景気のさらなる後退の足音が広告費動向にも見え隠れ(電通・博報堂売上:2012年2月分)

2012/03/10 07:00

[博報堂DYホールディングス(2433)]は2012年3月9日、同社グループ主要3社の2012年2月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が同年3月7日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2012年2月次における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

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データ取得元の詳細や各項目に関する留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で解説している。そちらで確認のこと。

二大広告代理店の2012年2月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2012年2月分種目別売上高前年同月比

東日本大地震・震災による直接的な広告費のへの影響は、数字の上ではほぼ終息。そして現在では震災以前からの広告業界・メディアの流れ「4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が苦境に陥っている」状況がそのまま継続する動きが見受けられる。また、景気のさらなる後退の足音が確実に聞えており、それを反映するかのような動きもある。

2月の特徴としては、4マス全般、特に「雑誌」が軟調な一方、「インターネットメディア」も博報堂で大きく下げているのが目に留まる。一年前のデータと見比べると、博報堂の「インターネットメディア」での今月マイナス10.6%は、前年同月が「その時の」前年同月でプラス65.9%だったことから、多分にその反動によるものと思われる。一方電通は(2011年2月では)プラス17.1%を示しており、そこからさらに今回月、わずか3.7%だがプラスの値を描いたのは、昨今の情勢を考えると十分以上の健闘といえる。また4マスは昨年も似たような動きを示しており、この時期は元々さえないようだ。

両社合わせると前年同月比でプラスなのは全部で6項目。前月の9項目から3項目減っており、やや軟調な動きなのが見て取れる。4マス内では「ラジオ」(博報堂)しか無く、今一つ盛り上がりに欠ける。

「4マスとインターネットメディア」以外は起伏が激しいが、電通の「OOHメディア」や両社「クリエーティブ」など、堅調な動きを示す項目も少なくない。「この時期(年末年始)は元々これら広告が伸びやすい時期と考えることもできる」とは前回2012年1月回分での言い回しだが、今月もまだその余韻があるように見える。

なお今件記事中最上位にあるグラフに記された値について説明しておくが、これは「個々の会社の前年同月比」であり、額面の絶対額を意味しない。例えばインターネット分野の額面は、他の分野と比べればまだ小さめ。そして個々分野を会社毎に比較した額面上では、電通の方が上となる。

電通・博報堂HDの2012年2月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2012年2月における部門別売上高(億円、一部部門)

電力需給のひっ迫感は相変わらず。原発周りの問題で他の様式の発電所の稼働率は異様なまでに高まり、無理な稼働率上昇によるトラブルリスクは例年にないほどの高まりを見せている。このような中、今年に入ってからの東電・東北電・中電・北海道電管轄の電力需給を昨年同日(震災前)で比較すると、約5%の節電効果が確認できるが、この減退率を維持したまま、そしてさらに電力供給力が減ることを想定すれば、夏の電力需要の高まりの際に、(2011年以上の統制をしない限り)供給力不足が生じることは容易に想像できる。

そのような電力事情を見越してか自動販売機や電灯など、電力を常用する公的あるいはそれに準じる施設・機器では、加速度的に節電機能が開発、搭載される動きが見受けられる。新スタイルの広告手法として注目されている「デジタルサイネージ」もまた、【池袋駅のデジタルサイネージ、その後】で報告しているように地震直後のような「すべて全面オフ」という状況からは復帰しているものの、積極的な節電の「空気」は深く浸透し、以前ほどの活力は見られない。「全国規模で」電力浪費による非難リスクを自然に避ける傾向が見受けられる。

そのような状況なら電力消費をほとんど伴わない、従来型野外広告にもう少し注目が集まるのは自然の流れ。昨今の「4マスとネット以外の堅調さ」の動きも、毎年恒例の「年末年始-年度末」における季節属性的なもの以外に、一部はそのような社会的状況が影響しているものと考えられる。

今後は従来型・4マス・ネットそれぞれの長所を上手く流用・活用・併用し、予算の上だけでなく電力消費の観点からも、「慣習だから」との理由だけで効果の無い・薄い手法にとらわれることなく、コストパフォーマンスの高い、そして同時に効果が分かりやすい広告手法が(今まで以上に)求められる。本来なら自然の流れとして発するべき、発想に優れた広告に注目が集まり、採用され、トレンドとして消費者の目に留まる機会が増えてくるに違いない。

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