松屋は値下げで客単価は落ちるも客数増で売上プラスに…牛丼御三家売上:2012年2月分

2012/03/06 06:45

[吉野家ホールディングス(9861)]は2012年3月5日、同社の子会社である牛丼チェーン店吉野家の2012年2月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス4.2%となった。牛丼御三家のうち[松屋フーズ(9887)]が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年2月における売上前年同月比はプラス3.7%、[ゼンショー(7550)]が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス2.9%の動きを見せている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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吉野家のこの1、2年での動向を確認すると、同社では2010年9月から、メインメニューの牛丼より安価な「牛鍋丼」を発売、これが売上高アップに大きく貢献した(同月の売上高は前年同月比でプラス5.9%を記録している)。しかしその後は大きな新商品展開のイベントなども無く、オプション的メニュー「小鉢」も大きな影響は与えていなかった。そして【吉野家でカレー…吉野家から「こく旨カレー」「旨辛カレー」登場】にもあるように2011年8月から「こく旨カレー」「旨辛カレー」の発売を開始。さらにトッピングとしてチーズも登場させている。

2011年9月には昨年発売した「牛鍋丼」をリニューアルすると共に、「追っかけ」のバリエーションを変更(【吉野家、「牛鍋丼」を新味に・「おくらとろろ」「とろりチーズ」を「追っかけ」に追加】)。これらの動きを受けて客単価は大きく上昇していたものの、11月にはそれも失速。昨月2011年12月分では【吉野家の「焼味豚丼 十勝仕立て」 、販売累計数300万食突破】にもある通り同年12月8日から発売を開始した新メニュー「焼味豚丼 十勝仕立て」 が好評を博して客数・売上共に5か月ぶりに前年同月比でプラスに転じた。

今回の2012年2月分では1月分同様に売上をマイナス圏に戻してしまっているが、【吉野家の「焼味豚丼」「豚焼定食」合わせて1000万食突破、みそ汁とのセットでの割引クーポン配布】で伝えているように、「焼味豚丼」「豚焼定食」の歩みは堅調。特に客単価の向上に貢献している。

↑ 牛丼御三家2012年2月営業成績
↑ 牛丼御三家2012年2月営業成績

この半年ばかりは「復調」「本格的な回復はまだ先」という表現を重ねていた吉野家の客数だが、2011年12月分でようやく前年同月比プラスを記録。今回2月は再びマイナスとなるが、「前年同月の2011年2月における」前年同月比はプラス8.7%だったことを考えると、かろうじて一昨年の水準を維持したといえる(108.7%×92.7%≒100.8%で、プラス0.8%となる)。

松屋の焼肉定食などの値下げ看板松屋は客数と客単価のバランスが良く、客単価が不調気味でもその分客数がカバーをし、売上高を積み増し、安定的な売上を継続している。今回2月分では【松屋の牛めし、定価を320円から280円に値下げ・豚めしは販売終了へ】【昨月の定価引き下げからさらに・松屋が期間限定で牛めしを240円に値下げ】、さらには【松屋、16日から「牛焼肉定食」「カルビ焼肉定食」を値下げ】など相次ぐ値下げ攻勢の影響で客単価は下がったものの、その分客数を確実に伸ばし、「牛丼御三家」では唯一売上の前年同月比をプラスに押し上げることとなった。

一方すき家は、昨月に続き今月も前年同月比の売上がマイナス。1年前の冬期において、客数の大幅増加に伴う売上増が起き、その反動による客数の「前年同月比での」マイナス化傾向は1月でほぼ終わったはずだか、今2月分でもまだ余韻を残しているようだ。なおすき家は2009年に入ってからほぼ毎月、前年同月比での客単価でマイナスを記録している(プラス月は3回のみ)。売上増のためには客数を伸ばすしかなく、これが長所でもあり弱点にもなっているように見える。

先日の【2012年1月度のチェーンストアの売上高、前年同月比マイナス1.2%】でも書き記しているが、チェーンストア(デパートやスーパー)では1月の時点でも、「和牛は相変わらず不調、さらに豚肉も不調だが、鶏肉は堅調」という動きが確認できる。「震災」の影響がまだ多少ながらも継続している感があり、これが牛丼御三家でも心理的な部分で、客足に影響を与えている可能性は十分にある(もっともこれは牛丼だけに限らず、【2012年1月度の外食産業の売上は前年同月比でプラスマイナス0.0%・天候不順もファストフードなどの堅調で穴埋め】の通り、外食の焼肉チェーン店全体にいえることなのだが。そして外食・焼肉店の場合はむしろ、生肉商品の問題を起因とするところが大きい)。

2月分を各社一言ずつでまとめると「吉野家…客単価はプラス、客数は前年同月の反動でマイナス、売上も客足に引きずられてマイナスへ」「松屋…値下げで客単価は落ちるも、それ以上の客数増で売上プラス」「すき家…客数軟調で、売上も振るわず」という形になる。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年2月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2012年2月)

すき家の客数増加は昨年頭から歩みがゆっくりとしたものになり、8月以降はギリギリプラスを維持していた。そして2011年12月分以降はマイナスに転じたまま。上記にある通り、すき家は継続的な客単価減少傾向にあるため、客数の増加でしか売上のアップを見込めない状態のため、客数の減少は他の2社以上に大きな影響を与え得る。

店舗数比較では、すでにすき家がはるかに吉野家を超える形(【牛丼御三家の店舗数推移をグラフ化してみる(2011年12月版)】)。今でもすき家の拡大戦略は続いている。また昨今では松屋でも少しずつ拡大路線を歩み始めたようだ。これらの動きが営業成績とどのように関連してくるか、気になるところではある。

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