フルタイムの平均賃金は29万6800円・前年比でプラス0.2%(2011年版)

2012/02/24 12:10

厚生労働省は2012年2月24日、2011年における賃金構造基本統計調査結果の概要【平成23年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】を発表した。それによると2011年のフルタイム労働者(常用労働者のうち短時間労働者でないもの。正規・非正規を問わず)の所定内賃金(所定内給与額)は29万6800円となり、前年2010年の29万6200円と比べて600円・0.2%の上昇となったことが明らかになった。これは昨年2010年に続き2年連続の上昇となる。

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今回のデータは2011年6月分を対象としたもの。「賃金(所定内給与額)」とはあらかじめ定められている支給条件・算定方法によって支給された現金給与額から、超過労働給与額(要は残業代)やボーナスなどを除き、所得税などを控除する前の額を指す。言い換えれば基本給に家族手当などを足したもの。

公開されたデータを元に、1989年以降の賃金額と前年比推移を示したのが次のグラフ。

↑ 性別賃金の推移(千円)(一般労働者)
↑ 性別賃金の推移(千円)(一般労働者)

↑ 性別賃金の対前年増減率の推移
↑ 性別賃金の対前年増減率の推移

賃金推移のグラフを見るに、女性の堅調な上昇ぶりが目に留まる。2005年・2010年に前年比マイナスを示したが、それ以外はすべてプラス。上昇幅こそ縮まってはいるものの、順調な伸びを示している。一方で男性は2000年前後までは女性同様に大きな上昇カーブを描いていたが、それ以降は頭打ち、むしろ漸減の動きすら見受けられる。

これは女性の社会進出と共に、先日【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2011年版)】でも一部触れたように、正規社員の減少・非正規社員の増加によるところが大きい。今件の「賃金」の対象には(短時間労働者は除外されているものの)正規・非正規双方の社員が該当し、たとえ正規・非正規双方の給与がアップしても、(支払額の大きい)正規社員の比率が減れば、その分平均値は下がるからだ。女性は元々非正規社員が多いため、男性同様に非正規社員が増加してもさほど影響は生じず、むしろ男性との賃金格差是正の動きが大きく反映しているものと思われる。

もっとも2011年分は男性こそ上昇が見られなかったもののマイナスとはならず、女性も1.9%と大幅増となり、全体値も0.2%の上昇を示している。男女共にマイナスとならなかったのは2001年以来のことであり、留意しておく動きといえよう。

【過去60年にわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる(2011年分データ反映版)】などにもあるが、1990年代以降物価は安定、むしろ低下する傾向もあり、一概に賃金がマイナスになると「前年より生活が厳しくなった」と断じることはできない。しかし所定内給与額はボーナスなどと比べて景気や企業の業績の影響を受けにくい(労働各法の定めにより、基本給を下げる場合にはそれなりの手続きや理由付けが求められるため、経営側では安易に上げるのも躊躇する傾向がある)。にも関わらず全体・女性が上げているのは、全体的な風向きが変わってきた気配を感じさせる(無論すべて順風満帆というわけではない。例えば、詳しくは別の機会に解説するが、正社員・非正社員別に見ると男性非正社員の賃金はマイナス2.9%の値を示している。一方で女性は正社員・非正社員共に賃金はアップしている)。

もちろん人員整理・再構築による正社員・非正社員の構成比率の変化や、高額賃金の高齢者の退職など、労働者そのものの環境変化も賃金上昇率の変化の一因として挙げられる。しかし過去の事例を見るに「景気の底打ち、回復、成長期には賃金も上昇する」動きが多々見られることを考えると、今回の流れは、全体値でわずか600円の上昇ではあるものの、決して悪いものではないと考えられよう。

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