年収別・カップめんやインスタントラーメン、ハンバーガーへの支出額の違いをグラフ化してみる(2010年分反映)

2012/02/14 06:45

先に【カップめん参上…世帯単位での「カップめん」の購入性向推移をグラフ化してみる(2010年分反映)】【お米とパンとめん類と…世帯単位での主食3品目の購入性向推移をグラフ化してみる(2010年分反映)】で、「二人以上の世帯」「単身世帯」を合わせた「総世帯」における、いくつかの食品に関する消費性向の確認と分析を【家計調査(家計収支編)調査結果】から取得したデータを元に行った。今回は取元ファイルは同じだが、切り口を少々変えて、年収別に見たインスタント系、あるいはシンプルな食材、さらにはファミレスなどの外食(要は世間一般に「お財布事情が寂しい世帯の味方」というイメージのある食品群)に費やす金額の違いを見て行くことにする。

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データの取得元は【家計調査(家計収支編)調査結果】で先の記事と変わらない。そこから「4.詳細結果表」「総世帯(平成14年から掲載)」「年データ」を選択(今項目には四半期・年・年度しか無い)。「3.時系列データ」は基本的要項しか掲載されていないので使えない。

「年データ」は現時点で2010年分までのものが収録されている。そこで最新の2010年のものについて「家計調査 > 家計収支編 > 総世帯 > 詳細結果表 > 年次 >」から「<品目分類>1世帯当たり品目別支出金額」「10 年間収入五分位階級別」を選び、ファイルを取得。その中にある「食費(食料)」「カップめん」「即席めん」「ハンバーガー」「他の主食的外食」をチェックしていく。これらの項目が具体的にどのような食品を示しているかは、【収支項目分類及びその内容例示(平成22年1月改定)】で次のように解説されている。

・食費(食料)……飲食に供される食品及びこれに伴うサービスに対する支出。

・カップめん……カップ状のものにめんや具材が入り,お湯を注ぐだけで飲食できるもの。主食的に食べるもの。

・即席めん……製造過程において調理味付けされ、保存可能の状態に加工されたもの。メンマ、あげ玉、わかめ程度を付加したものも含む。カップめんは除く。
・ハンバーガー……セットも含む。ハンバーガーショップ(での購入)に限る。

・他の主食的外食……そば、うどん、ラーメン、パスタ、寿司、和食・中華・洋食各種、ハンバーガー「以外」の外食。例えばドーナツセット、お好み焼き、ピザパイ、お子様ランチ、会社での食事代など。ファミレスでの食事も該当する。

また、家計調査では世帯の年収について、「-251万円」「251万-375万円」「375万-517万円」「517万-742万円」「742万円以上」の5段階区分がなされている。この年収区分毎に、まずは食費と消費支出からエンゲル係数を求めておく。

エンゲル係数とは【エンゲル係数の推移をグラフ化してみる】で解説している通り、世帯の豊かさを示す一つの指標。具体的には、

・(実)収入……世帯主の収入(月収+ボーナス臨時収入)+配偶者収入など
・支出……消費支出(世帯を維持していくために必要な支出)
     +非消費支出(税金・社会保険料など)
     +黒字分(投資や貯金など)
・エンゲル係数……食料費÷消費支出

で算出される。元々エンゲル係数そのものはドイツの社会統計学者エルンスト・エンゲル(Ernst Engel)が提唱したもので、「家計の消費支出に占める飲食費割合が高いほど生活水準は低い」とするもの。よほどの富裕層(そしてそれらはごく少数)でない限り、食費の額に大きな違いは出ず、一方で食費そのものはどの家庭でも必ず発生する。よって、全体の支出に占める比率は、消費支出そのものが大きくなるほど低くなる・食費以外の項目に割り当てられる額が大きくなるというもの。

現在では商品価格の水準や生活様式が同じもの同士でないと比較にならない、農村部の住民は自前で主食や野菜を自給出来る(割合が高い)ので必然的にエンゲル係数が低くなる、さらには住居費も合わせて考えるべきだとの意見もあり、昔ほど重要視はされなくなった。それでも「それなりの」参考値としてはいまだに有益である。

↑ 年収階層別・エンゲル係数(2010年、総世帯)
↑ 年収階層別・エンゲル係数(2010年、総世帯)

エンゲル係数の視点では、最高年収区分は最低年収区分と比較して、2割5分ほど豊かという計算になる。あくまでも参考値でしかないが、年収の増加と共にエンゲル係数が減少しているところを見ると、あながちデタラメというものでもないようだ。

さて、本題の「シンプル&リーズナブルな食事群」と「ファミレスなど比較的安価な外食」の利用額について、年収区分別の支出額をまとめたのが次のグラフ。年収区分別の違いを知りたいため、各項目で「最低年収区分世帯の支出額を1.00」とした場合の、相対値を算出、グラフに盛り込んだ。

↑ 年収階層別・食品支出額比較(2010年、総世帯)(-251万円層の値を1.00とした場合)
↑ 年収階層別・食品支出額比較(2010年、総世帯)(-251万円層の値を1.00とした場合)

年収の増加と共にエンゲル係数が漸減しても、「食費」の出費額そのものは増加している。エンゲル係数はあくまでも「消費支出に対する比率」が減っているという話に過ぎない。そしてベースとなる「食費」の増加と比べると、「カップめん」「即席めん」の増え方は緩やか。

特に「即席めん」の上げ幅が小さいことからも分かるように、これら食品群は元々単価が安く、さらに高級品との価格差もそれほど大きくは無いため、食費全体の増加分と比べて上昇幅が抑えられている。また「年収の増加と共に購入頻度が減っている」可能性も十分に考えられる(残念ながら年収別の、各項目購入頻度は公開されていない)。

「他の主食的外食」は中堅層以降になると、「食費」以上の伸び率を示す。外食機会が増える、利用時のメニューが高額なものとなるなど、色々と理由は容易に考えられる。実情を想像すれば多分に「利用頻度の増加」が主要因と見てよいだろう(最上位年収では最下位年収の3倍強の金額の支出が行われている)。

興味深いのは「ハンバーガー」。一見すると「所得が低い層の味方」なイメージが強いが、「食費」の比率をはるかに超えて増加している。シンプルなセットのみか、あるいはセットにプラスαのメニューを追加するか。もちろん利用頻度そのものの違いもあろう。



やや余談になるが各年収毎に、「カップめん」「即席めん」「ハンバーガー」の「食費に対する」支出額の比率を算出すると次のグラフの通りとなる。


↑ 年収階層別・食品支出額比較(2010年、総世帯)(各年収層の食費に対する比率)
↑ 年収階層別・食品支出額比較(2010年、総世帯)(各年収層の食費に対する比率)

一概に「低年収層ほどカップめんや即席めん、ハンバーガーへの支出金額が多いわけではない」のは本文で示した通りだが、食費全体に占める比率でも同様のことがいえる。むしろ「517-742万円」の層の方が、食費に占める比率は全般的に高い(即席めんを除く)。利用頻度も合わせ、年収が低いとハンバーガーですら手が届きにくいということになるのだろう。……当方自身、思い当たる節があるので、妙に納得してしまう。

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