「アニメージュ」の手堅さ、リニューアル成功紙の存在…ゲーム・エンタメ系雑誌部数動向(2011年まで)

2012/02/14 12:00

先日まで【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2011年10月-12月データ)】など複数の記事で、【社団法人日本雑誌協会】が2012年2月9日に公開データベース上で公開した、2011年10月から12月分の主要定期発刊誌の「印刷証明付き部数」を基に、いくつかのグラフを生成すると共に状況の精査を行った。これに関連して先日【少年・男性向けコミック誌の部数推移をグラフ化してみる(2011年まで)】で「継続的な変移」に関して、「抽出可能な期間は約4年」「部数上位雑誌限定」との制限はあるが、部数推移をグラフ化、その状況を推し量った。今回は同じ趣旨で【ゲーム・エンタメ系雑誌の部数変化をグラフ化してみる(2011年10月-12月データ)】と連動する形で、ゲーム・エンタメ系雑誌の推移を見て行くことにする。

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使えるデータは「2008年4-6月期」以降「2011年10-12月期」まで。四半期単位で生成されているので、全部で15期分となる。個々の分野では多数の雑誌を対象としているが、今回は直近時点でデータが確認でき(発刊中)、部数が上位7位のものに限定した。

まずは部数推移。「Vジャンプ」の値が他誌と比べて抜きんでており、このままでは他誌の動向がつかみにくいので、「Vジャンプ込み」「Vジャンプ抜き」の2つを作成した。

↑ ゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績(万部)(上位・一部のみ)
↑ ゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績(万部)(上位・一部のみ)

↑ ゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績(万部)(上位・一部のみ)(Vジャンプ除く)
↑ ゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績(万部)(上位・一部のみ)(Vジャンプ除く)

このジャンルでの「Vジャンプ」の絶対優位性、そして【Vジャンプ印刷実績のレンジ変動】などでも触れているが、その「Vジャンプ」の2011年に入ってからのレンジ変更の可能性が確認できる。

その「Vジャンプ」を除いた二つ目のグラフからは、3か月毎に定期更新している記事でも指摘している通り、各誌の漸減傾向がうかがえる。その一方、例えば「ファミ通DSプラスWii」が大きな変動を何度か繰り返していること、「アニメディア」が2010年半ばに一時期盛り返しを見せたこと、「アニメージュ」は堅実に推移しているなどがうかがえる(【「ゾッ」とするかな...? 三大アニメ誌の動向】)。

これを「前期比」の推移でみたのが次のグラフ。7誌まとめて掲載すると錯綜するので、「アニメ系」「非アニメ系」に振り分けた(「コンプティーク」はアニメ系な感もあるが、今件ではあえて「非アニメ系」に分類)。

↑ ゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績(上位・一部のみ)(前期比)(アニメ系)
↑ ゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績(上位・一部のみ)(前期比)(アニメ系)

↑ ゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績(上位・一部のみ)(前期比)(非アニメ系)
↑ ゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績(上位・一部のみ)(前期比)(非アニメ系)

まずはアニメ系。堅調推移の「アニメージュ」が期単位の変移で見ても大きなぶれを起こしていないことが分かる。安定した読者層が支えているのだろう。一方、「メガミマガジン」「アニメディア」は上下変移が、「ニュータイプ」は下位変移が大きい。後者は印刷実績数自身が、大きく減少していることを再確認させてくれる(マイナス圏での推移がほとんど)。

また「アニメディア」の2010年4-6月の上振れが気になる。最初のグラフと比較すれば分かるように、この上振れがトリガーとなり、「アニメディア」はしばらく低迷を回避できていたからだ。調べた限り、この時期に同誌は判サイズをA4ワイドに切り替え、「アニメージュ」「ニュータイプ」と同じサイズにしている。この判サイズ変更が、同誌にはポジティブに働いたようだ。

他方、非アニメ系では「コンプティーク」がやや安定(とはいえプラスマイナス10%という比較的大きなレンジ内)しているものの、他の「ファミ通DS+Wii」「Vジャンプ」は期ごとに大きな変動を起こしている。前者はハードやソフト、後者はアニメやゲームの動向と大きな関係がある。例えば2010年7-12月の2期における「ファミ通DS+Wii」の伸びはニンテンドー3DS発売直前情報、そして直近の2011年10-12月は年末年始セールスに向けた3DS関連の情報提供によるところが大きい(【ニンテンドー3DS本体の販売動向をグラフ化してみる(2011年度第3四半期決算短信反映版)】にもある通り、3DSは値下げ効果も相まって、発売直後の四半期以上の台数が2011年10-12月期で売れている)、これが両誌の長所でもあり、短所ともいえる。



今ジャンルの動向をざっとまとめると、

・概して漸減
・「アニメージュ」は手堅い
・冊子のリニューアル成功事例あり(「アニメディア」)
・対象素材のすう勢が雑誌の短期的部数変移に大きな影響をもたらす
 (特にゲーム系)

などが見て取れる。そして3か月毎の記事でもしばしば触れているが、魅力的な付録の添付は、往々にして短期的な部数の底上げをもたらす効果を示す。しかし中期的にはそれも「イレギュラー的な動き」でしかなく、中期的な流れを押し戻すまでには至らない。「アニメディア」の成功事例はそのようなカンフル剤の投入では無く、市場をよく把握した結果によるもの(例えば版サイズがライバル誌より小さい=折り込み付録やグラビアなどで見劣りがする)。

無論、単に「大きくすれば良い」訳では無い。市場の需要がどこにあるのか、ライバル誌と比して何が足りないのかを考察し、手を加えて行く。それが正しければ市場も、購読者も応えてくれる。これが案外難しい。だがその「難しさ」を乗り越えなければ、右肩下がりの現状を打破することは不可能といえよう。

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