「スマホ」「年金」など社会性の高いテーマが注目を集める…ビジネス・マネー系雑誌部数動向(2011年10月-12月)

2012/02/13 07:00

【社団法人日本雑誌協会】は2012年2月9日、2011年10月から12月分の印刷部数を公表した。主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータで、各紙が発表している「公称」部数より正確度が高く、各雑誌の現状を「正確に」把握できるデータといえる。今回は当サイトのメインテーマにもっとも近い「ビジネス・マネー系雑誌」についてデータをグラフ化し、推移を眺めることにする。

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データの取得場所の解説や、「印刷証明付部数」など文中に登場する用語の説明は、一連の記事まとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明が行われている。そちらで確認をしてほしい。

それではまず、2011年の10-12月期とその前期、2011年7-9月期における印刷実績を見てみることにする。

2011年の10-12月期とその前期、2011年7-9月期におけるビジネス・金融・マネー誌の印刷実績
↑ 2011年の10-12月期とその前期、2011年7-9月期におけるビジネス・金融・マネー誌の印刷実績

【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2011年10月-12月データ)】の週刊少年ジャンプの「郡を抜く売れ行き」のように、雑誌名通り「プレジデント」が断トツで印刷部数が多い状況に変化はない。前期は「全般的に、前期より下げている状況」と表せざるを得なかったが、今期では伸びを見せる雑誌、落ち込む雑誌と多種多様な動きが確認できる。上位陣、特にトップ3がいずれも「前期<<今期」の流れに乗っているのは嬉しい話。

続いて各誌の前期・後期の販売数変移を計算し、こちらもグラフ化する。要は約3か月の間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったかという割合を示すもの。よほどの「イベント」が発生するか、あるいはたまたま定期的な印刷部数見直し時期に当たらない限り、3か月間で大きな変化は見られないはず。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・金融・マネー誌)(2011年10-12月、前期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ビジネス・金融・マネー誌)(2011年10-12月、前期比)

前回赤系統がほぼ前誌を網羅した今件グラフだが、今期ではそれなりに心地よい状況を覚えさせる結果が出ている。誤差範囲のプラスマイナス5%を除外して考えると、プラス誌2誌、マイナス誌3誌。昨今の雑誌情勢を考慮すれば、大健闘。

とりわけ大きな伸びを見せた「週刊東洋経済」だが、該当期間ではスマートフォンの最前線の話や年金対策など、昨今の情勢・幅広い読者ニーズにマッチした切り口の特集が目立つ。これが今回、大きく部数を伸ばした要因といえる。

その「週刊東洋経済」のライバルといえる「プレジデント」は、前回大きなマイナスを見せて心配されたものだが、今期ではプラスに復帰。とはいえ、15%近いマイナスへの動きの反動がプラス3.4%では、少々物足りない気がする。

さて一連の定点観測を続けたことでデータ蓄積量も一年分を超え、「前年同期比」のデータを算出することができるようになった。今回も「季節属性」を考慮せずに年ベースでの動向をつかみとれる「前年同期比」のグラフも生成し、掲載する。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ビジネス・金融・マネー誌)(2011年10-12月、前年同期比)

前期比で見ればかなり健闘したのが今期の概要だが、前年同期比で見ると前回記事同様あまりほめられたものではない状況。プラス誌が1誌あるのが幸いだが、その一方でマイナス値が30%超えの雑誌が2誌あり、状況の厳しさを再確認できる。



2008年秋のいわゆる「リーマンショック」で多くの人が経済情報に注目した時期が直近における天井となる形で、それ以降は金融・経済系のウェブサイトへの(確証度・知名度・権威度の高い新聞社・法人系サイトを中心にした)アクセスの増加はゆるやかなものとなり、あるいは減少に転じている。しかしパソコン、そして携帯電話やスマートフォンなど各種モバイル情報端末からアクセスできるインターネットメディアへの、紙媒体からの読者移行の流れは加速の真っただ中にある。

特に時間・分単位で情勢が変化する経済系のジャンルでは、記事の作成と読者への公知の間に大きな時間差が生じる雑誌の不利さは、他のジャンル(漫画や趣味系の雑誌)とは比べ物にならないくらい大きい。スピード感で例えれば、インターネット系媒体は紙媒体における「号外」を逐次配信しているようなもの。昨今においては、即時対応ができる今件記事におけるジャンルのインターネット上での情報展開は、ますますその重要度を増しつつある。

頑なに古い体制ばかりのみを固持することなく、現状を正しく認識・分析し、「紙媒体・雑誌ならではの内容、雑誌にしかできない情報提供・読者へのサービスとは、そしてその仕組みとは何か」という基本原理に立ち返り、同時に「躍動する新メディアと相乗効果を生み出せる仕組み、アイディアは無いか」との模索をすること。その際に固定概念や既得権益にとらわれることなく、先を見据えて柔軟な発想を行うこと。さらにそれらの答えを見つけ出したら、躊躇することなく実践し、読者に受け入れられるように自らの姿かたちを変えていくこと。ビジネス・金融・マネー誌にはその「進化のための努力」が早急に求められている。そしてその進化は対象や環境こそ違えど、昔から常に、あらゆる場面で求められていたことに過ぎない。

環境の変化に対応・進化できない生物が種としてどのような結末を迎えるかは、これまでの歴史が十分すぎるほどに語っている。そしてその動きにもっとも敏感な、今記事で対象となる雑誌達自身こそが一番よく知っているはずだ。

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