした上で、主要項目別に経年の相談件数変移を折れ線グラフ化すると次の通りとなる。

↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法限定)
↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法限定)

↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法以外)
↑ サイバー犯罪などに関する相談状況(詐欺・悪質商法以外)

高齢者や若年層が被害を受けやすい架空・不当請求メールを含む詐欺・悪質商法は法整備や各種対策でこの数年漸減傾向にあったが、2013年では大きく増加に転じ、2009年とあまり変わらない水準にまで戻してしまった。以降2015年まで増加を続け、その後は直近まで高止まりを見せ、相談件数総数を大きく底上げする要因となってしまっている。

単純な迷惑メールの件数は2013年に減少したものの、2014年では再び増加に転じ、2016年以降でようやく減少に転じている。同じタイミングで増加を示している違法・有害情報と照らし合わせて考えると、インターネット上のコミュニケーションの主流が電子メールからソーシャルメディアにシフトし、利用機会の増減が生じた結果として相談件数にも影響が生じたともできる(直近年では違法・有害情報は大きく減っているのは幸い)。

かつて問題視されていたインターネットオークション関連の相談は、詐欺・悪質商法から別個項目分けされていることからも分かるように、社会問題化していたが、この数年は漸減。しかし2013年以降は減少にストップがかかり、以後は横ばいの動きにある。詐欺・悪質商法の増加も併せ、金銭に絡んだインターネットに関する相談(をせざるを得ない案件)が増加したことになる。より具体的、悪質な方向にインターネット関連の犯罪性向が変化する兆しなのかもしれない。

リリースでは昨今の脅威情勢について

1.不正送金事犯では対策の成果で都市銀行などを中心に被害が減っている。代わりに電子決済サービスを用いたり、ワンタイムパスワードを聞き出す新たな手口による事案が発生している。不正送金先口座は59%がベトナム人名義、次いで中国人の20%、日本人名義は12%。

2.不正アクセス行為は増加中。識別符号窃用型(アクセス制御されているサーバに、ネットワークを通じて、他人の識別符号を入力して不正に利用する行為)が多発。権利者の設定・管理の甘さにつけ入るスタイル以外に、元権限者やその知人によるものも多い。不正に利用されたサービスとして「オンラインゲーム・コミュニティサイト」が最多。被疑者の年齢階層は13-60歳と広範囲。

3.仮想通貨交換業者等への不正アクセスによる不正送信事犯が多発。認知件数は149件、被害総額は約6.6億円。二段階認証の仕組みを導入しているサービスが多いが、それを利用せずにサービスを用い、被害にあったケースが多い。

などを挙げている。

報告書では検挙事例などを挙げているが、例えば

●不正アクセス禁止法違反
高校生の少年(16)は、28年7月から同年10月までの間、他人のIDとパスワードを不正に取得するため、SNSサイト等を模したフィッシングサイトをインターネット上に公開し、当該サイトを閲覧した者にIDとパスワードを入力させてこれを取得した。29年6月、不正アクセス禁止法違反(識別符号の入力を不正に要求する行為等)で検挙した。(宮城)

●不正指令電磁的記録に関する罪
少年(16)らは、29年3月、フリーマーケットサイトにおいて、コンピュータウイルスの入手方法を購入して同ウイルスを取得した。29年8月から同年9月にかけて、被疑者4名を不正指令電磁的記録取得で検挙した。(奈良)

などのように未成年者による事案も確認できる。また記録によると不正アクセス禁止法違反によって、14歳未満の少年2名が触法少年として補導されている(刑法上14歳に満たない者は罰することができないため)。



今件のグラフのあくまでも「相談件数」の推移(具体例には検挙事案も挙げている)。相談に至らなくとも同様の事象が発生している可能性は多分にあり、また実際に検挙が行われた件数とも別物。とはいえ、デジタル界隈における多種多様な問題の動向を推し量るには、十分役立つデータといえる。

例えば【いわゆる「レイバンアタック」に本物のレイバンも注意喚起】などで解説した、ツイッターのアカウント乗っ取り事案や、以前大いに問題視されたLINEのアカウント乗っ取りと詐取者によるプリペイドカード購入依頼、【とりあえず楽天とAmazonとLINEのパスは変更しておいた方がよさそうだ、という話】にもある通り、主要通販サイトのアカウント・パスワードのセキュリティ問題のように、インターネット上の犯罪に係わる問題は、すでに他人事では無くなっている。さらに昨今ではデジタルカメラ機能付きのスマートフォンの有用性・普及率を逆手に取り、カメラと連動する形で利用者の写真を撮り、あるいは撮るかのような挙動を見せ、脅しの効力を強化する事例まで登場している。インターネット上における犯罪・攻撃は、技術とともに確実に進歩している。

違法・有害情報に関する相談や不正アクセス、コンピュータウイルスに関する相談が急増していることは注目に値する。インターネット関連の技術のハードルが低くなり生活のそこかしこで利用され深く浸透するようになればなるほど、触れる機会は増え、リスクは底上げされる。さらに知識経験の浅い人の利用も増えるため、事案発生のケースが増加することは容易に理解ができる。

情報が単なる文字データでは無く、多様な方面で自らのプライバシー、実生活に大きな影響を与えることを利用者一人一人が十分以上に気を付けるとともに、関係各方面には一層の努力配慮を願いたいところだ。


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