ブルガリアの急上昇・スペイン若年層の失業率49.9%に上昇…EU失業率動向(2012年1月分)

2012/03/06 12:00

ヨーロッパ各国でも「若年層の高失業率」が問題視されている。その中でも特に高い失業率を持つスペインの(当時の)直近2011年12月分の値を、先日【EU統計局(Eurostat)】で毎月発表している、失業率関連の統計データの最新版で確認した。同統計局は2012年3月1日に同年1月時点のEU内における失業率関係の統計データを公開し、各値が最新のものに差し替えられることとなった。そこで今回はその公開資料を元に、先の記事における各種グラフを更新し、状況の把握を試みることにした(該当リリース:【January 2012:Euro area unemployment rate at 10.7%(PDF)】)。

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文中・グラフ中にあるEA17やEU27については一覧ページ【ヨーロッパ諸国の失業率動向(EU統計局発表)】上の解説部分を参考のこと。

ILO基準における2012年11月時点の発表データによる失業率は次の通り。なお今回発表された資料では、日本の2012年1月時点の値は盛り込まれていないので、空欄としてある。

↑ 2012年1月時点での失業率(季節調整済)
↑ 2012年1月時点での失業率(季節調整済)

スペインは相変わらず20%強の値を示し、ギリシャもほぼ2割。たかだか一か月ほどで状況の大きな変化があろうはずもなかった。そして、やはり債務問題でしばしば報道に登る国が上位についている状況を見ると、失業問題と経済・債務問題が密接な関係にあることが推測できる。

良い機会でもあるので、前回記事の値(2011年12月分)との差異を計算し、グラフ化を行う。なお失業率については(次の若年層周りでも同様だが)、国によって細かい修正が過去にさかのぼって行われることがある。そこで前月比の算出の際に、今回計測月より前の月のものでも、最新のデータへ差し替えられているものがあれば(今回の場合は2011年12月分が該当)、新しい値を入力し直した上で計算を行う。

↑ 失業率変化(プラス=悪化)(季節調整済・2011年12月→2012年1月)
↑ 失業率変化(プラス=雇用状況の悪化)(季節調整済・2011年12月→2012年1月)

大きな変化はないものの、スペインとイタリアでの増加=失業状況の悪化が気になるところ。

そして冒頭にあるように、特に問題視されているのが、若年層の失業率。25歳以下の失業率はEA17か国で21.6%・EU27か国でも22.4%を記録しており、5人に1人以上が失業状態。特にスペインの49.9%を筆頭にギリシャやスロバキア、イタリアなど、経済的に弱い国や労働市場における問題点を抱える国での高さ、急激に経済が冷え込んだ国での失業率の増加が確認できる。

↑ 2012年1月時点での25歳以下の失業率(季節調整済)(1月データが無い国は直近分)
↑ 2012年1月時点での25歳以下の失業率(季節調整済)(1月データが無い国は直近分)

↑ 2012年1月時点での25歳以下の失業率・前年同月比変化(季節調整済)(12月データが無い国は直近分)
↑ 2012年1月時点での25歳以下の失業率・前年同月比変化(季節調整済)(該当月データが無い国は直近分、但し前月用比較対象として2011年10月以前の値を使わざるを得ない場合は誤差が大きくなるため使用せず、2011年11月の値から変わらずとして、プラスマイナスゼロにする)

ブルガリアの急上昇(プラス1.9ポイント)が気になるが、【ブルガリア、寒波で1週間の経済損失が最大数億円に(モーニングスター)】などによると、猛烈な寒波の影響で言葉通り経済も冷え込み、小売や流通業者が厳しい状況にあるとのこと。労働市場では弱者の立場にある若年層にしわ寄せがいった可能性もある。

各国とも総じて若年層の失業率が高いのは、産業構造の変化、そして若年層が手掛けることが多い「技術が未習得で比較的容易な作業」が機械化されたり、為替レート上で相対的賃金の安い新興国に割り振られるのが主な要因。また、高齢化により就労年齢が上がる一方で労働市場が縮小しているため、必然的に「席が空かない」状態になり、若年層が割を食う事態に陥っている。さらには意図してか、結果論なのかは判断が分かれるが、【欧州の若年失業問題の整理に役立ちそうな記事】の例にあるように、「高齢者優遇」「若者冷遇」の雇用対策の結果が、若年層の失業率増加の大きな起因となっている(その点、若年層でも失業率が低いドイツは、労働市場における上手い切り口による政策をこなしているようだ)。

日本でも先日、2011年分の速報として労働力調査の最新データが公開された。これを受けて先日【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2011年版)】などを記事化したが、若年層の状況はやや改善したものの、やはり他世代と比べれば高い失業率は維持されたままとなっている。労働市場、失業対策においては「他国と比べればマシだから我慢するように」では無く、「低い国々から有益な手法を学び、自国の状況改善に役立てられるかを検証する」、積極的かつ先行きが明確に明るい政策を求めたいところだ。

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