主要テレビ局の複数年に渡る視聴率推移をグラフ化してみる(2012年1月時点版)

2012/01/31 07:05

先日【主要テレビ局の直近視聴率をグラフ化してみる(2012年1月時点版)】で、2年ほど前の主要テレビ局の視聴率動向に関する記事【主要テレビ局の年間視聴率をグラフ化してみる】のデータ更新を行った。今回はそれに続く形で、過去複数年間に渡る主要テレビ局の視聴率の移り変わりを調べ、グラフ化した記事の各種値を更新し、再精査を行うことにした。

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テレビ視聴率は日本国内では、現在はビデオリサーチ社のみが計測を行っている。しかしビデオリサーチ社ではデータの大部分は非公開、さらに同社公式サイトに掲載中のデータにおいても、分析も含め利用は不可とされている。そこで主要テレビ局の中から、今回は【TBSホールディングスの決算説明会資料】をチェックしなおし、そこに「決算説明会の補足資料として」掲載されている主要局の視聴率を抽出。以前の記事で作成したデータに色々と補完を行うことにした。

まずはHUTの推移。「HUT」とはテレビの総世帯視聴率(Households Using Television、テレビをつけている世帯)を意味し、具体的には調査対象となる世帯のうち、どの程度の比率の世帯がテレビ放送をリアルタイムで視聴しているかを示す値(チャンネル別の区分なし)。録画したものをで再生、家庭用ゲーム機でテレビ画面を使っている場合は該当しない。またパソコンでテレビを観ている場合も該当しない。さらに数字上は反映されているものの「ながら視聴」も考慮されるべき問題ではあるが(極論としてテレビのスイッチは入っているものの、テレビそのものはほとんど観られていない状況もありうる)、今件ではとりあえず保留。

グラフを生成するのは、以前の記事でテレビ東京のデータに収められていたHUT推移。1997年以降半年単位のものが収録されていた。いわゆるゴールデンタイム(19時-22時)、全日(6時-24時)、プライムタイム(19時-23時)があるが、一番視聴率が高く、(番組の注目度、質も合わせて)変移が見やすいゴールデンタイムのものをグラフ化する。今回補完したものは、上記の通りTBSの決算説明会補足資料から取得したもの。なお上期はそのまま掲載されているが、下期は下期だけでなく全期分として資料上にあるので、上期の値と合わせて逆算している(過去データで試算し、一致すると確認済み)。

↑ HUT推移(ゴールデンタイム)
↑ HUT推移(ゴールデンタイム)

以前「HUT」の語彙(ごい)を調べた際の文献では「HUTはゴールデンタイムで70%前後が普通」とあった。しかし直近データでは60%強にまで落ち込んでいるのが分かる(縦軸の最下方が58%になっていることに注意)。1997年度下半期の71.2%をピークに、多少の上下はあれど、全体的には下降の一途をたどっているのが一目瞭然。また、年末年始はテレビ視聴率が上昇するため、毎年「上期より下期の方が高い」傾向を持ち、結果としてギサギザの形を呈することになる。

しかも【「テレビをつけている時間」と「視聴時間」、「視聴率」を考え直してみる】などで触れている通り、携帯電話やインターネットの普及で「ながら視聴率」が高まっている。このような「視聴上の質の変化」が起きている現在においては、10年前のHUTと現在のHUTを密度的に同列と見るのはかなり無理がある。

次に「TBSホールディングスの決算説明会資料」の話に移る。前回の記事同様、年度ベースにおける2004年度-2010年度(2010年4月-2011年3月)までの主要局のゴールデンタイムにおける視聴率の推移を生成した。2011年度は現時点で未達であり、データとしては存在しない。

↑ 主要局年度視聴率推移(ゴールデンタイム、年度ベース)(×印はデータを確認できず)
↑ 主要局年度視聴率推移(ゴールデンタイム、年度ベース)(×印はデータを確認できず)

先日の【主要テレビ局の直近視聴率をグラフ化してみる(2012年1月時点版)】でも触れているが、TBSが各種ドラマのヒットで持ち直し傾向にあったこと以外に、「年度ベースでは」テレビ朝日がやや復調、NHK・フジテレビ・テレビ東京が軟調、日本テレビが昨今の切り返しから再び軟調にあるようすが見えてくる。日本テレビは数年前の大胆なコストカットに伴う副作用が、具体的に数字として見え始めてきた可能性がある。

続いて前回の記事の「資産」を活用する意味もあわせ、2012年3月期(2011年4月-2012年3月)の第1四半期(2011年4月-6月)データと、過去の第1四半期との推移をグラフ化しておく。番組やイベントによる変動は避けられないが、少なくとも季節変動は除外して推移を見られる。

↑ 主要局視聴率推移(ゴールデンタイム、各年度第1四半期ベース)
↑ 主要局視聴率推移(ゴールデンタイム、各年度第1四半期ベース)

穴あきだらけで推測が難しいNHKを除くと、先の記事の分析通り、中期的に観ても「TBSが大きな下落から直近では多少ながらも持ち直し」「他局は押し並べて減少傾向」「テレビ東京の下落ぶりが著しい」という傾向に変わりは無い。特に最後の「テレビ東京」の動向は、一つ上の年度ベースグラフでも同じ流れであり、危機感を覚えざるを得ない。



本文中でも触れているが、昨今のテレビ局の短信でやや良い、あるいは復調しつつある財務上の数字が出ているのは、広告費の復調も一部にはあるが、それ以上に経費削減の成果が出ている色合いが強い。経費を減らして同じ質の番組を提供でき、同じ視聴率を維持できれば御の字なのだが、ライバルたるインターネットや携帯電話の市場がさらに拡大の一途をたどり、視聴率の現状維持ですら質の向上・新しいアイディアの導入などを求めねばならないにも関わらず(同じものの繰り返しは飽きられ、実質的な質は低下する)、昨今の状況はお世辞にもそのような状況とは言い難い。さらに「ながら視聴」の浸透により、同じ視聴率でも宣伝効果の希薄化も起きており、これもまたコストパフォーマンスを低下させる。

昨今、特にこの数年におけるテレビ局の苦戦ぶりや、番組構成上のさまざまな問題点の露呈は留まるどころを知らず、むしろ増大する様相を呈している。テレビがかつての信頼を取り戻し、テレビ局と主要コンテンツの番組が「あるべき姿」を再認識し、視聴者と共に歩む日が来るのはいつになるのか。

それは現時点で「来るべき日」に行き着くために進むどころか、むしろ後ずさりしている現在の経営陣・上層部にではなく、これからを支える人たちの意思次第といえよう。

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