【更新】リニューアルしたCocohana(コーラス)」が大きく伸びる…少女・女性向けコミック誌部数動向(2011年10月-12月)

2012/02/15 06:50

先日まで【社団法人日本雑誌協会】が2012年2月9日に発表した、2011年10月から12月分の印刷部数データを元に、いくつかの定期発刊雑誌の動向をグラフ化し、分析した。今回は少女・女性向けコミック誌の雑誌について、グラフ化と状況の把握を試みることにする。なお当方(不破)は男性で女性誌には疎いことから、数字そのものは別としても、内容分析については的外れなことを述べている可能性もある。その点はあらかじめご了承願いたい。

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データの取得場所の解説や、「印刷証明付部数」など文中に登場する用語の説明は、一連の記事まとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明が行われている。そちらで確認をしてほしい。

まずは少女向けコミック誌。少年向けコミック誌の「週刊少年ジャンプ」の立ち位置に「ちゃお」がついている。これは前回と変わりなし。

2011年4-6月期と最新データ(2011年10-12月期)による少女向けコミック誌の印刷実績
↑ 2011年4-6月期と最新データ(2011年10-12月期)による少女向けコミック誌の印刷実績

「ジャンプ」のように100万部超の世界には届かないものの、他誌に比べて「ちゃお」が抜きんでている様子が分かる。直近データでは63.8万部。販売実数はこれよりも少なくなるので、50万部強くらいだろう。第2位の「別冊マーガレット」の3倍近くに及んでいる。ただしこの63.8万部も、データが確認できる2008年7月-9月期以降における最盛期の値86.7万部から比べれば、20万部強ほど数を減らしている。

直近の動きとしては青棒より赤棒の方が短い、つまり前期から部数を落とした雑誌が多く見受けられる。冬休み突入における季節属性の影響もあるのかもしれない。

続いて女性向けコミック誌。こちらは横軸の区切りが小さめ(2万部単位)ということもあるが、いくつかの雑誌で大きな変動が確認できる。

2011年7-9月期と最新データ(2011年10-12月期)による女性向けコミック誌の印刷実績
↑ 2011年7-9月期と最新データ(2011年10-12月期)による女性向けコミック誌の印刷実績

トップは前々回「BE・LOVE」にトップを奪われた「YOU(ユー)」が大きな切り返しを見せている。今誌はいわゆるレディースコミック誌で、元々は「月刊セブンティーン」の特別別冊だった。数々のテレビドラマ化作品も生み出した、足掛け30年以上の歴史を持つ老舗雑誌でもある。第3位の「BE・LOVE」同様、レディースコミックの強さを再認識させる。

また「コーラス」が「コーラス(Cocohana)」と名前を変えているが、これは2011年11月28日に「コーラス」が「Cocohana」にリニューアルしたことを受けてのもの(次期からは「Cocohana(コーラス)」に記述を変更する予定)。後述するが単なるリニューアルでは無く新創刊的な意味合いも強く、それに合わせて発行部数を大きく引き上げている。

さらに「別冊フレンド2012(2011)」は該当期に『別冊 フレンド 2012年 01月号』と『別冊フレンド 2011年 11月号』の2誌が発刊済み。本来ならデータの開示があってしかるべきなのだが、今期では非公開扱い。今誌は隔月刊誌ではあるが、データの開示方針として一期おきに行う姿勢を見せているようだ。

さて「少女・女性向けコミック誌」としての記事は今回が5回目となり、一年前の同期データも参照が可能になった。そこで他の分類同様に、印刷数変移をグラフ化する。まずは最新期と前期の変移率。要は約3か月間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったのか、その割合を示すもの。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2011年10-12月期、前期比)

震災による下ぶれの反動でプラスが多かった前期と比べ、マイナス誌が多い。とはいえほとんどは誤差範囲(下げ幅5%未満)で、大きな下げは「別冊花とゆめ」のみ。その「別冊花とゆめ」も前期大きく上昇した反動の領域で、過去数期内の動向を見る限りでは「予定調和」の範囲。しかしながら女性向けのコミック誌も男性向けのコミック誌と状況は変わらず、厳しい局面を迎えていることに違いは無い。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)
↑ 雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)(2011年10-12月期、前期比)

前期からの比較で大きく伸びたのが「Cocohana(コーラス)」。これは前述したように、2011年11月28日発売の2012年1月号から、かつての「コーラス」が「Cocohana」にリニューアルしたのに伴い、新創刊したもの。それに合わせ印刷部数も3万部近く引き上げられ、今回のような大きな伸びを記録している。この伸びが雑誌の内容・人気に沿うものであれば、次期以降も初期実績(13.0万部)は維持できるはずだ。

「ボーイズラブ(BL)」系のコミック誌「CIEL(シエル)」が堅調なのはいつも通り。そして今回も「FEEL YOUNG」が目に留まる(ただし前期とは逆の方向で)。同誌は前期で「うさぎドロップ」がアニメ化・実写映画化ことを受けて大きく部数を伸ばしたが、今期ではその反動がそのまま数字に表れている。単発モノの活性化はすぐに勢いが鎮静化する好例といえよう。

続いて「前年同期比」の値も算出する。いわゆる「季節属性」を考慮しなくても済む(例えば今回なら、2011年10-12月と、その1年前の2011年10-12月分の比較)ので、純粋な雑誌の販売数における、年ベースでの伸縮率が把握できる。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2011年10-12月期、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2011年10-12月期、前年同期比)

前年同期比も厳しいのは男性向けのコミック誌同様で、少女向けコミック誌でもプラスは1誌、あとはすべてマイナス。しかもマイナス値は前回とほぼ同じで、他専門誌・雑誌の軟調傾向と何ら変わりない。10ポイント超のマイナス値は5誌に及び、前回の6誌からはやや改善されているが、全体動向を変えるほどのものではない。特に最下列にある「ASUKA」「なかよし」は前期でも同じようなポジションにあり、今後の動向が心配(この言い回しも前期と同じ)。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2011年7-9月期、前年同期比)
雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2011年7-9月期、前年同期比)

前期比部分でも言及した「CIEL」「Cocohana(コーラス)」が同様の理由で大いに健闘。一方「ARIA」は1年で部数が半分以下に落ち込んでいる。元々2010年7月創刊の比較的新しい雑誌ではあるが、直近データでは部数1.2万部。「非日常的ガールズコミック」がキャッチコピーとのことだが、市場受けはあまりよろしく無いようだ。



今期は前期における「震災の影響(の反動)」もほとんど姿を消し、ほぼ通常の業界・市場動向に戻った感はある。「CIEL」の「ボーイズラブ・ストーリー」に代表される、「オンリーワン」的特性を持つ雑誌の輝きぶりが再確認できる。また前期で「別冊花とゆめ」の「ガラスの仮面」、「FEEL YOUNG」の「うさぎドロップ」による効果で大きく盛り上がったが、今期はその盛り上がり分が失速し、反動の形で現れた。「単発タイトルでの雑誌部数盛り上げは、よほどの大家でない限り、四半期が限界」なのが分かる。

複数ラインで「大家」あるいは「大きな底上げをする」ビックタイトルがあれば継続的な飛躍が期待できる。しかしそれは少年・男性向けコミックをはじめ他ジャンル同様、難しい話ではある。

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