【更新】「窯業・土石」「鉄鋼」は先月比で大幅悪化・前年同月比でマイナス5.2%(2012年1月分大口電力動向)

2012/02/18 06:40

電気事業連合会は2012年2月17日、同年1月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年12月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で808億kWhとなり、前年同月比でマイナス3.7%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス5.2%を記録し、11か月連続して前年同月の実績を下回ることになった。震災による節電や不景気の影響は継続中のようである([発表リリース、PDF])。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事をまとめたページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で解説している。そちらで確認をしてほしい。

2012年1月においては大口全体で前年同月比マイナス5.2%。「前年同月比」というしばりがあるものの、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる(節電効果でのマイナスも数字には反映されているので、昨年3月分以前の数字動向と比べると、誤差の範囲が大きい)。

大口電力使用量産業別前年同月比(2011年12月-2012年1月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2011年12月-2012年1月)

今月も先月に続き全項目でマイナス。しかも多くの項目で先月以上に下げ幅を拡大している。先月下げた「繊維」はついに下落率2ケタ台に突入し、「非鉄金属」はマイナスの絶対値で先月と比べて2倍近く、「窯業・土石」「鉄鋼」に至っては2倍以上の悪化ぶり。

先月比のグラフでは短期はともかく中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の動向としては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きが2011年3月で止まり、それ以降は大きく下落しているのが改めて確認できる(無論東日本大地震・震災を直接・間接起因とするもの)。また直近数か月は多くの項目でマイナス圏での推移が続いており、工場の物理的な損害以外に、(原材料の調達不足、タイムシフト・デイシフトをはじめとする各種節電対策など)多種多様な稼働率・生産調整が影響している様子が見て取れる。

さらに1年前のこの時期が(リーマンショックからの)回復傾向にあったことを考慮すると、今件は「それ(1年前)と比較して」の値が算出されるので(つまりはプラスと比較される。今月の場合は2011年1月で、その時は全体で「その時の」前年同月比プラス5.8%)、今後も来月(つまり2011年2月との比較)までは、今月のようにマイナス値を継続することが容易に想像できる。特に今月は「繊維」が10%超え、「紙・パルプ」「化学」「非鉄貴金属」の3項目が7%強と大きな下げを示しており、留意に値する。気温低下に伴う大口電力サイドの節電の動きがそれなりにあるものの(一部電力管轄では電力需給バランスの問題から、今流行りの「要請」が電力会社からなされている)、生産そのものの低迷を懸念する必要がある。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場の物理的復興は相当率なものとなったが、回復を望めず生産施設をたたんでしまった事例をはじめ、各種部品不足に伴う工場の稼働率の低下、節電対策による消費電力減退、そして景気低迷に伴う生産調整など、生産力の数字的低迷は否めない。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業の動向を間接的に確認できる、大口電力の動向は注意深く見守っていきたい。

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