ユーロ諸国の格下げが響く、周辺国にも影響が(国債デフォルト確率動向:2012年1月)

2012/01/15 07:03

2010年12月17日付の記事を皮切りに、経済動向を推し量るのを目的とし、債権リスクを示す指針の一つCPDを元に、主要国・地域の国公債のデフォルト確率上位国を1か月単位で確認している。今回は2012年1月分として、15日時点での数字をグラフ化してみることにした。

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国公債のデフォルト確率を表すCPD(5年以内のデフォルト可能性)そのものの細かい定義、データの取得場所、そして各種概念は一連の記事まとめ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で解説済み。そちらを参照してほしい。

今件のグラフは日本時間で2012年1月15日、つまり(日本時間で)本日取得したばかりの一番新しいデータで生成している。前回も掲載されていた国・地域については前回値を併記している。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2012年1月15日時点)

いわゆる「ジャスミン革命」「Facebook革命」と呼ばれた中東近辺の連鎖反応的動乱は、「ロンドン暴動」「イスラエルの大型デモ」、さらには現在も進行中の「Occupy Wall Street」運動などへも飛び火したが、結局のところ(背景や表現の仕方に違いはあれど)前者は「モバイル端末」と「相互情報の容易なコミュニティ」というツールで形成された、主に若年層による「エネルギーの発散」の形で収束しつつある(【「ジャスミン革命」の発端地、チュニジアの今】などのように、結局「救われるべき」事態が悪化しているとの評価もある)。一方後者は格差是正を求める声の高まりから全世界的な流れを見せる一面もあるが、同時にその行動自身が、社会的混乱を狙う勢派に悪用されたり、救うべき人々の生活をより困窮化させる事態も巻き起こしている。

ユーロ圏の格下げを伝えるニュース一方で債務問題の悪化を起因とした欧米通貨、特にヨーロッパ方面のユーロをはじめとした各通貨への信頼性への揺らぎは続いており、これがここ数か月の間の極端な(特に対ユーロにおける)円高の一因でもある。先日、【S&P、仏などユーロ圏9カ国一斉格下げ:識者はこうみる(ロイター)】などが伝えているように、格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)がユーロ圏9か国の格付け引き下げを行い(【European Sovereign Ratings and Related Material(S&P)】)、昨今の懸念が具体的な格付けの変動として現れた形となった。とりわけ今件の格下げで、1段階の引き下げを受けて最上位の「AAA」を失ったフランス、2段階の引き下げを受けたスペインが、「急速なリスク拡大」リストにも名を連ねている(ちなみにフランスのCPDは17.56%、スペインは30.29%)のが目に留まる。

今月分のデータでは最上位のギリシャをはじめ、ユーロ圏(EU圏にあらず)の主要国は高止まり、むしろやや減少の動きすら見せているが、代わりに周辺諸国、例えばウクライナやハンガリーの値が大きく上昇しており、ユーロ圏のリスクが周囲に浸透している感は否めない。S&Pの格下げがCPDに影響を与えるとすれば、その動きは早くて数日後に確認できるはずだが、来月の動向がやや不安視される。

なお日本の国債に対する値は4半期ごとに更新されるCMD Visionのリスクレポートの最新版【2011年第3四半期リスクレポート(CMA Global Sovereign Debt Credit Risk Report、PDF)】で確認できる。それによると、CPDは11.3%・格付けはaa-で順位は18位。2011年第2四半期の値がCPD値7.3%・格付けaa・順位23位なので、状況は悪化、世界各国との相対的なリスクは減少したことになる。少々妙な結果だが、トップを行くノルウェーですら、CPDが1.9%から4.4%に悪化しているなど、世界全体的に経済状況の悪化とリスクの上乗せが起きているのが分かる(【昨今の国債・公債のリスク増大の動きをグラフ化してみる】。ちなみに直近データでは11.10%に低下している)。

ヨーロッパの債務問題はギリシャやイタリア、スペインなど大きな債務を抱える国自身だけでなく、複雑に絡み合った状態で日々状況の変化を起こしている。このような不安定感を受けて金融市場は総じて軟調にあり、これがさらに関係諸国だけでなく先進国・新興国を問わず世界各国の経済を足踏みさせている。主要国の格下げという事態が発生したこともあり、これまで以上に気を引き締めて市場動向の確認に臨まねばなるまい。


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