増強3割、同程度6割、縮小5%足らず…自衛隊の防衛力への要望(2015年)(最新)

2015/03/10 14:30

国際社会情勢の変化、兵器技術の向上、近隣周辺諸国の外交姿勢の変貌・圧力の増加などを受け、自衛隊に対する期待はこれまで以上の高まりを受けている。それではその期待の基板となる防衛力そのものに対する要望は、いかなる状況にあるのだろうか。今回は内閣府が2015年3月9日付で発表した自衛隊・防衛問題に関する定期世論調査から、その実情を探ることにする(【自衛隊・防衛問題に関する世論調査(平成27年1月調査)】)。

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今調査に関する調査要項は先行記事【自衛隊への好感度92.2%・調査以来最高値を更新(2015年)(最新)】を参照のこと。

「全般的に見て」という但し書き付きの上で、自衛隊の防衛力について回答者の意見として「増強」「縮小」「今の程度」のいずれの状態(変化)を望むかを尋ねたところ、「増強」を望む人は29.8%と3割近くに登った。現状維持を望む「今の程度」は6割近くで最大多数の回答率。一方「縮小」回答者は4.6%に留まっている。

↑ 自衛隊の防衛力について(2015年、内閣府調査)
↑ 自衛隊の防衛力について(2015年、内閣府調査)

男女別では男性の方が、世代別では高齢層の方が「増強」を望む声が強い。ただし20代は例外で、60代に近い形で「増強」を望む声が上がっている。一方で「分からない」は女性や70歳以上の人が多いが、女性は「判断にいたるだけの情報・知識を習得していない」、70歳以上は戦争体験のことを考えると判断が付きにくい結果によるものと思われる。いずれにせよ、「縮小」を望む声は少数派には違いない。

これを前回調査となる2012年当時の回答状況と照らし合わせ、その差を算出したのが次のグラフ。プラス値が大きいほどその意見が増加した、マイナスほど減少したことを意味する。

↑ 自衛隊の防衛力について(各回答選択肢、2012年から2015年への変移)
↑ 自衛隊の防衛力について(各回答選択肢、2012年から2015年への変移)

大よそ全世代で「増強」が増え、「分からない」「縮小」が減っている。特に20代と60代以降の増加が著しい。ただし中堅層では「今の程度」も増加する動きを示している。また全属性で「分からない」の回答率が減り、防衛力に関して何らかの意見を持つ人が増えていることが明らかになっている。賛否はともあれ、理解啓蒙の類が浸透していることに違いは無い。

これを経年別に見ると、2009年にややイレギュラーな動きがあったものの、ほぼ一様に「増強」意見が増加、「縮小」意見が減少し、「現状維持」がそのままの値を維持している動向が確認できる。

↑ 自衛隊の防衛力について(内閣府調査)
↑ 自衛隊の防衛力について(内閣府調査)

2009年から2012年にかけては「増強」意見が10ポイント以上も増加しており、これまでの「割合上では縮小派分が増強派に移行し、現状維持派はほぼ変わらず」の状態に変化が生じてきた可能性が見て取れる。さらに2012年から2015年にかけても同じように「縮小派の減少」「増強派の増加」が同時に起き、さらに直上のグラフの通り「分からない」派も「増強派」に転じている様子がうかがえる。

なお原文では「防衛力」「自衛隊は増強・縮小」との表現のみ。「防衛力」(≒戦力)との表現では戦車や戦闘機、護衛艦など「直接の正面戦力」のみをイメージしがちだが、実際には、特に「防衛力」という言葉からは正面戦力だけでなく、各種支援体制、情報・補給システム、整備能力、柔軟性に富んだ「決まり」の整備、果ては各隊員の士気維持・向上のための仕組みまで含まれる。

2012年以降の「増強派」の増加は震災での活躍ぶり、そして昨今の国際情勢を受けてのものであることは容易に想像できる。しかし正面装備だけでなくそれ以外の「普段は眼に留まることの無い、自衛隊の『力』の一側面」も防衛力を担う大切な要素であることを認識し、全般的・包括的な観点における「防衛力」の整備を果たして欲しいものである。


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