完全失業者にカウントされない「仕事をしたいけど求職活動をしなかった」人の推移をグラフ化してみる(2011年分版)

2012/03/07 06:50

先に【日本における学歴・性別と失業率との関係をグラフ化してみる(2011年版)】などでも取り上げたように、総務省統計局は2012年2月20日、2011年における労働力調査(詳細集計)の速報結果を発表した(【労働力調査(詳細集計) 平成22年平均(速報)結果:発表ページ】)。そこには2011年、あるいは2011年を含む過去数年間における、日本の労働環境や雇用問題に関する各種データが盛り込まれている。今回はその資料から、日本における学歴・性別と失業率との関係をグラフ化した過去の記事を更新する形で、「仕事をしたいけど求職活動をしなかった」についてチェックを入れてみることにする。要は「完全失業者」には数えられない、一部では「隠れた失業者」と呼ばれている人たちのことである。

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おおもとのデータは「労働力調査(詳細集計) 平成23年平均(速報)結果」の「要約」部分から。なお御承知の通り昨年2011年に発生した東日本大地震・震災の影響で、岩手県・宮城県・福島県における調査実施が一時的に困難となったことを受け、 2011年1-3月期平均結果から同年7月-9月平均結果までは、当該3県を除く全国の結果を公表することとなった。そのため、2011年平均についても当該3県を除いた結果が公表されている。今回図表作成で用いる値では、前年比を算出する際は同じく当該3県を除いた値を用い、不整合が無いようにしている。従って経年グラフの場合、厳密には2009年と2010年の間には連続性は無いので留意を要する。

ちなみに「完全失業率」とは【辞めさせられたけど再就職をあきらめる人が増えている!? 統計局の「完全失業率の急上昇」をざっと読み通す】でも説明しているが、「完全失業者÷労働力人口×100(%)」で算出される値。総務省統計局の場合には「仕事についていない」「仕事があればすぐにつくことができる」「仕事を探す活動をしていた」のすべてに当てはまる人が「完全失業者」に認定される。

この条件に一つでも当てはまらない、現在雇用されていない人は「非労働人口」ということになるが、2011年の非労働人口は4281万人。そのうち「就業希望者(就業を希望しているものの、求職活動をしていない人)」は449万人となり、前年比で1万人減少となる。

↑ 非労働人口のうち就職希望者合計の推移(万人)(2010-2011年は被災三県を除く)
↑ 非労働人口のうち就職希望者合計の推移(万人)(2010-2011年は被災三県を除く)

単に「非労働人口のうち就職希望者」と表現しても、その立場についた理由はさまざま。「この不景気では就職活動をしても無理そうだから、就職はしたいのだけど、あきらめるか」という人、「身体を壊してしまって、静養をしなければいけない。就職したいのだけど」という人、「子供が生まれるので出産と育児で忙しいから難しいな」という人、個々の理由はある。

そこで、その内訳を示したのが次のグラフ。「非労働人口のうち就職希望者」で一番注目されそうな、「適当な仕事がありそうにない」という人は163万人。「非労働人口のうち就職希望者」全体に占める割合は35.0%と1/3強を占めている。

↑ 非労働力人口のうち就業希望者の内訳(万人、2011年)(被災三県を除く)
↑ 非労働力人口のうち就業希望者の内訳(万人、2011年)(被災三県を除く)

この「適当な仕事がありそうにない」について、さらにその内訳を細かく確認し、その推移を示したのが次のグラフ。2009年頃までは「今の景気や季節では仕事がありそうにない」以外は年々漸減傾向にあり、唯一「今の景気や季節では仕事がありそうにない」のみが景気動向に大きく反応して上下していた。しかし2010年以降は「勤務時間・賃金などが希望にあう仕事がありそうにない」「その他適当な仕事がありそうにない」が増加し、「今の景気や季節では仕事がありそうにない」は再び減少傾向を示している。切り口を変えれば、いわゆる「リーマンショック」の2009年以降、「非労働人口」においてもこれまでとは状況が異なる様相を見せている。特に景気連動性の高い「今の景気や季節では仕事がありそうにない」の動きを見る限り、2009年における労働市場の最悪期は脱しつつあると考えることも可能だ。

↑ 非求職理由のうち「適当な仕事がありそうにない」の内訳別にみた、就業を希望するが就職活動はしていない「非労働人口」の推移(万人)(2010-2011年は被災三県を除く)
↑ 非求職理由のうち「適当な仕事がありそうにない」の内訳別にみた、就業を希望するが就職活動はしていない「非労働人口」の推移(万人(2010-2011年は被災三県を除く))

完全失業率が話題に登る際に「完全失業率には『景気が悪くて就職活動をあきらめた人』(2011年では20万人)は入っていない。だから本当はもっと失業率・失業者は上のはず」との話を耳にする。2011年の完全失業者数は284万人であり、それなりに大きな値となる(7.0%分)。それらの観点で考えれば、現在の雇用情勢は2002-2003年における「前回の不景気」の水準に近しい値、あるいはむしろ多少ながらも良い状況であることが推測できる。

また2011年は2010年と比べて「勤務時間・賃金などが希望にあう仕事がありそうにない」の値が増加している。これは「完全失業者の仕事につけない理由別割合」から推測するに、「勤務時間・休日などが希望と合わない」「賃金・給料が希望と合わない」の回答比率が他世代より高めの、中堅層が多分に該当することによるものだろう。

↑ 完全失業者の仕事につけない理由別割合(2011年)(被災三県を除く)
↑ 完全失業者の仕事につけない理由別割合(2011年)(被災三県を除く)(再録)

ともあれ、完全失業者・失業率絡みで「就業を希望するが就職活動はしていない非労働人口」についてチェックをする際には、その内情の変移についても確認をしておかねばならない。



やや余談ではあるが、「完全失業者」の定義に当てはまるための要件「仕事を探す活動をしていた」は「ハローワークに登録していること”のみ”」と誤解されがちだが、【労働力調査に関するQ&A】を見れば分かるように、

公共職業安定所(ハローワーク)に登録して仕事を探している人のほかに、求人広告・求人情報誌や学校・知人などへの紹介依頼による人、直接事務所の求人に応募など、その方法にかかわらず、仕事を探す活動をしていた人が広く含まれる

と定義されている。今記事命題の”完全失業者にカウントされない「仕事をしたいけど求職活動をしなかった」”人のニュアンスも、多少は変わってくるのではないだろうか。

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