金融資産を持たない世帯、二人以上は3割近く・単身は4割近く

2012/03/04 12:00

金融資産金融広報中央委員会の「知るぽると」は2012年2月22日、【家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](2011年)】【家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯](2011年)】を発表した。発表資料では主にお金のやりくりの視点から見た、一般世帯の動向を推し量れる数多くのデータが開示されている。そこで今回から何回かに分けて、重要と思われる項目にスポットライトを当て、状況の把握を試みることとする。今回は「金融資産の保有の有無」についてである。

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今調査は直近のものについては「二人以上世帯」が2011年10月7日-11月14日に層化二段無作為抽出法で選ばれた「世帯主20歳以上で世帯員2人以上」世帯に対して訪問・郵送の複合・選択式で行われたもので、有効回答数は3800人。「単身世帯」は2011年10月14日から27日にかけて、「20歳以上70歳未満、単身で世帯構成」世帯に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2500人。過去もほぼ同形式で行われているが、「単身世帯」調査は2007年以降に限定されている。

今件における「金融資産」とは、預貯金などの金融商品を意味する。なお、事業性の預貯金や、給与振込・振替などで一時的にしか口座に留まらない預貯金は「金融資産」には該当しない。その「金融資産」を有するか否かの問いに対し、「ある」と答えた世帯の推移が次のグラフ。「単身世帯」の調査が2007年以降なので、それとの比較がしやすいよう、今世紀に限定したグラフも併記した。

↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(1963-2011年)
↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(1963-2011年)

↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(2001-2011年)
↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(2001-2011年)

個人の事情やポリシーなどもあり、100%ということはありえないものの、前世紀末までは9割台を維持していた「金融資産保有率」も、21世紀に入ってからは逓減。特に今世紀初頭の不景気における低下は著しいものとなっている(約10ポイントほど下がっている)。その後景気の持ち直しと共に、二人以上世帯では8割近くまで戻しているが、2011年では前年比で6.3ポイントもの急落が確認できる。この下げ幅は奇しくも2002年から2003年における不景気下でのものと同一で、少なくとも「二人以上世帯の金融資産保有率」の観点からは、ほぼ同じレベルであることがうかがえる。

また単身世帯では二人以上世帯よりも早く不景気の影響が出ており、2010年から大幅な下落が確認できる。2009年からの2年間での下げ率は8.8ポイント。2011年において単身世帯の4割近くは「金融資産を持っていない」との計算になる。

金融資産の保有状況は、各世帯の年収と少なからぬ関係がある。次のグラフは世帯年収別の「金融資産保有率」を示したもの。単身世帯でややぶれが目立つものの、全般的には「低年収ほど金融資産を持たない世帯が多くなる」傾向が確認できる。

↑ 金融資産「非」保有率(単身・二人以上世帯)(2011年)
↑ 金融資産「非」保有率(単身・二人以上世帯)(2011年)

今件「収入」は就業に伴う収入、年金、不動産賃貸収入、利息収入などの税引き後収入を意味し、土地・住宅、株式などの資産売却に伴う収入は含まれない。無収入世帯では他世帯の世話を受けているか、売却益などを利用しているなどが想定されるが、年収300万円未満世帯同様、金融資産を持たない世帯が多いことが分かる。

また、世帯構成別に見ると、概して単身世帯は二人以上世帯と比べ、金融資産非保有率が高い。収入の面で辛い面が多い、あるいは必要性を感じにくい点が影響しているのだろう。



データ非開示のため掲載は略するが、前回の不景気(21世紀初頭)に比べると、低年収層における「金融資産非保有率」はまだ低い値に留まっている。むしろ中堅層-高収入層での「非保有率」上昇が、全体値を押し上げる構造が見て取れる。

データを良く見ると、金融資産の定義部分に「金融資産には、土地・住宅等の実物資産は含まない」とある。将来の金銭周りの考えで、「不動産などの実物資産を含む遺産について、財産を残す子供がいないうえ、自分の人生を楽しみたいので、財産を使い切りたい」とする意見も多い。これらの結果から「金融資産の非保有率上昇」の一因として、「金融資産にカウントされない実物資産の増加」があるものと考えるのが妥当といえよう。


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