両社とも「雑誌」「ラジオ」が下げ、「新聞」がわずかだが上げ(電通・博報堂売上:2012年1月分)

2012/02/10 06:50

[博報堂DYホールディングス(2433)]は2012年2月9日、同社グループ主要3社の2012年1月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が同年2月7日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2012年1月次における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

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データ取得元の詳細や各項目に関する留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で解説している。そちらで確認のこと。

二大広告代理店の2012年1月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2012年1月分種目別売上高前年同月比

東日本大地震・震災による直接的な広告費のへの影響は、数字の上ではほぼ終息し、それ以前からの広告業界・メディアの流れ「4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が苦境に陥っている」状況がそのまま継続する動きが見受けられる。

1月の特徴としては、「テレビ」が代理店によって変動がまちまちな一方、両社とも「雑誌」「ラジオ」が下げ、「新聞」が上げているのが目に留まる。一年前のデータと見比べると、博報堂の「新聞」での今月プラス6.4%は、前年同月が「その時の」前年同月でマイナス12.7%だったことから多分にリバウンドの結果によるものと思われる。一方電通はプラス5.0%を示しており、そこからさらに今月、わずか0.5%だがプラスの値を描いたのは、昨今の情勢を考えると十分以上の健闘といえる。

ここ数か月は前年の飛躍ぶりを受けてのリバウンド感が強いインターネットメディアだが、今月も両社共に前年同月比でマイナス。一年前における前年同月比が、電通プラス28.8%・博報堂プラス60.1%だったことを考慮すると、それらの反動によるものと考えられる。

両社合わせると前年同月比でプラスなのは全部で9項目。前月の12項目から3項目減っており、やや軟調な動きなのが見て取れる。4マス内では「新聞」(電通・博報堂)と「テレビ」(博報堂)の3項目しか無く、今一つ盛り上がりに欠ける。

今月は博報堂における「その他」部門の伸びをはじめ、いわゆる”「4マス(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)」と「インターネット」”以外の一般部門における(代理店によって偏りがあるものの)好調ぶりが際立って見える。「アウトドアメディア」や「マーケティング・プロモーション」は内容がある程度把握できるが、「その他」は先月解説したように「雑多で色々なもの」の複合体。

●「その他」
電通……衛星その他のメディア、メディアプランニング、スポーツ、エンタテインメントその他コンテンツなどの業務が含まれます。

博報堂……スポーツ、エンタテインメント、その他コンテンツ等に関する取引が含まれております。

(各社リリースなどから抜粋)

電通99億2500万円・博報堂は33億3500万円(三社合わせて)と、両社ともかなり大きな額(電通内比較では「新聞」の108億に迫る)。上記項目のうち、どの項目が(あるいは複数が)「その他」総額をけん引したについて、好奇心をそそられる。

広告代理店が自社業務のラインを公開することは滅多にない。場合によっては公開した時点で「効果」が半減してしまうものもある。従ってどのような案件・対象メディアが「その他」項目の好成績に大きく貢献したのかは、公開資料からでは把握できない。もっとも「具体的案件の内容」という点では、「マーケティング・プロモーション」「クリエーティブ」「アウトドアメディア」も同様で、先月12月同様に「電通・博報堂両社とも、4マスとインターネット以外で奮戦した」という表現にとどめざるを得ない。

ただし昨年同月の結果をもう一度見返すと、前年同月でも「4マスとネット」以外の項目は比較的良好な値を示している(昨年はとりわけ「アウトドアメディア」が好調だった)。そこからさらに上乗せしていることを考えれば、この時期(年末年始)は元々これら広告が伸びやすい時期と考えることもできる。

なお今件記事中最上位にあるグラフに関して改めて説明しておくが、これは「個々の会社の前年同月比」であり、額面の絶対額を意味しない。先の「その他」部門の項目でも分かるが、他に例えばインターネット分野の額面は、他の分野と比べればまだ小さめ。そして個々分野を会社毎に比較した額面上では、電通の方が上となる。例えばインターネット分野なら、電通28.37億円、博報堂は18.72億円(3社合計)という値。

電通・博報堂HDの2012年1月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2012年1月における部門別売上高(億円、一部部門)

昨今の寒さを受けて電力需給の危機感がリアルなレベルで到来しているが、この「社会を支えるインフラの(従来ならば起きてはならない)カツカツ感」はどのような甘い試算をしても、今冬「以降」も続くと考えて間違いない。それを見越してか自動販売機や電灯など、電力を常用する公的あるいはそれに準じる施設・機器では、加速度的に節電機能が開発、搭載される動きが見受けられる。新スタイルの広告手法として注目されている「デジタルサイネージ」もまた、【池袋駅のデジタルサイネージ、その後】で報告しているように地震直後のような「すべて全面オフ」という状況からは復帰しているものの、積極的な節電の「空気」は深く浸透し、以前ほどの活力は見られない。「全国規模で」電力浪費による非難リスクを自然に避ける傾向が見受けられる。

そのような状況なら電力消費をほとんど伴わない、従来型野外広告にもう少し注目が集まるのは自然の流れで、昨今の「その他」の動きも、一部はそれが該当しているものと考えられる。

今後は従来型・4マス・ネットそれぞれの長所を上手く流用・活用・併用し、予算の上だけでなく電力消費の観点からも、「慣習だから」との理由だけで効果の無い・薄い手法にとらわれることなく、コストパフォーマンスの高い、そして同時に効果が分かりやすい広告手法が(今まで以上に)求められる。本来なら自然の流れとして発するべき、発想に優れた広告に注目が集まり、採用され、トレンドとして消費者の目に留まる機会が増えてくるに違いないし、その動きに期待したいものだ。


■関連記事:
【冬場の時間単位での電力需給推移をグラフ化してみる】

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