日本における学歴・性別と失業率との関係をグラフ化してみる(2011年版)

2012/02/29 12:00

先に【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2011年版)】などでも取り上げたように、総務省統計局は2012年2月20日、2011年における労働力調査(詳細集計)の速報結果を発表した(【労働力調査(詳細集計) 平成23年平均(速報)結果:発表ページ】)。そこには2011年、あるいは2011年を含む過去数年間における、日本の労働環境や雇用問題における各種データが盛り込まれている。今回はその資料から、日本における学歴・性別と失業率との関係をグラフ化して精査した過去の記事の各種データ更新を試みることにする。

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元となるデータは「労働力調査(詳細集計) 平成23年平均(速報)結果」の「平成23年平均(速報)結果の概要、統計表」から。さらに同様の統計データについて保全されている2002年分平均までをさかのぼり(【2005年発表分】など)、データをピックアップした。

ちなみに「完全失業率」とは「完全失業者÷労働力人口×100(%)」で算出される値。総務省統計局の場合には「仕事についていない」「仕事があればすぐにつくことができる」「仕事を探す活動をしていた」のすべてに当てはまる人が「完全失業者」に認定される。

また御承知の通り昨年2011年に発生した東日本大地震・震災の影響で、岩手県・宮城県・福島県における調査実施が一時的に困難となったことを受け、 2011年1-3月期平均結果から同年7月-9月平均結果までは、当該3県を除く全国の結果を公表することとなった。そのため、2011年平均についても当該3県を除いた結果が公表されている。今回図表作成で用いる値では、前年比を算出する際は同じく当該3県を除いた値を用い、不整合が無いようにしている。従って経年グラフの場合、厳密には2009年と2010年の間には連続性は無いので留意を要する。

まずは全体の変移。

教育別完全失業率(卒業者)(2010-2011年は被災三県を除く)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(2010-2011年は被災三県を除く)

非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)が除外されているなどの問題もあるが、今回の考察とは別の話。2009年以降(短大・高専は2010年以降)わずかずつだが失業率は改善の方向に向かっているのが分かる。「大学・大学院」の失業率がなかなか下がらない、むしろ2009年以降高止まりを見せているのが気になるところ。

続いて男女別にそれぞれ、学歴別のグラフを生成する。

教育別完全失業率(卒業者)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男性)(2010-2011年は被災三県を除く)

教育別完全失業率(卒業者)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(女性)(2010-2011年は被災三県を除く)

大まかに分けて失業率が(高)「小学-高卒」「全体値」「短大・高専」「大学・大学院」(低)の順に低い値となるのは男女合わせた全体値と変わらず。ただし、

・失業率は全体的に男性の方が高い。
・学歴の差による失業率の違いは男性の方が大きい。
・男性では2006年以降、女性では2007年以降、「短大・高専」と全体値との差異がほとんどなくなっている(≒失業率が上昇している)。2002-2003年にも近い現象が見られ、景気が悪化すると「短大・高専」に大きなしわ寄せが出ている可能性がある。2011年では男女とも両者は近づいている。
・他の階層が2007年以降失業率を高めつつある中で、男性の「大学・大学院」のみが失業率を下げてい”た”。しかし2009年にはその例外も失われた。2011年では全区分で下げており、別の意味で例外が無くなっている。
・男女とも2011年は失業率の改善の動きが見られるが、男性は女性以上にピッチが速い。これは2010年における「男性…悪化」「女性…改善(高学歴除く)」の動きによる差異を取り戻す向きもあるものと思われる。

などの傾向が見られる。

男女の差
「失業率は全体的に男性の方が高い」について、「全体」及び「大学・大学院のみ」を男女それぞれで抽出してグラフを作り直したのが次の図。

教育別完全失業率(卒業者)(男女・全体のみ)(2010-2011年は被災三県を除く)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男女・全体のみ)(2010-2011年は被災三県を除く)

教育別完全失業率(卒業者)(男女・大学・大学院卒のみ)(2010-2011年は被災三県を除く)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男女・大学・大学院卒のみ)(2010-2011年は被災三県を除く)

男女で比べると男性の方が失業率は全般的に高い。これは「完全失業率」の計算方法(完全失業者÷労働力人口×100で求められ、労働力人口は従業者、休業者、完全失業者を合わせたもの。非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)は含まれていない)や、女性の雇用形態としてパートタイマーが増加しているのが大きく作用している。実際、2011年においては全雇用者のうち非正規社員は男性が19.9%なのに対し、女性は54.7%に達している。さらに同じ雇用形態でも男性と比べて女性の方が賃金が安い傾向にあるのも一因と考えて良い(【学歴別の平均賃金をグラフ化してみる(2011年版)】)。

また、「大学・大学院卒のみ」のグラフで2006年に一時的な逆転現象が起きているが、この年に該当する関連事項といえば「改正・男女雇用機会均等法」の成立(施行は2007年)しかなく、これが影響しているものと考えるのが妥当である。直近の2011年では男女ともほぼ同率となり、これは2009年と同じ動き。2012年は再び女性の失業率が男性を上回るようになるのかもしれない。



繰り返しになるが、これらのデータはあくまでも数字的に「学歴が高い方が失業率が低い傾向にある」という失業率の一側面を示しただけであり、「高学歴万能主義」の肯定・否定とは別次元の問題である。

ちなみに今件データに年齢を絡め、クロスオーバー・立体化したものはすでに【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2011年版)】で記事化している。こちらも合わせて目を通すと、理解が深まるに違いない。

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