キプロスの急上昇が気になる・スペイン若年層の失業率48.7%…EU失業率動向(2011年12月分)

2012/02/23 07:05

ヨーロッパ各国でも他国同様に「若年層の高失業率」が問題視されているが、その中でも特に高い失業率を見せるスペインで、先日【失業率5割近く、スペイン若年層の現実】でお伝えしたように、大規模なデモが行われた。その引用文の中に「(スペインの若年層)失業率は50%近くに達しており」という目を疑う文言があったが、これは以前【ヨーロッパの失業率も10%台に・若年層はより深刻な20%超へ】でデータを参照した【EU統計局(Eurostat)】で毎月発表している、失業率関連の統計データの最新版【December 2011 Euro area unemployment rate at 10.4%(PDF)】(2011年12月分、2012年1月31日発表)で事実であることが確認できた。今回はこれを機会に、以前の記事と同じフォーマットで、最新のデータ・2011年12月分をグラフ化し、状況を把握することにした。

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文中・グラフ中にあるEA17やEU27については一覧ページ【ヨーロッパ諸国の失業率動向(EU統計局発表)】上の解説部分を参考のこと。

ILO基準における2011年12月時点の発表データによる失業率は次の通り(前回の記事におけるグラフから、いくつか手法を現行のフォーマットに切り替えてあるので留意が必要)。

↑ 2011年12月時点での失業率(季節調整済)
↑ 2011年12月時点での失業率(季節調整済)

以前の記事で「スペインの経済事情は決してよいものではないが、実際に同国の失業率は20%近くに達している」と言及したが、今件の直接の記事の機会となった同国の状況を見るに、事態の改善は見られない。また、債務問題でしばしば報道に登る国が上位についているあたりを見ると、失業問題と経済・債務問題が密接な関係にあることがうかがえる。

良い機会でもあるので、前回記事の値(2009年11月分)との差異を計算したのが次のグラフ。約2年の間にどの国の失業問題が改善・悪化したかがおおよそつかみとれる。

↑ 失業率変化(プラス=悪化)(季節調整済・2009年11月→2011年12月)
↑ 失業率変化(プラス=悪化)(季節調整済・2009年11月→2011年12月)

多くの国で横ばい、あるいは改善の動きを見せる中、ギリシャとスペイン、キプロス、ブルガリア、ポルトガルの悪化が目立つ形となっている。

そして冒頭にあるように、特に問題視されているのが、若年層の失業率。25歳以下の失業率はEA17か国で21.3%・EU27か国でも22.1%を記録しており、5人に1人以上が失業状態。特にスペインの48.7%を筆頭にギリシャやスロバキア、イタリアなど、経済的に弱い国や労働市場における問題点を抱える国での高さ、急激に経済が冷え込んだ国での失業率の増加が確認できる。

↑ 2011年12月時点での25歳以下の失業率(季節調整済)(12月データが無い国は直近分)
↑ 2011年12月時点での25歳以下の失業率(季節調整済)(12月データが無い国は直近分)

↑ 2011年12月時点での25歳以下の失業率・前年同月比変化(季節調整済)(12月データが無い国は直近分)
↑ 2011年12月時点での25歳以下の失業率・前年同月比変化(季節調整済)(12月データが無い国は直近分)

特にキプロスの急上昇が気になるが、【大使館の公的情報】などによると、財政再建措置や不動産市場の落ち込み、内需の低迷、さらには昨年夏の発電所破損による電力供給力低下に伴う経済活動への影響などを背景に、厳しい状況にある(観光業は回復傾向にあるが)。このような状況の変化が、労働市場では弱者の立場にある若年層に大きな影響を与えたものと考えられる。

各国とも総じて若年層の失業率が高いのは、産業構造の変化、そして若年層が手掛けることが多い「技術が未習得で比較的容易な作業」が機械化されたり、為替レート上で相対的賃金の安い新興国に割り振られたりするのが主な要因。また、高齢化により就労年齢が上がる一方で労働市場が縮小しているため、必然的に「席が空かない」状態になり、若年層が割を食う事態に陥っている。言い換えれば、技術が進歩して作業効率が良くなるに連れ、不幸な人(≒失業者)が増えるという、皮肉な結果・構造が若年層に大きくしわ寄せされた形ともいえる。

日本でも先日、2011年分の速報として労働力調査の最新データが公開された。後日【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2010年版)】からデータを2011年のものに差し替え、今件のEU諸国の動向と比較検討する素材を創ることにしよう。

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