読売1000万部未達成継続、毎日は前期比マイナス0.97%…新聞販売部数動向(2011年後期分データ更新・半期分版)

2012/03/09 06:45

当サイトでは複数のソースを元に、日本の新聞業界に関する全般的動向を継続して追いかけている。その中の一つが、年二回ほど読売新聞社の広告ガイドページ経由で公開される、日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」のものを対象としたもの。そのうち2011年後半期分について、先日2012年3月8日までに更新が確認された。そこで今回は2011年前期分データを用いた記事の更新版として、各種データについて最新のものを反映した上で、主要新聞社の新聞発行部数などをグラフ化してみることにした。

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まずは先日更新された最新データを元にした、主要全国紙、すなわち読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日経新聞・産経新聞の計5紙の「販売部数」。これは各紙広告関連ページで取得することができるが、全紙のものは【新聞広告データアーカイブ】からリンクをたどり、【読売新聞社の広告ガイドページ】に掲載されている、「日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」2011年7月-12月平均」で取得することができる。なおこれは朝刊「販売」部数。

↑ 2011年後期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)
↑ 2011年後期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)

「販売部数1000万部超」をうたう読売新聞だったが、2011年前半期でその大台を割り込んでしまったことは以前伝えた通り。今回も起死回生は果たせず、そのコピーが使えない状態が続くこととなった。その読売新聞に続くのは朝日新聞、半分以下に減少して毎日新聞、日経新聞、そして産経新聞の順となる。この順位は以前から変わりない。読売新聞が他紙と比べて数的に優位な立ち位置にあるのは、『東洋経済の2010年 2/20号 特集:再生か破滅か……新聞・テレビ 断末魔』によれば「ホテルなどへの営業が功を奏している」のが要因とのこと。その状態は今も継続しているものと推測される。

また、「朝日新聞絶対防衛ライン(とされていた)800万部」はさらに侵攻を許す形となる。これで2010年前期以降4期連続のカウント。

全部マイナス
せっかくなのでいくつか比較グラフを生成する。まずは前回記事で掲載したように、前回期との差異。単純計算で半年の間にどれだけ部数が動いたかを知ることができる。

↑ 2011年後期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2011年前期との比較)
↑ 2011年後期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2011年前期との比較)

前回期ではどうにかプラスを見せた日経新聞もあえなくマイナス。それも含め今回期では主要5紙がすべてマイナスとなった。毎日新聞の下げっぷりは前回期同様だが、今期で「も」そこに朝日新聞が加わっている。発行部数が異なるため似たような下げ率でも、減少部数は大きく異なるが(毎日は約3.3万部、朝日は約7.3万部の減少/半年)、関係者にとって穏やかならぬ心境には違いない。

さて過去の記事同様に半年前(つまり前回期)との世帯普及率の比較をグラフ化してみる……としたいところだが、今回更新データでも前回期同様に、世帯普及率は掲載されていない。これは昨年3月に発生した東日本大地震・震災の影響で岩手・宮城・福島三県の世帯数が発表されていないため、おおもとの日本ABC協会でデータを提示していないのが要因。

そこで概算として「前々期(三県分データも含まれている)と今回期における、三県を除いた合計世帯数の変化率」を算出した上で、その変化率をそのまま三県にも適用して、暫定合計世帯数を求め、その世帯数を上記の発行部数と合わせて普及率を計算した。恐らくはカンマ数%のレベルで公式データとの誤差が生じてしまうが、参考値レベルのものと念頭においた上で見て欲しい。

なおこの「世帯普及率」とは全世帯のうち、どれだけの世帯に各新聞が届いているかを示しているもの。産経新聞なら2.99%なので、100世帯のうち約3世帯が産経新聞を取っている計算になる。

↑ 2011年後期における主要全国紙の世帯普及率(2011年前期との比較)
↑ 2011年後期における主要全国紙の世帯普及率(2011年前期との比較)

朝刊は世帯単位で定期購読されることが多いため、ある意味単なる部数よりも新聞のすう勢を推し量れるのだが、これを見ても読売新聞の絶対的なポジション、(暫定値ではあるが)毎日と朝日の減退率が見て取れる。産経は今項目ではまったく微動だにしていないが、部数は減退しており、いわゆる「誤差」が生じたものと推定される。



【1年間で98万部減……新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2011年分・新聞業界全体版)】にもあるように、主要紙の発行部数は確実に減少している。さらに【新聞やテレビなどへの新聞やテレビなどへの業種別広告費推移をグラフ化してみる(2011年版・電通資料ベース)】【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(経済産業省データ・2011年版)(中)…ネット以外動向概況編】でも触れているが、部数の減少だけでなく質の低下も相まって、広告費も急降下状態にある。昨今の各紙、特に経済や政治面での記事において、「一次ソースを当たらずに、内容をそのまま鵜呑みにするのは、読者にとって高リスクであり、虚言を教え込まれてしまいかねない」事例が多発している状況は、単なる「質の低下」の域を超えた異常事態とも表現できる。

売上を伸ばす努力はしているが、それは果たせない。となれば当然経費の削減をしなければ、会社の経営が成り立たなくなる。しかし経費削減の過程で「削ってはいけない部分」まで削れてしまい、会社全体としての士気減退や能力欠如が懸念される声が随所から聞かれる(「質の低下」の一因もここにあると容易に推測できる)。

しかも経費削減の成果は比較的すみやかに・数字の上ではっきりと表れるものの、その副作用はすぐには数字上に現れることは少なく、じわじわと、そして確実に浸透して影響をもたらす。そして事態の悪化に気が付き、状況の回復を図ろうとした時には、削減した経費以上の手間暇や資金がかかり、あるいは手遅れになってしまうのが世の常。

マスメディアの仕組みそのものでは無く、それを動かす人達の立ち振る舞いに向けて疑問符を投げかける人が増えているのも、その「副作用」によるものが一因ではないのか。そう考える人も少なくあるまい。


■関連記事:
【戦中からの新聞の発行部数などをグラフ化してみる】

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