乳製品はやや下がったがその他の項目が…(2012年2月分世界食糧指数動向)

2012/03/10 12:00

国連食糧農業機関(FAO)発表が発表している【世界食料価格指数(FAO Food Price Index)】がこの数年の間、高い水準を維持し続けている。この値は1990年以降にFAOが世界の食料価格の変化を定期的に監視・統計して発表しているもの。この値が高いということは、世界全体の食料価格が高めに推移していることを意味する。そしてそれは各種商品市場の動向や政治情勢にも大きな影響を与えている。そこで当サイトでも定期的にデータの更新・グラフの再構築を行うことにしている。今回はその2012年2月分の反映版となる。

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今記事のデータ取得元および用語の解説については、一連の記事のまとめページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で詳しく解説・説明を行っている。そちらでチェックをしてほしい。

まずは、収録されている全データを使った折れ線グラフを生成する。中長期的な食料価格の変移概要がつかめる、資料性の高いものだ。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2012年2月)

砂糖(オレンジ色の線)は元々相場変動性の高い食料品のため変動が激しいものの、それ以外の項目は2005年前後まで、50-150の領域でほぼ留まっていたことが分かる。ところが先の「サブプライムローンショック」に始まる2007年以降の市場動乱・金融不況を皮切りに大きなうねりを見せ、全体的には上昇傾向にある。特に「サブプライムローンショック」時の急上昇とその後の大きな反動による下落の後に起きた「リーマンショック」(2008年9月)以降は、全体的に上昇する一方。ただし昨年後半期からは種類によって下げ率に違いはあるものの、食肉を除き一時的に減少する動きを見せていた。今回計測月の2012年2月では、先月から続く形で再び上昇の気配を垣間見せている。

目に留まる点として一連の金融危機の前に起きた、2005年後半あたりの砂糖の高値がある。これは干ばつによる砂糖の不作(ブラジルやタイなど)に合わせ、新興国での需要拡大が目覚ましいものになってきたこと(生活水準が向上すると甘味の需要が増える)、さらには原油価格の上昇に伴いエタノール利用度が高まり、エタノールの原材料となるサトウキビへの需要が増加したのが原因。当時は「25年来の最高値」と大きな騒ぎとなったが、昨今はそれをはるかに上回る値を算出し続けており、そのような言い回しも無意味なものとなった。

続いて、2007年以降に期間を絞り、直近の金融危機以降の動向が分かりやすいものに生成し直したものがこちら。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2012年2月)

砂糖の2010年初頭からの急落ぶりが目立つが、これは元々過熱感のあった相場に対し、豊作が伝えられたをきっかけにする反動の結果。しかし価格上昇の原因である需要の拡大(新興国、特に中国)に伴う需給バランスの不安定感が解決するはずも無く、再び上昇をはじめている。昨今では高い領域(300超)での上げ下げを繰り返している状態。

今回計測月となる2012年2月においては多くの値で、1月同様に前月から多少ながらも上昇する動きを示している。2月の総合指数215.3(暫定値)は昨年2011年2月(237.9)からは10%ほど低い値ではあるが、昨月と比べれば2.5ポイントほどの上昇を示している。これは乳製品がやや下がったのに対し、他の項目で値の上昇が起きたのを起因としている。

昨今の食料価格の上昇ぶりを確認するため、各指標の前年同月比・前月比を併記し、数字の変移が分かりやすいようにしたのが次のグラフ。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2012年2月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2012年2月)

直近月の前月比では直上で触れているように、乳製品以外は値を上げ、これが食料価格指数そのものを押し上げているのが分かる。一方で前年の同月は高値水準にあったため、特に砂糖においては前年同月比で著しいマイナスを示している。先月比での値動きが一番大きいのも砂糖であり、砂糖の値の振れ幅の大きさが改めて認識できる。

リリースでは今月の動きについて「米相場は低迷したが、小麦やトウモロコシ価格は値を上げた。特に小麦は厳しい寒さへの懸念と、アジア地域での需要急増が後押しをしている」「油脂は原材料の大豆の生産量低下予想が価格を底上げ」「豚肉はロシアと香港での病気の発生により上昇、一方で牛肉と羊肉は下落」「乳製品は供給がやや過剰で下落」「砂糖は最大の生産国であり輸出国でもあるブラジルの天候不順が値上がりの要因。ただしインドやEU、タイやロシアで生産量が拡大したため、上げ幅は限定的」などと説明している。

冒頭にもある通り、直近では食肉を除くと昨年後半からやや値の減少=値下がりが確認できていた。しかし今年に入り再び上昇に転じる動きを見せている。昨年後半の減少が豊作や生産量の増大、在庫放出だけでなく、多分に「経済後退で需要が減ったから」でもあることを考えれば、値の上昇は需要側のお財布事情の改善をも意味し、その点では良い話。しかし一方で食料価格の上昇は後述するように、一般市民の社会生活へのプレッシャーとなり、さらに価格の急変は生産・販売側の経済事情をも大きく変動させることから、素直に喜ぶわけにもいかない。



食料価格の上昇は新興国における需要の急速な拡大(人口の増大と生活水準の向上で加速度的に大きくなる)に加え、バイオエタノールの材料に転用される問題、天候不順や地力減退による不作、さらには商品先物市場への資金流入に伴う相場の過熱感と、多種多様な要素が揃っている。このため、価格が安くなる要素を見つけにくい。需給関係のバランスを大きく動かす事態が発生しない限り、中期的には値を上げ続ける。

昨年後半は先進諸国、そしてそれに連動する形で新興国の経済上の歩みの乱れが需要減を、そして幸いにも複数種の作物における豊作を起因とする供給増が、価格下落を導いていた。数少ない「価格が安くなる要素」が発動していたのだが、これが今年に入ってから鎮静化し、再び大きく上昇する気配がある。

一連の記事からの繰り返しになるが、日々の生活では欠かせない食事のベースとなる穀物価格、そして贅沢品のベースとなりやすい砂糖や油脂の高騰は、社会情勢を不安化させる要因となる。昨今の世界各地で頻発する情勢不安・差別化問題に対する運動拡大化も、要因の一つに食料価格の上昇があると考えるのが道理。それだけに食料価格を世界的な視点で眺めるこど可能な、今件世界食料価格指数には、十分な留意が求められよう。

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