育児系ではベビモの躍進続く、付録がポイントか…諸種雑誌部数動向(2011年10-12月)

2012/02/14 06:50

先に【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2011年10月-12月データ)】などで【社団法人日本雑誌協会】が2012年2月9日に発表した、2011年10月から12月分の主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータを元に、いくつかのグラフを生成した。今データは定期的に更新され、いくつかの雑誌について丸一年以上のデータが取得できたため、季節属性にとらわれない「前年同期比」の値を出せるようになったことは、これまでの記事でお伝えした通り。今回は当サイトで定点観測しているデータ以外のいくつかの雑誌について、「前年同期比」における部数推移のグラフ化を試みることにした。雑誌不況はどの程度、どのジャンルに浸透しているのか、それなりにつかみとれるハズだ。

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データの取得場所の解説や、「印刷証明付部数」など文中に登場する用語の説明は、一連の記事まとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明が行われている。そちらで確認をしてほしい。

まずは一般週刊誌。状況を端的に表現するのなら「一部は踏みとどまり、他は減退」。

一般週刊誌印刷実績変化率(2011年10-12月、前年同期比)
↑ 一般週刊誌印刷実績変化率(2011年10-12月、前年同期比)

一般週刊誌印刷証明付き部数(2011年10-12月)(万部)
↑ 一般週刊誌印刷証明付き部数(2011年10-12月)(万部)

今回計測分では前期比(前年同期比では無い・グラフは略)でプラスに転じている雑誌は6誌と結構な数に登り、震災後の原材料不足を含めたマイナス影響からようやく抜け出た感はある。同時に「特需」の恩恵(プラス的効用)を受けた雑誌も、その影響は終わったようだ。

前年同期比ではプラス誌は5誌だが、いずれも5%内の誤差範囲内。一方マイナス誌は9誌で、誤差の許容量を超えたのは7誌。元々紙媒体は一部を除き漸減傾向にあるとはいえ、少々その影響が強めに出ている感はある。

マイナス10%超えを継続している「SPA!」や「FLASH!」などは、紙媒体による「写真週刊誌」という存在において、供給過多のイメージは否めない。掲載内容の需要の観点では「週刊プレイボーイ」もしかり。数字の減退ぶりがそれを裏付けている。あるいはデジタル系をメインとし、本誌はそのデジタル系のプラットフォームとして割り切り、出版形態・構成を変えるぐらいの変革も切り口の一つとして見出してもよいかもしれない。

続いて育児系雑誌。

育児系雑誌印刷実績変化率(2011年10-12月、前年同期比)
↑ 育児系雑誌印刷実績変化率(2011年10-12月、前年同期比)

育児系雑誌は比較的手堅いジャンルだったはずだが、今期も前回掲載時と比べて状況は変わらず、あまり良くない。元気なのは前回同様「ベビモ」だけで、後はみな「おつかれ」状態。「edu(エデュー)」の軟調さも変わらず(部数としては数千部程度なのだが)。

なお「ベビモ」の該当期の発売刊を確認すると、その中でも特に『ベビモ 2011年11月号』の付録「ポケッタブルトートバッグ」と「食材別 離乳食カードレシピBOOK」の評判が良い。ツボをついたアイテムと情報の提供が、同誌の部数変移にもそのまま表れているようだ。

食・料理・レシピ系雑誌。内食・中食への注力が高まる一方の昨今、ニーズは強まるはずなのだが、全般的に軟調なのは前期と変わらず。インターネット、とりわけモバイル系端末経由の情報提供サイトに読者を奪われている可能性は高い。

食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)
↑ 食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)

特に「きょうの料理」は今期も前期に続き約マイナス20%の値を示しており、根本的なテコ入れが求められている。印刷部数としてはまだ40万部強ほどある(今件4誌中最大部数)のが幸いなところ。なお今グラフは「前年同期比」で今回も反映されないものの、2009年10-12月期以降データが非開示となった「レタスクラブ」について、前期から再び公開された(今期は約31万部)ことを記しておく。

エリア情報誌。こちらも苦境は続く。

エリア情報雑誌印刷実績変化率(2011年10-12月、前年同期比)
↑ エリア情報雑誌印刷実績変化率(2011年10-12月、前年同期比)

「ぴあ(首都圏版)」は【雑誌の首都圏版「ぴあ」7月21日発売号で休刊・39年の歴史に幕】にもある通り2011年7月21日売り号で休刊。今期グラフでは反映されていない。また前期で大いに盛り上がりを見せた「北海道ウォーカー」だが、今期はわずかにマイナス。しかも【北海道ウォーカー、季刊誌へ】で記したように、今年の3月売り号から季刊誌に販売スタイルが変更される。大きな戦略方針の転換があったものと思われる。

【イヌとネコ、耳や鼻が良いのはどっち?…イヌとネコのトリビアたち】にもあるように、しばしば対で紹介される「犬猫」双方の専門誌、「いぬのきもち」と「ねこのきもち」。

犬猫雑誌印刷実績変化率(2011年10-12月、前年同期比)
↑ 犬猫雑誌印刷実績変化率(2011年10-12月、前年同期比)

「いぬのきもち」「ねこのきもち」印刷証明付き部数(万部)
↑ 「いぬのきもち」「ねこのきもち」印刷証明付き部数推移(万部)

今回も前回同様、前年同期比では「ねこのきもち」の勝利(とはいえ両紙ともマイナス)。もっとも直近二期比較では両誌とも印刷部数をわずかながら伸ばしており、下げ止まりを見せた感はある。ちなみに直近期の発行部数は「いぬのきもち」13.7万部・「ねこのきもち」10.3万部で、「いぬ」の勝ち。

最後に小学館の「小学●年生」シリーズ。以前【「小学五年生」「小学六年生」が休刊・来年春に学習まんが誌「GAKUMANPLUS」を創刊へ】で報じたように、「小学五年生」「小学六年生」は休刊しておりすでに無く、さらに【「小学三年生」「小学四年生」来年2月売り号で休刊】の通り「小学三年生」「小学四年生」の休刊も決まったため、早々とデータ開示を止めてしまっている。そして【GAKUMANplus (ガクマンプラス) 、休刊してましたァァッ】でも伝えているが、「GAKUMANPLUS」も休刊をしていたため、更新データとして提示できるのは「小学一年生」と「小学二年生」のみとなってしまった。

「小学●年生」シリーズ印刷実績変化率(2011年10-12月、前年同期比)
「小学●年生」シリーズ印刷実績変化率(2011年10-12月、前年同期比)

今回も前回同様、「小学一年生」は大きくプラスに戻している。一方「小学二年生」は今回も軟調。その上、前回の記事で”「小学三年生」「小学四年生」の落ち込み具合は危機的なものがあり、根本的なセールスの改善策、あるいはビジネスモデルの再構築を迫られている”としたが、それらの雑誌について再構築云々の前に休刊が決まってしまったのでは仕方があるまい。

あるいはそれが「ビジネスモデル」の観点では最善の手立てだと判断したのだろう。本来「小学-年生」の休刊を穴埋めする役割を果たすGAKUMANplus (ガクマンプラス)も相前後して休刊する状況を見るに、生半可な手立てでは現状打開が難しいことがうかがえる。



以上ざっとではあるが、いつものように各種雑誌について、前年同期比の印刷実績の推移をグラフにしてみた。ごく一部の例外をのぞき、ほとんどが前年同期で少なくとも1割前後の売れ行き減な状態が確認できる。さらに休刊なり発行頻度の低下など、部数以外の面での市場低迷化を再認識させられる場面も多い。

また、今回取り上げた業界専門誌の領域(料理や育児など比較的ハードルが低い、一般向けの業界)は、デジタル系ツールとの組合せで、逆に紙媒体としての魅力を活かしつつ、多くの人から注目を集められる可能性を十分に秘めている。例えばAR(Augmented Reality(拡張現実・強化現実))の常用活用を模索するなど、今だからこそ出来る挑戦もある(【「毎日新聞におけるAR技術の試験導入に関する感想」をまとめてみた】などのように、大手新聞社もようやく重い腰を上げ始めている)。

少なくとも市場を取り巻く環境が大きく変化している以上、これまで通りの切り口は通用しないことを、あらためて認識しておくべきだろう。

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