「安全・安心意識の高まりの認識」「ファン作り、関係構築を重視」震災後に企業が想うプロモーション戦略の変化とは

2012/02/23 12:00

企業から見たプロモーション矢野経済研究所は2012年2月21日、東日本大地震・震災(「震災」)以後の企業における、プロモーション戦略に関するアンケート調査結果の概要を発表した。それによると震災以降消費財メーカーや流通関連事業においては、7割近くが消費者の「安全や安心意識の高まり」を感じていることが分かった。一方、プロモーション活動では半数近くが「ファン作り、関係構築」に重点を置くようになったと答えており、顧客ロイヤリティ(忠誠心の意味。企業やブランド、商品への信頼度、愛着度などを意味する)の維持拡大に注目していることがうかがえる結果となっている(【発表リリース】)。

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今調査は2012年1月に日本国内の消費財メーカー、および流通関連事業者に対して電話アンケート形式で行われたもので、有効回答数は320社。調査対象の詳細に関するデータは非公開。

【使い控え4割・燃費考慮6割…震災後に変わる自動車運転への姿勢】【「電気代」「食費」「水道代」…震災後、見直しをした生活費】をはじめ多数の調査結果からも分かるように、震災後に消費者の消費性向をはじめとした各種マインドが変化したことが明らかにされている。企業も商品開発・展開やプロモーションなどの面で、その変化に合わせた対応を迫られている。

今調査は日本国内の消費財メーカーや、それらを消費者の手元にまで運ぶ流通関係事業者を調査母体としており、商品提供側の認識をかいま見ることが出来る内容となっている。今回はその中から特に注目すべき点を2つほど挙げることにする。

まずは消費者の価値観や行動がどのように変化したと「企業側は認識している」のか。商品提供側の状況把握・対応動向を知ることができる結果が出ている。

↑ 震災以後の消費者の価値観・行動の変化点(企業側認識)
↑ 震災以後の消費者の価値観・行動の変化点(企業側認識)

もっとも多くの企業が認識しているのは「安全・安心意識の高まり」。震災によるさまざまな「安全・安心」への棄損を経て、これまであまり意識をしてこなかった、当たり前のものだと思って特段意識していなかったものに対する思いを新たにすると共に、企業側にその需要に応えるよう求めている。その消費者側の需要を企業側も十分理解していることになる。

次いで多いのは「生活ランニングコストに関する意識の高まり」。要は日々の生活の中でいかに無駄を省いていくか、省けるかという意識のこと。続く高回答率を見せた「環境保全など、環境への配慮や要求の高まり」と共に、社会全体としての環境保全と、身近な話・個人としての生活防衛・保全の双方を消費者が一層強いニーズとして持つようになったと、企業側も把握していることになる。例えばLEDを用いた(適度な単価の)スタンドの開発・提供は、節電という観点で「環境保全」「生活防衛」双方にかなう商品となりうる。

一方、企業のプロモーション(販売促進活動)の視点で震災後に重視するようになった点としては、「ファン作り、関係構築」が45.6%の回答率でトップについている。

↑ 震災以後、プロモーションで重視するようになった点
↑ 震災以後、プロモーションで重視するようになった点

熱心な、あるいはそこまで行かなくとも、好意を持つ消費者の気持ちを維持し増進させることで、一人ひとりの消費者による口コミ効果の増大が期待できる。消費者と直に向きあい、対話を繰り返すことで、より需要にあった商品やサービスを開発・提供することが可能となる。単なるモノのやり取りではなく、人と人とのつながり合いを確かなものとしたいという、震災後の心境変化を上手くとらえた対応といえる。

また、ファン作り・関係構築のツールとして、ソーシャルメディアが注目を集めている。元々ソーシャルメディアの浸透に連れ、Facebookやツイッターなどのインターネットサービスを使って情報の発受信を行い、消費者の顧客ロイヤリティを引き上げる施策は行われていた。消費者側に必要なインフラが用意されている必要はあるが、利用ハードルやコストが低い、リアルタイムに近い対応が出来ることなどが大きなメリットである。そして【東日本大地震時の自治体のツイッター動向をグラフ化してみる(2011年版情報通信白書より)】などにもある通り、震災を経てその動きに加速がついた。今回の結果も、企業がしっかりとその「変化」に対応しようとしている証と言えよう。

もちろんその気概も手法を誤っては空周りするばかりとなる。日本の企業においては、社会文化や歴史的背景の違いはあれど、多くの共通点を持ち、この分野では先輩にあたる欧米の事例について、成功例だけでなく失敗例をも教材とし、よりよい活動を行ってほしいものだ。

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