正社員か、それとも非正社員か……雇用形態別の平均賃金をグラフ化してみる(2011年版)

2012/02/28 06:50

先に【フルタイムの平均賃金は29万6800円・前年比でプラス0.2%(2011年版)】で厚生労働省発表の資料を元に2011年における一般労働者(フルタイム労働者。正規・非正規を問わず)の所定内賃金(所定内給与額)について触れた。その資料は色々な面から賃金の流れを知ることができるデータが盛り込まれており、非常に価値が高いものと評することができる。今回はその中から雇用形態別の平均賃金についてグラフを生成し、内情をかいま見ることにした。

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今回使用したデータは、2011年における賃金構造の基本統計調査の概要【平成23年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】からのもの。

なお「賃金(所定内給与額)」とはあらかじめ定められている支給条件・算定方法によって支給された現金給与額から、超過労働給与額(要は残業代)やボーナスなどを除き、所得税などを控除する前の額を指す。言い換えれば基本給に家族手当などを足したもの。また「正社員・正職員以外」は契約社員・派遣社員(つまり非正社員、非正規社員)などを意味する。パート・アルバイトは「一般労働者」ではなく「短時間労働者」に属するため、今件のデータには反映されていない。

↑ 雇用形態区分。今件は「一般労働者」のうち「正社員・正職員」と「正社員・正職員以外」の違いをチェックする
↑ 雇用形態区分。今件は「一般労働者」のうち「正社員・正職員」と「正社員・正職員以外」の違いをチェックする

まずは2011年における雇用形態別・性別の平均賃金。

↑ 雇用形態・性別平均賃金(2011年、千円)
↑ 雇用形態・性別平均賃金(2011年、千円)

当然の結果ではあるが、正社員などの方が賃金は高い。非正社員の賃金は正社員に比して、男性で6割強、女性で約7割。

失業率の面では2010年と比べて改善が見られた労働市場だが(【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2011年版)】)、賃金の上では正社員は改善されたものの、男性の非正規社員が大きなマイナス値(マイナス2.9%)を示しており、一部状況の悪化が見て取れる。もっとも昨年はプラス3.1%と大きく伸びていたので、その反動と見てとれなくもない。

↑ 雇用形態・性別平均賃金(2011年、前年比)
↑ 雇用形態・性別平均賃金(2011年、前年比)

女性の賃金が前年比で上昇傾向にあるのは【フルタイムの平均賃金は29万6800円・前年比でプラス0.2%(2011年版)】で触れた通り。このグラフを見ると正社員・非正社員共に女性はプラス。正社員だけ、非正社員だけ、というわけではない。一方で男性は非正社員の下げが大きい。

続いてこれらを男女それぞれ、正社員・非正社員別に年齢階層での推移を見たのが次のグラフ。

↑ 雇用形態別平均賃金推移(男性、千円)
↑ 雇用形態別平均賃金推移(男性、千円)

↑ 雇用形態別平均賃金推移(女性、千円)
↑ 雇用形態別平均賃金推移(女性、千円)

↑ 雇用形態・年齢階級別平均賃金(2011年)(前年増減率)
↑ 雇用形態・年齢階級別平均賃金(2011年)(前年増減率)

男女とも非正社員の賃金は歳を経てもほぼ横ばい。特に女性は30代後半がピークとなっている。これは正社員における「社内でのさまざまな実績・経験による積み上げ」が、非正社員には(少なくとも賃金面では)無い事を意味する。特殊な技術・資格を持ち、それこそ「渡りの職人」のような立場なら話は別だが、普通の非正社員には正社員と同じような「積上げ」を期待できず、結果として賃金もそれ相応のものになる結果が、グラフのカーブ具合に現れている。

また前年比で見ると、2011年は「女性正社員は押し並べて少しずつ上昇して全体値を引き上げた」「男性非正規社員は特に中堅層以降の賃金引き下げが大きく響いている」のが分かる。

なお「非正社員に『社内でのさまざまな実績・経験による積み上げ』を求めない、求められない」傾向は、事業が細分化・広大化している大企業ほどその傾向が強い。構成人数が多いほど、一人ひとりは「オールマイティ」よりも「企業を動かす部品の一つ」「ねじ」であることを求められる。結果として正社員と非正社員の賃金の格差も、大企業になるほど大きくなる(あるいは単に「正社員の賃金格差は企業規模によるところが大きい」「非正社員の賃金格差は企業規模による差異はあるものの、正社員程では無い」のも一因といえる)。

↑ 雇用形態別賃金格差(同属性正社員・正職員を100とした場合の賃金)
↑ 雇用形態別賃金格差(同属性正社員・正職員を100とした場合の賃金)(2011年)

非正社員の賃金は大企業ほど、そして女性より男性の方が、正社員との賃金格差が大きい(小企業では男女がかろうじて同じ水準だが)。また前年2010年の値と比べると、特に大企業において賃金格差が開いているのが分かる。

49.5%は「非正規社員になりたくない」、「でも自分もなるかも」は29.4%…募る新成人の非正規就労への不安】にもあるように、若年層における非正規就労(つまり非正規社員化)への不安は募る。その原因の一端を、この賃金グラフから知ることができる。そして賃金の面で不安が高まれば、当然将来への不安も増加し、消費を避ける傾向も強まる。

若年層に節約傾向が強く表れているのも、使うお金が無いのが一因。いわば自己防衛本能の現れといえる。使うお金を受け取れる環境が無いのに、鞭打つ形で若年層に消費を強要するのは無理話でしかなく、そのような主張をする「大人たち」に疑問符を投げざるを得ない。

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