インターネットとテレビのプラスが貢献し全体でも大幅なプラスに転じる(経産省広告売上推移:2012年2月発表分)

2012/02/09 12:00

経済産業省は2012年2月8日、特定サービス産業動態統計調査において、2011年12月分の速報データを発表した。それによると、2011年12月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でプラス10.1%と増加していることが明らかになった。主要項目別では「ラジオ」がマイナス0.8%と、もっとも大きな減少率を記録している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得元や選択項目の詳細などは記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】の中で解説している。そちらで確認してほしい。今記事はその2011年12月分データ(公開は2012年2月)の速報値を反映させたもの。なおそれより前のデータについては、速報値の後に発表される確定値で修正されたものを用いている。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2011年11-2011年12月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2011年11-12月)

比較しやすいように先月発表データと並列して図にしたが、マイナス値ばかりだった前回と比べ、今回はプラス値が多いのが分かる。「雑誌」は前回のマイナスからプラスへと転じ、「テレビ」はプラス値を伸ばしている。そして「ラジオ」はマイナス値とはいえ、下げ幅を縮めている。さらに「インターネット広告」はプラスに転じるだけでなく、大きな上げ幅を表している。また4大既存メディアとインターネット広告の伸び率と比べて「売上高合計」の値の伸びが大きいが、これはグラフ上では取り上げていない他項目(屋外広告、その他項目)の伸びが目覚ましい動きを見せたのが原因。

4マスの復調、インターネットの健闘、「それ以外」広告の大きな伸びなどの動きは、数字そのものはともかく挙動として【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2011年12月分)】と類する部分が多い。大きなシェアを持つ電通や博報堂の動きが、広告業界全体の動きと相関関係にあることが、改めて確認できる。

なお次回の2012年1月分は、1年前における「インターネット広告」の「前年同月比」の値がプラス43.1%と大きな伸びを見せていたため、その反動が十分予想できる。妙に見える動きを見せた場合、先月のように金額ベースも合わせて検証しよう。

今回も該当月における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データとの違和感を覚える部分もあるだろうが、参考値の一つとしてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年12月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年12月、億円)

昨今では何度か「新聞」を抜き、主要5項目では「テレビ」に次ぐポジションを得る機会を持つようになった「インターネット広告」。今月発表分は再び「新聞」を大きく引き離す結果となった。今後しばらくは追いつ追われつを繰り返しながら、次第に新たな立ち位置が確定的なものとなっていくと類推される。機会があれば二者間の「金額面」での動向を詳しく見て行くことにしよう。段々とその差が縮まっていくようすが、はっきり分かるはずだ。

次に、公開されているデータの推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2011年12月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2011年12月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で2009年後半以降は回復、プラス圏を維持」「テレビは2010年あたりから戻しの雰囲気」「ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小」「雑誌はかなり厳しいレベルの下げ幅を継続していたが、ここしばらくは復調の雰囲気も」という傾向を見せてい”た”。そして東日本大地震・震災による影響で2011年3月分から、グラフは大きなうねり・変移を起こしている。今月発表分は幸いにも、各項目とも前回と比べれば復調の動きを見せているようだ。

元々紙媒体の電子媒体への一部移行と適正な住み分け(紙媒体のすべてが電子媒体に移行する・できるわけではない。紙媒体にもメリットは多い)、電波媒体の広告プラットフォームとしての立ち位置の正当評価は、メディアの技術進歩や需給関係の変化と共に、漸次進行する。日本の場合は諸外国と事情が異なり、「既得権益を悪と決めつけ、それを打破すべし」と喧伝する報道メディア自身が大きな既得権益を握り、それを頑なに守る動きが各所で見られ、各メディアの「立ち位置の正常化」「世界の流れに追随する歩み」は遅延している。

一方東日本大地震・震災とそれに伴う各種震災・人災、そしてその後の消費者の中に芽生えた心理変化は、広告出稿側のコスト意識の変化(多くは厳粛・厳密化)、地震報道などで一部ながらも露呈した各媒体の「真の価値」に対する(視聴者・広告主における)意識の移り変わりのきっかけとなり、広告業界ですらも一部軌道修正の上で、全体における変化の「時計の針」を押し進めている。

今後も電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、特定サービス産業動態統計調査の結果の追跡に傾注し、メディアと広告の状況変化の移り変わりのチェックをお勧めしたい。単月ではつかみとれないことが、数か月、数年の流れの中で浮かび上がるはずだ。

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