テレビは横ばい、ネットは上げ幅縮小、新聞は急降下中…過去20余年の媒体別広告費動向(2012年発表)

2012/03/01 06:50

[電通(4324)]は2012年2月23日、日本の広告費に関する調査報告書を発表した。それによると、電通推定による2011年の日本の総広告費は前年比2.3%減の5兆7096億円であることが明らかにされた。景気低迷による企業の予算縮小や円高、東日本大地震・震災をはじめとした各種災害の影響を受けて広告の出稿も減少。結果として広告費全体額も減ってしまった。今報告書では広告業界に関する多種多様なレポート・データもあわせて掲載されており、業界の動向を知るのにはよい資料といえる。今回は昨年の同趣旨の記事のスタイルを踏襲する形で、1985年以降の主要メディア毎の広告費の移り変わりについて、グラフ化してみることにする(【発表リリース、PDF】)。

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今資料では1985年以降の主要媒体別の広告費一覧(あくまでも電通の推定によるものだが)が掲載されている。その値をグラフ化したのが次の図。

↑ 媒体別広告費とGDPの移り変わり(1985-2011年)(単位:億円)(右軸:GDP)(電通推定)
↑ 媒体別広告費とGDPの移り変わり(1985-2011年)(単位:億円)(右軸:GDP)(電通推定)

計測基準の変更により、2004年と2005年との間では厳密には連続性は無い(正確には雑誌、インターネット広告、SP広告/プロモーションメディア広告の3項目)。特に「SP広告/プロモーションメディア広告」では大きな差異が両年間に生じている。突然該当広告部門に大規模な変化が生じたわけではないので注意を要する。

このようにグラフ化してみると、(連続性を欠いた部分は別にしても)オーソドックスな「SP広告/プロモーションメディア広告」がそれなりに順調な伸びを示していたが、2007年の「金融危機」以降は下降傾向にあること、今世紀に入ってから順調に成長を見せているのは「衛星メディア」と「インターネット広告」だけであることが分かる。

「雑誌」はそれでも2005年に少々ふくらんだようにも見えるが、これは「連続性の寸断」によるもので、むしろその差分が生じたあとは下げ幅を拡大している。「新聞」は多少の起伏はあるが1990年代前半にピークを迎えた以降は横ばい、2000年以降は加速度的に減少しているのが確認できる。「テレビ」は1990年代後半にピークを迎えたあとに横ばい、ここ10年ほどは落ち込みを継続、2009年-2010年にようやく底打ち感を感じさせる動き。

「伸び悩んでいる媒体」に共通しているのは、1990年代後半(媒体によっては前半)にピークを迎えたあと(広告費の)成長が止まっており、 2002-2003年前後から下げ基調を見せていること。この「下げ基調」の時期は携帯電話やインターネットの普及など、新しいメディアが世間一般に浸透し始めた時期と一致する。利用者のメディア移行に伴い、広告出稿側もバランスの調整をはじめたと考えた方が自然ではある。

ちなみに次の図は、各メディア毎の広告費「前年比」。最初に示したのは全項目で、額面が小さい事もあり、あまりにも起伏が激しい「インターネット」と「衛星メディア」のものを除いたのが二枚目の図。

↑ 媒体別広告費の移り変わり(1985-2011年)(前年比)(電通推定)
↑ 媒体別広告費の移り変わり(1985-2011年)(前年比)(電通推定)

↑ 媒体別広告費の移り変わり(1985-2011年)(前年比)(電通推定)(衛星メディア、インターネット除く)
↑ 媒体別広告費の移り変わり(1985-2011年)(前年比)(電通推定)(衛星メディア、インターネット除く)

2004-2005年の間で連続性を欠いているため、その部分の起伏がイレギュラーな形をしているが、それをのぞけば前世紀(20世紀、-2000年)までは各広告費はGDPの変化とほぼ連動する形をとっていた。しかし21世紀に入ってからは「上昇時期における」連動性を失い、一貫して下げ基調にあることが分かる。これは民放連が指摘していたのと同じ結果・動向といえる。しかもその一方、2007年に露呈化した金融危機に伴うGDP下落傾向時には共に落ちており、「上げる時には伴わず、下げる時には一緒に下がる」という状況にある。




「広告費全体が削られているから4マス、既存メディアの広告費も減っている」という主張はさほど筋が通らない。元データには総広告費も載っており、それによれば総広告費はGDPの伸びにほぼ連動する形(起伏率はGDPより総広告費の方が大きい)で上昇。1985年と比べると2010年のそれは2倍近くに達している。

↑ 総広告費とGDPの移り変わり(1985-2011年)(単位:億円)(左軸:GDP、右軸:総広告費)(電通推定)
↑ 総広告費とGDPの移り変わり(1985-2011年)(単位:億円)(左軸:GDP、右軸:総広告費)(電通推定)

また、この数年の動きを良く見直すと、不況に伴う広告費そのものの削減を良い機会ととらえ、各企業による広告メディアに対するリバランスが行われている雰囲気がある。前年比でGDPの回復が見られた2010年、そして震災でさまざまな価値観とメディア環境が変化・進歩を遂げた2011年において、前年比プラスを維持したインターネット広告、衛星メディアと、マイナスのままのその他メディアとの間には、企業側が考えるウエイトに、これまで以上の差がつけられている気がしてならない。

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