年齢別の平均賃金の移り変わりをグラフ化してみる(2011年版)

2012/03/05 06:45

先に【フルタイムの平均賃金は29万6800円・前年比でプラス0.2%(2011年版)】で厚生労働省発表の資料を元に2011年におけるフルタイム労働者(一般労働者。正規・非正規を問わず)の所定内賃金(所定内給与額)について触れた。その資料には多種多様な面から賃金の流れを知ることができるデータが盛り込まれており、非常に興味深いものがある。今回はその中から、年齢階層別の平均賃金の移り変わりに関するグラフを生成し、状況をかいま見ることにした。

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今回使用したデータは、2011年における賃金構造の基本統計調査の概要【平成23年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】からのもの。それと同様に過去において発表された「賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況」のデータも(昔の部分の補完用として)用いている。

まずは2011年における男女別・性別の平均賃金。なお賃金(所定内給与額)とはあらかじめ定められている支給条件・算定方法によって支給された現金給与額から、超過労働給与額(要は残業代)やボーナスなどを除き、所得税などを控除する前の額を指す。言い換えれば基本給に家族手当などを足したもの。

↑ 2011年の年齢階層別平均賃金(千円、月)
↑ 2011年の年齢階層別平均賃金(千円、月)

男性が50代前半まで年功序列制的・以降は下落傾向の動きをしているのに対し、女性は40代前半でほほ頭打ちの形を見せている。そして女性は年齢階層別の差異はさほどなく、結果として若年・高齢層では男女の差が縮まる傾向がある。

続いて同じ区分で前年比を計算したもの。

↑ 2011年の年齢階層別平均賃金(前年比)
↑ 2011年の年齢階層別平均賃金(前年比)

2010年と比べれば動きは大きく、そして全般的に女性のプラス傾向が確認できる。全体としては男性が前年比変わらず・女性はプラスという値が出ているが、「男性は若年層及び中堅層の一部上昇、中堅層や高齢層の減少」「女性は高齢層手前まで大きく上昇、高齢層でやや減少」を起因としていることが分かる。

続いて過去のデータを絡めた、平均賃金の推移を年齢階層別に。男女のデータは存在するが、すべてを載せるとあまりにも煩雑なものとなるので、今回は男性に限定。まずは一番気になる人が多いに違いない、20代前半について。こちらは金額と前年比の双方をグラフ化しておく。

↑ 年齢階層別平均賃金(20代前半男性、千円、月)
↑ 年齢階層別平均賃金(20代前半男性、千円、月)

↑ 年齢階層別平均賃金(20代前半男性、前年比)
↑ 年齢階層別平均賃金(20代前半男性、前年比)

絶対金額ではこの15年間ほとんど変化が無く、100円玉のやり取り程度に留まっていることが分かる。また、この二十年ほど消費者物価指数に動きは無く、今値は実質賃金と変わりは無い。また、2007-2008年においては景気動向に反して上昇しており、初任給のマイナス以上に、手取りが低い非正規労働者の失職が想定できる(全体に占める「手取りの低い非正規労働者」の比率が下がれば、その母体での平均賃金は上昇する。またパートやアルバイトなどの「短時間労働者」は今件「一般労働者」=「フルタイム労働者」の範ちゅうには無い)。

続いて30代前半-50代前半を続けて。



↑ 年齢階層別平均賃金(30代-50代前半男性、前年比)
↑ 年齢階層別平均賃金(30代-50代前半男性、前年比)

2010年では下げ幅は比較的小さい値に留まった30代だが、やはり賃金上昇率は昔から抑えられているのが改めて分かる。2005年の賃金上昇時においてですら、わずか0.2%の上昇しか認められず、あとはほぼマイナス圏。2008年では20代前半同様に、恐らく非正規社員の解雇から、平均が押し上げられる現象が起きているが、2009年にはそれもひと段落つき、平均賃金は下がったまま。40代は全般的にマイナス圏、50代は浮き沈みが激しいが概してマイナス圏にあるのが分かる。

最後に、これらを一つにまとめたグラフを。

↑ 年齢階層別平均賃金(20・30・40・50代前半男性、前年比)
↑ 年齢階層別平均賃金(20・30・40・50代前半男性、前年比)

中期では30代前半が一番下側にいることに違いないが、ここ数年(2008年以降)ではむしろ40代の下げ率が大きい。この年代の男性非正規社員が増えたのか、あるいは元々賃金が高く、しかも下げやすい層として目をつけられた可能性はある。

これらのグラフを見て気がつくのは、今回対象とした1997年以降においては多少の起伏があるものの、賃金に大きな上昇・下落の変移は無い(毎年ほぼ2%内に収まっている)こと、そして年齢階層別に賃金の上下にむらが生じていること。すべての年齢階層で上昇・下落といったパターンはほとんど無く、必ず互いに補完し合っているように見える。今回はグラフが雑多になるため各年齢階層の後半(20代後半など)は略したが、仮に入れたとしても同じような傾向が確認できている。ただし2009年-2010年は例外で、2009年の急落ぶりと翌年の反動がいかにレアケースであったか、言い換えれば「リーマンショック」の影響力の大きさが改めて理解できる。

次年、つまり現在進行中の2012年においてはどのような動きを見せるのか。現時点では景気動向の先行きは、2011年以上に厳しい状況が予想できる。色々な意味で気になるところだ。

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