週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…購入世帯率や購入頻度の移り変わり(2011年版)

2012/01/25 06:30

書籍購入先日から【戦後の雑誌と書籍の発行点数をグラフ化してみる(「出版年鑑」編)】にもある通り、総務省統計局に収録されている【日本の長期統計系列】【日本統計年鑑】などを元に、出版業界や映画関連の中期的な動向を再確認している。その過程で「世帯ベースでの動向」について、以前週刊誌や雑誌、書籍の支出額を購入世帯率や購入頻度の移り変わりとして見た記事で、【家計調査(家計収支編)調査結果】を元にした分析を行っていることを思い出した。良い機会でもあるので、今回は非定点観測として、現時点で取得できる最新のデータ2011年11月分までのを元に、【1か月の購入金額は117円!? 週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(2011年11月版)】同様、グラフなどの再構築を行うことにした。

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厳密には今回対象となる元記事は、【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(下)購入世帯率や購入頻度の移り変わり】以外にもう一つ【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(上)世帯や一人あたりの金額推移】がある。しかしこれは省略。価格は多分に物価との連動、さらには各出版社の思惑が絡んでくるため、考察しなければならない要素が多次元的になってしまうからだ。

グラフデータの取得方法は【1か月の購入金額は117円!? 週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(2011年11月版)】で説明した通り。ただし、購入頻度や購入世帯率は【家計調査年報(家計収支編)】で掲載されている「以降」のものしかない。そこで21世紀として区切りが良いように、2001年以降のデータを抽出し、グラフを生成する。

なお「購入世帯数」は純粋に購入者がいた世帯の割合。そして「世帯購入頻度」は世帯単位での購入頻度。例えば構成員の誰かが特定期間に2回雑誌を購入すれば、その世帯の該当期間における購入頻度は200%になる。

まずは主要紙媒体の購入世帯率を世帯単位で示したのが次のグラフ。各年ごとに、世帯単位で該当媒体を買った人が居るか否かの割合。

↑ 主要紙媒体の購入世帯率(世帯単位)
↑ 主要紙媒体の購入世帯率(世帯単位)

「新聞」の世帯普及率は2002年の78.6%を天井に、毎年少しずつ、しかし確実に減少している。今では「3割近くの世帯は新聞を取っていない」状態。一方で「雑誌・週刊誌」「書籍」「その他の印刷物」も少しずつだが確実に減少を続けている。雑誌などはこの10年で5ポイント近くほど減ってしまった。特にこの二、三年は減少率が大きい。

続いて購入頻度。こちらは月ベースで、世帯当たりどれ位の世帯が各媒体を購入しているか否かを示したもの。新聞の場合は自宅に投函してもらうタイプは「1か月分の契約」で1購入と換算するので注意が必要。31日分投函してもらったから100×31=3100%となるわけではない。

↑ 主要紙媒体の購入頻度(世帯単位、月あたり)
↑ 主要紙媒体の購入頻度(世帯単位、月あたり)

2005年までは新聞の世帯頻度が100%近い状態だったが、それ以降は少しずつ、しかし確実に低下を続けているのが確認できる。母体数が大きいから、数としては膨大なものになるはずだ(【1年間で98万部減……新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2011年分・新聞業界全体版)】にもあるように、まさにその通りなのだが)。先の「購入世帯率」と見比べると、世帯購入分がそのまま購入頻度の低下にもつながっていることが分かる。つまり駅売りなどで販売される新聞には「大きな」変化は無いと考えられる。

他の紙媒体も状況的にはさほど変わらないが、「雑誌・週刊誌」が2009年に多少持ち直しを見せているのが気になる。この値は「金額」ではなく「購入されたか否か」を示すので、この業界にとってはポジティブな話といえる。しかし残念ながら2010年・2011年は再び大きな減少を見せ、2009年の持ち直しを帳消しにしてしまった。

「購入頻度」と「購入世帯率」の関係が分かりやすいように、「新聞」「雑誌・週刊誌」「書籍」それぞれについて抽出し、再構成したのが次のグラフ。

↑ 新聞の購入頻度と購入世帯率推移
↑ 新聞の購入頻度と購入世帯率推移

↑ 雑誌・週刊誌の購入頻度と購入世帯率推移
↑ 雑誌・週刊誌の購入頻度と購入世帯率推移

↑ 書籍の購入頻度と購入世帯率推移
↑ 書籍の購入頻度と購入世帯率推移

前述したように新聞は「世帯購入」の減少がそのまま購入頻度の減少につながっている形。ただしこの3年ほどは「購入頻度」の下げ幅が大きく、通勤過程・スタンド売りなどの新聞も買われなくなっている雰囲気がある。雑誌・週刊誌や書籍も「購入世帯率」以上に「購入頻度」の減少傾向が強く、(新聞のように宅配による定期購入はあまり無いことから)「購入者も購入冊数を減らしている」ことが推し量れる。また前述した通り、雑誌・週刊誌の2009年の値においては「購入頻度が上昇」「購入世帯数が減少」という傾向を見せていたが、2010年以降は再び大きく減少。イレギュラー的な動きだったことをうかがわせる。



昨今、特にこの数年においてはこれらの紙媒体の不調ぶりがクローズアップされているが、多かれ少なかれその傾向は「不調」が叫ばれる昔から生じていたことが見て取れる。昨今の問題は「昨日今日に始まったもの」ではなく、「前々から存在していたもの」が顕著化しただけに過ぎないと考えて、まず間違いない。

また、最後のグラフ群のうち「新聞」「雑誌・週刊誌」の推移を見れば分かるが、2005年前後を境に、特に「購入頻度」の値が減少傾向を強めている。景気後退はもう少し先なのであり、直接起因とは成りえない。この減少の理由を考えると、やはり携帯電話をはじめとするモバイル系情報端末の普及が少なからず影響していることが容易に想像できる。

それとは別に基本的な問題として、「平均すると一か月・一人あたりの雑誌や週刊誌に費やす金額」は昔からさほど変わりなく、この20年に限っても100円玉1枚に10円玉を何枚上乗せできるか否かという程度であることが分かる。先の記事でも「これしか買われていないのか」と驚きの声を挙げる人もいたが(当方含む)、それは「出版関係者」や「普段週刊誌を買っている立場の人」からの感想でしかない。

その視点で見返すと、「一人でも多くの人に定期的に購入してもらうこと」がいかに大切か、重要かが理解できる。そしてそれと共に、毎週数百万部を売り上げる一部週刊誌の偉大さが、改めて分かるというものだ。

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