インターネットのマイナス3.7%は前年同月比からの反動(経産省広告売上推移:2012年3月発表分)

2012/03/11 06:50

経済産業省は2012年3月9日、特定サービス産業動態統計調査において、2012年1月分の速報データを発表した。それによると、2012年1月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でプラス1.7%と増加していることが明らかになった。主要項目別では「ラジオ」がマイナス6.2%と、もっとも大きな減少率を記録している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得元や選択項目の詳細などは記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】の中で解説している。そちらで確認してほしい。今記事はその2012年1月分データ(公開は2012年3月)の速報値を反映させたもの。なおそれより前のデータについては、速報値の後に発表される確定値で修正されたものを用いている。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2011年12-2012年1月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2011年12月-2012年1月)

比較しやすいように先月発表データと並列して図にしたが、前回発表の速報値から確定値に移行するにあたり大きな修正が加えられ、2011年12月の「インターネット広告」が突出する形となっている。それ自身は今月分ではマイナスだが、前年同月(2011年1月)における「1年前の同月比」はプラス43.1%と大きく伸びていたため、その反動によるもの。また「昨月のネット広告」の影響で他の値の印象が薄くなっているが、全般的にマイナス基調の項目が多い。

一方でこれらの軟調さと比べて「売上高合計」の値がプラスを示しているが、これはグラフ上では取り上げていない他項目(屋外広告、その他項目)が複数プラスを示していたのも貢献している。例えば「その他」項目はプラス8.1%、「折り込み・ダイレクトメール」もプラス7.9%を示している。

4マスの軟調、インターネットは前年の反動で下げ、「それ以外」広告の大きな伸びなどの動きは、数字そのものはともかく挙動として【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2012年1月分)】と類する部分が多い。大きなシェアを持つ電通や博報堂の動きが、広告業界全体の動きと相関関係にあることが、改めて確認できる。

今回も該当月における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データとの違和感を覚える部分もあるだろうが、参考値の一つとしてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2012年1月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2012年1月、億円)

昨今では何度か「新聞」を抜き、主要5項目では「テレビ」に次ぐポジションを得る機会を持つようになった「インターネット広告」(【新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる(月次・-2011年12月版)】)。今月発表分は「新聞」が「インターネット広告」を大きく引き離す結果となった。今後しばらくは追いつ追われつを繰り返しながら、次第に新たな立ち位置が確定的なものとなっていくと類推される。

次に、公開されているデータの中期的推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2012年1月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2012年1月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で2009年後半以降は回復、プラス圏を維持」「テレビは2010年あたりから戻しの雰囲気」「ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小」「雑誌はかなり厳しいレベルの下げ幅を継続していたが、ここしばらくは復調の雰囲気も」という傾向を見せてい”た”。そして東日本大地震・震災による影響で2011年3月分から、グラフは大きなうねり・変移を起こしている。今回月はスポットライトを当てている多くの項目で前年同月比マイナスを起こしており、再び下げ基調に推移したのではないかとの心配が生じてくる。

元々紙媒体の電子媒体への一部移行と適正な住み分け(紙媒体のすべてが電子媒体に移行する・できるわけではない。紙媒体にもメリットは多い)、電波媒体の広告プラットフォームとしての立ち位置の正当評価は、メディアの技術進歩や需給関係の変化と共に、漸次進行する。日本の場合は諸外国と事情が異なり、「既得権益を悪と決めつけ、それを打破すべし」と語る報道メディア自身が大きな既得権益を握り、それを守り通そうとする動きが各所で見られ、各メディアの「立ち位置の正常化」「世界の流れに追随する歩み」は遅延している。

一方東日本大地震・震災とそれに伴う各種震災・人災、そしてその後の消費者の中に芽生えた心理変化は、広告出稿側のコスト意識の変化(多くは費用対効果の厳粛・厳密化)、地震報道などで一部ながらも露呈した各媒体の「真の価値」への、視聴者・広告主による意識の移り変わりのきっかけとなり、広告業界ですらも一部軌道修正の上で、全体における変化の「時計の針」を押し進めている。

今後も電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、特定サービス産業動態統計調査の結果の追跡に傾注し、メディアと広告の状況変化の移り変わりのチェックをお勧めしたい。単月ではつかみとれないことが、数か月、数年の流れを見て行くうちに、頭にイメージされるはずだ。

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