救急車の病院収容時間などをグラフ化してみる(2011年版消防白書)

2012/02/03 12:10

救急車総務省消防庁は2011年12月16日、2011年版の消防白書を発表した。それによると119番通報を受けてから対象患者を病院に搬送するまでの全国平均時間は、2010年中においては37.4分であったことが明らかになった。これは2009年の36.1分より1.3分遅い計算になる。また通報を受けてから現場に到着する時間は8.1分となり、これは2009年の7.9分より0.2分遅い。軽傷あるいは不必要な状況での緊急出動要請の増加による救急体制のオーバーフロー的な状況や、【増える精神科・減る産婦人科や小児科…医療施設の数などをグラフ化してみる(2010年版)】でも指摘した通り病院数そのものの不足などで、搬送先の病院がすぐには見つからない状況にあるのが原因と推測される。

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消防白書は現在【消防庁内の収録ページ】にて閲覧が可能。まずここから、昨年12月16日に発表された「2011年版・データ内部は2010年中」のものを含む、さかのぼれる1998年中以降における「救急自動車による現場到着時間平均と病院収納時間平均」をグラフ化する。

↑ 救急自動車による現場到着時間平均と病院収容時間平均
↑ 救急自動車による現場到着時間平均と病院収容時間平均

冒頭でも触れたように、「現場到着時間」とは通報を受けてから現場に着くまで、「病院収容時間」とは通報を受けてから現場に到着し、対象患者を収容して病院に収容するまでの時間を意味する。いずれの時間も年々増加の傾向を見せている事が分かる。

ただし「病院収容時間」には「現場到着時間」も含まれるため、今グラフでは違いが今一つ分かりにくい。そこで「現場到着時間」と、「現場到着後病院収容までの時間」を計算して積み上げグラフにしたのが次の図。各年の赤と青によって構成された棒全体の長さが「病院収容時間」となる。

↑ 救急自動車による現場到着時間平均と現場到着後病院収容までの時間
↑ 救急自動車による現場到着時間平均と現場到着後病院収容までの時間

現場に到着するまでの時間も、そしてその後病院に収容されるまでの時間双方とも少しずつだが伸びていることが分かる。ちなみに「現場到着後病院収容までの時間」は「現場到着時間平均」の何倍かを算出したが大きな変化はなく、「現場に到着するまで」「現場に到着してから」のどちらか一方だけに、収容されるまでの時間が伸びている要因が存在するのでは無い事が分かる。

↑ 「現場到着後病院収容までの時間」は「現場到着時間平均」の何倍か
↑ 「現場到着後病院収容までの時間」は「現場到着時間平均」の何倍か

時間が伸びている原因はいくつか推測でき、そのうちの大きなものが冒頭で挙げた「軽症患者、あるいは救急搬送が不必要な事例による出動が増え、救急活動がオーバーフロー気味となっている」と「高齢者の呼び出しによる出動回数の増加」。それを裏付けるデータを、過去の消防白書を元にグラフ化しておこう。

まずは傷病程度別運搬人員の状況。もっとも古い1998年のデータと、直近の2009年-2010年のデータを比較したものだが、明らかに軽傷程度の搬送人員比率が増加しているのが分かる(もっとも2009年-2010年にかけては、多少ながらも軽傷者率が減っているが)。

↑ 傷病程度別搬送人員の状況
↑ 傷病程度別搬送人員の状況

ケガにしても病気にしても本人自身ではその重度が判断しにくいこともあり、「軽傷に思えるのなら救急車は呼ぶな」という意見に正当性は無い(当方が数年前に入院した際には自分の足で病院までたどり着いたが、主治医から後になって「無理をせずに救急車を呼べ」と怒られた経験がある)。しかし同時に、数字の上ではこのようなデータが出ていることを認識しておく必要はある。

もう一つは年齢階層別区分。消防庁でもこの問題については近年注視しているらしく、2008年以降からデータを用意している。

↑ 救急自動車による年齢区分別事故種別搬送
↑ 救急自動車による年齢区分別事故種別搬送

「もっともこれは1年のみの経年データであるため、増加云々については今後推移を見守る必要がある」とは前回の記事の文言だが、今回都合3年分のデータが蓄積されたことで、明らかに高齢者の比率が上昇しているのが確認できる。また今回、国勢調査の人口比も併記したが、高齢者の搬送比率が人口比よりはるかに多いのも一目瞭然。

病状の悪化やケガの発生比率を考えれば、高齢者搬送比率が人口比率より高い当然の話ではあるが、【総人口は横ばい、増えるお年寄り…高齢者人口推計をグラフ化してみる】などにもあるように、人口比率の変移と比べても高い上昇率を示しているのが気になるところだ。

今件については経年データによる検証が必要と考えられる。今回分で推測されていた状況の変移はほぼ確認出来たが、今後も新たな白書の公開に伴うデータを蓄積した上で、検証を重ね、状況の変移を見ていくことにしよう。


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【迷ったら「#7119」...救急車を呼ぶべきか・自ら病院に行くべきか...】

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