一人身世帯で減る「公的年金への信頼」、増える自己防衛

2012/03/09 06:35

年金計算金融広報中央委員会の「知るぽると」は2012年2月22日、【家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](2011年)】【家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯](2011年)】を発表した。発表資料では主にお金のやりくりの視点から見た、一般世帯の動向を推し量れる数多くのデータが開示されている。今回はその中から「老後の生活費の収入源として考えている手立て」について焦点を当てることにする。

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今調査は直近のものについては「二人以上世帯」が2011年10月7日-11月14日に層化二段無作為抽出法で選ばれた「世帯主20歳以上で世帯員2人以上」世帯に対して訪問・郵送の複合・選択式で行われたもので、有効回答数は3800人。「単身世帯」は2011年10月14日から27日にかけて、「20歳以上70歳未満、単身で世帯構成」世帯に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2500人。過去もほぼ同形式で行われているが、「単身世帯」調査は2007年以降に限定されている。

一部自営業を除けば60歳以降の定年退職で就業していた職場を離れ、セカンドライフ(第二の人生)を堪能するようになる。その際の生活費をどのような手段でまかなうかは人それぞれ。年金だけで十分の人もいれば、到底足りずに再び職に就く人、これまでの蓄財を切り崩していく人もいる。今件では老後の生活費をどのような収入源で補うかについて尋ねたものだが、単身・二人以上世帯双方ともトップは「公的年金」となっている。

↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(2011年)
↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(2011年)

二人以上世帯の方が「公的年金」への依存度が高いが、これは多分に受給額が大きい厚生年金を対象としているからだと思われる。

第二位には「就業収入」がついているが、こちらは単身世帯の方が10ポイント近く高い。配偶者の就業収入に頼ることも出来ず、「公的年金」の不足分は自らの手で稼ぐという選択肢として考えれば納得はいく。一方第三位の「企業・個人年金、保険金」は老後を迎える前の備えを利用するものだが、やはり雇用事例や老後に至るまでの金銭的な余裕の比較で、二人以上世帯の方が高い値を見せる。

「公的年金」がメインで、「就業収入」「企業・個人年金など」が補完、余裕がある人は「金融資産の取り崩し」も併用。一人身ほど自らの手で稼ぐ傾向が強いなど、世帯構成によるお金周り事情の違いがすけて見えてくる。

さてこれをデータが残っている2007年以降の推移でみると、いくつかの動きが確認できる。

↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(単身世帯)
↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(単身世帯)

↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(二人以上世帯)
↑ 老後の生活費収入源(3つまでの複数回答)(二人以上世帯)

大まかな動向は直近の2011年と同じだが、

・単身世帯では「就業収入」「企業・個人年金、保険金」への傾注が増えると共に、「公的年金」が減っている。
 →「公的年金」への期待低下、それを補完するために自ら働こうという意志の高まり
・「就業収入」「企業・個人年金、保険金」への傾注が増える
 →漠然とした収入の減退不安、それを補完するために自ら働こうという意志の高まり
・2011年の「金融資産取崩し」回答者急減

の傾向が確認できる。「国民年金」と「厚生年金」の受給額の差や、世間一般に語られる「リスク」の違いがそのまま表れている。

一方、2011年の「金融資産取崩し」への回答者の急減は原因不明。片方だけならデータの「ぶれ」の可能性もあるが、単身・二人以上双方の世帯で同じ動きが確認できる。景気悪化で漸次取り崩しを行い、将来まで維持できそうにないとの考えが急速に広まった可能性もある。

ともあれ、老後の生活を支える収入源としては、「公的年金」に依存期待をしながらも、単身・二人以上世帯それぞれが各個の事情や思惑に従い、対策を練り実行していることがうかがえる。特に単身者で「就業収集」への傾注が高まる点は、現時点でも大きな社会問題化している失業率・雇用市場との関係も深いことから、今後の動向も注意をすべき項目といえよう。


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