1987年がピーク、2022年では過去最少値を更新…新聞の推定読者数の推移と今後予想(最新)

2024/01/18 02:44

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2024-0102先行する記事【新聞の発行部数動向(最新)】【戦中からの新聞の発行部数動向(最新)】で、日本新聞協会による公開値を基に、日本の新聞発行部数について複数の視点からその動向を確認した。今回はそれら公開データなどを用い、推定レベルではあるものの、「新聞の読者数」の推移を試算することにした。

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駅売りやスタンド売り、事業所での購入事例もあるが、新聞発行部数総数の動きは、おおよそ購入世帯数推移と連動・比例していると見て問題はない。

↑ 新聞発行部数(種類別、万部)(再録)
↑ 新聞発行部数(種類別、万部)(再録)

一方日本新聞協会側では【新聞の接触・評価に関するデータ】で解説している通り(特に「購読世帯内の回読人数」の部分)、「1部の新聞は複数の人に読まれているので、読者数は単純な発行部数よりも多くなる」とし、これを「回読人数」と定義している。要は「回し読みまで含めた総読者数」。

この「回読人数」は調査する新聞社によって違いが生じているが、各新聞社の試算推定を併せ見ると、2.0人から2.5人程度となる。スタンド売りや事業所購入事例もあわせ、(フェルミ推定レベルではあるが)以前【世帯平均人数は2.25人…平均世帯人数と世帯数の推移(最新)】で取り上げた「平均世帯人員」数と同じと試算できる。要は「新聞読者はすべて世帯ベースで、その世帯では構成員全員が新聞を回し読みする」とする仮定である。

世帯構成員で実質的に新聞を読まない人(読む意欲が無い以外に、乳幼児なども含む)がいること、スタンド売りの購入は原則回読人数が1人であることを考えると、やや甘めのカウントとなる。一方で事業所購入やホテル、美容院など商用施設での購入は「平均世帯人員」数を超える人が回読人数になると予想されるため、併せるとプラスマイナスゼロに近いと考えても違和感はない。あくまでも概算値を出せばよいので、細かい点まで確認しはじめたらキリがない。

ともあれ、新聞発行部数について朝夕刊を1部と数えるようになった1956年から、直近の「国民生活基礎調査の概況」で平均世帯人員数が公開されている2022年分まで、新聞発行部数と平均世帯人員数を乗算。その上で、1956年時点の結果を1.00(基準値)とし、その変移を見たのが次のグラフ。

↑ 新聞推定読者数(1956年=1.00)
↑ 新聞推定読者数(1956年=1.00)

あくまでも「試算」前提による結果だが、読者数(回読人数)のピークは新聞発行部数ピークの1997年よりも10年前、1987年に起きていたことになる。世帯構成人数の減少度合いが、新聞発行部数(≒購読世帯数)の増加を上回ったのが主要因だろう。それ以降は何度かの起伏を経ながら、全体的には減少、21世紀に入ってからは下降速度を強めているのが見て取れる。

直近となる2022年は0.65。基準値を下回っている。ピークとなる1987年以降では2017年以降6年連続して基準値割れ。そして過去最低値を更新する形となった。

↑ 新聞推定読者数(1956年=1.00)(多項式近似曲線・次数=5を追加・2028年まで延長)
↑ 新聞推定読者数(1956年=1.00)(多項式近似曲線・次数=5を追加・2028年まで延長)

このグラフから導き出された推定の通りなら、2028年には新聞の読者数はほとんどゼロとなってしまう。さすがにそれはないだろうが、それぐらいの勢いで読者が減っているのに違いはない。

これはあくまでも推定・試算のレベルでしかない。さらにいわゆる「押し紙」は反映されていないため、現状はもっと厳しいものと予想される。直近年の2022年では最低値を更新し、未知なる領域に突入する形となった。今後新聞業界がダイナミックな改革を成し遂げ、カーブを上向きにさせるかじ取りを行わない限り、この推定は当たらずとも遠からずのものになるだろう。


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