「繊維」の著しい下げ方に目を疑う・前年同月比でマイナス3.8%(2011年12月分大口電力動向)

2012/01/25 06:20

電気事業連合会は2012年1月20日、2011年12月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年12月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で694億kWhとなり、前年同月比でマイナス3.5%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス3.8%を記録し、10か月連続して前年同月の実績を下回ることになった。マイナスが継続しており、節電や不景気も合わせ震災の影響は続いているようだ(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事をまとめたページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で解説している。そちらで確認をしてほしい。

2011年12月においては大口全体で前年同月比マイナス3.8%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる(節電効果でのマイナスも反映されているので、今年3月分以前の数字動向と比べると、誤差の範囲が大きい)。

大口電力使用量産業別前年同月比(2011年11月-12月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2011年11月-12月)

今月は全項目でマイナス。先月、前年同月比でプラスを見せた「繊維」「鉄鋼」も今月はマイナスに転じる。特に「繊維」の著しい下げ方には、やや目を疑う。

先月比のグラフでは短期はともかく中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の動向としては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きが2011年3月で止まり、それ以降は大きく下落しているのが改めて確認できる(無論東日本大地震・震災を直接・間接起因とするもの)。また直近数か月は多くの項目でマイナス圏での推移が続いており、工場の物理的な損害以外に、(原材料の調達不足、タイムシフト・デイシフトをはじめとする各種節電対策など)多種多様な稼働率・生産調整が影響している様子が見て取れる。

さらに1年前のこの時期が(リーマンショックからの)回復傾向にあったことを考慮すると、「それ(1年前)と比較して」の値が算出されるので(つまりはプラスと比較される。今月の場合は2010年12月で、その時は全体で「その時の」前年同月比プラス5.2%)、今後もしばらくは今月のようにマイナス値を継続することが容易に想像できる。特に今月は「繊維」「紙・パルプ」「化学」の3項目が8%前後と大きな下げを示しており、12月はまだ気温低下に伴う大口電力の節電の動きはそこまで大きなものではないことを考えると、生産そのものの低迷を懸念する必要がある。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場の物理的復興は相当率なものとなったが、各種部品不足に伴う工場の稼働率の低下、節電対策による消費電力減退、そして景気低迷に伴う生産調整など、数字の低迷は否めない。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業の動向を間接的に確認できる、大口電力の動向は注意深く見守っていきたい。

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