「ハイリスク・ハイリターン」敬遠傾向強まる

2012/03/08 12:10

資産の安全金融広報中央委員会の「知るぽると」は2012年2月22日、【家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](2011年)】【家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯](2011年)】を発表した。発表資料では主にお金のやりくりの視点から見た、一般世帯の動向を推し量れる数多くのデータが開示されている。今回はその中から、「ハイリスク・ハイリターンの金融商品への願望」について焦点を当てることにする。

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今調査は直近のものについては「二人以上世帯」が2011年10月7日-11月14日に層化二段無作為抽出法で選ばれた「世帯主20歳以上で世帯員2人以上」世帯に対して訪問・郵送の複合・選択式で行われたもので、有効回答数は3800人。「単身世帯」は2011年10月14日から27日にかけて、「20歳以上70歳未満、単身で世帯構成」世帯に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2500人。過去もほぼ同形式で行われているが、「単身世帯」調査は2007年以降に限定されている。

金融商品には「絶対」は無いが、リスク(マイナスの結果を生み出す可能性)の大小と、そのリスク込みの商品を選ぶことで得られるリターン(利益、収益)のバランスを考え、購入者自身で選択することができる(「買わない」のも選択の一つ)。今件項目では、「元本割れを起こす可能性があるが、収益性の高いと見込まれる金融商品」について、今後1-2年間の購入・保有性向を尋ねている。例えば株式、投資信託が該当する(預貯金などは該当しない)。

直近の2011年のデータでは、購入そのものを希望しない人が単身者で64.4%、二人以上世帯で82.9%に達している。特に(世間一般にいうところの)「世帯持ち」で、リスクを極力避ける傾向が見受けられる。

↑ ハイリスク・ハイリターン金融商品の保有について(2011年)
↑ ハイリスク・ハイリターン金融商品の保有について(2011年)

四半期ごとに日銀から発表される資料を元に記事化している「家計資産推移」でも明らかだが(直近は【日米の家計資産推移をグラフ化してみる(2011年3Q分)】)、日本では諸外国と比べて(特に金融方面で)リスクを敬遠する傾向が強い。正確には「リスクとリターンの正しい関係」を習得していない感がある。あるいは強固な慎重さを持っている、と表現すべきか。

また、二人以上世帯の方がリスクを強く避けるのは、「家族」という守るべきものがあることや、リスクが生じた時に自分以外に迷惑がかかるという気負いがあるからだと思われる。

今調査項目の結果は2007年以降の値が収録されている。それらをまとめてグラフ化したのが次の図だが、単身・二人以上双方の世帯で、リスク回避傾向が強まっているのが確認できる。

↑ ハイリスク・ハイリターン金融商品の保有について(単身世帯)
↑ ハイリスク・ハイリターン金融商品の保有について(単身世帯)

↑ ハイリスク・ハイリターン金融商品の保有について(二人以上世帯)
↑ ハイリスク・ハイリターン金融商品の保有について(二人以上世帯)

元々リスク性向へ立ち向かう勢いが強かった単身世帯の方が、リスク回避へと流れて行く動きも大きなものとなっている。2007年といえば今日まで続く金融危機が体現化した年でもあり、「リスクを避けよう」という考えが支配的になるのも理解はできる。



「家計資産推移」でも中期的な傾向として「現金・預金」比率の増加は確認されていたが、今回別の視点からも「日本の世帯におけるリスク回避の動きの強まり」が明らかになった。一方で先日から伝えられているAIJの問題(【消えた企業年金、2000億円の大半...AIJ投資顧問のどたばた】)などを見ると、元々本質的な「安全志向」の他に、本文中でも触れている「リスクとリターンとの正しい関係」に関する知識・経験が不足している雰囲気がある。

市場環境の改善を待ち望む以外に、そもそも論として「お金とは何なのか、どのような役割を果たしているのか」あたりから、経済や金融の基本的な知識の啓蒙が必要なのかもしれない。

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