豊作に伴い穀物、油脂、砂糖の価格が急落(2011年12月分世界食糧指数動向)

2012/01/13 12:00

国連食糧農業機関(FAO)発表が公式サイト上で定期的に発信している情報の一つに【世界食料価格指数(FAO Food Price Index)】がある。この値が昨今、高い水準を維持し続けている。この値は1990年以降、FAOが世界の食料価格の月ごとの変化を監視・統計した上で発表しているもので、これは世界的に食料価格が上昇を続けていることを意味する。そこで当サイトでは定期的にデータの更新・グラフの再構築を行い、世界情勢との連動を精査できる材料を構築している。今回はその2011年12月分の反映版である。

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今記事のデータ取得元および用語の解説については、一連の記事のまとめページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で詳しく解説・説明を行っている。そちらでチェックをしてほしい。

まずは、収録されている全データを使った折れ線グラフを生成する。中長期的な食料価格の変移概要がつかめる、資料性の高いものだ。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2011年12月)

砂糖は元々相場変動性の高い食料品のため変動が激しいものの、それ以外は2005年前後までは50-150の領域でほぼ留まっていたことが分かる。ところが先の「サブプライムローンショック」に始まる2007年以降の市場動乱を皮切りに大きなうねりを見せ、全体的に上昇傾向にある。特に「サブプライムローンショック」の急上昇とその後の大きな反動による下落の後に起きた「リーマンショック」(2008年9月)以降は、全体的に上昇する一方。ただし昨年後半期からは種類によって下げ率に違いはあるものの、食肉を除き減少する動きを見せている。

目に留まる点として一連の金融危機の前に起きた、2005年後半あたりの砂糖の高値がある。これは干ばつによる砂糖の不作(ブラジルやタイなど)に合わせ、新興国での需要拡大が目覚ましいものになってきたこと(生活水準が向上すると甘味の需要が増える)、さらには原油価格の上昇に伴いエタノール利用度が高まり、エタノールの原材料となるサトウキビへの需要が増加したのが原因。当時は「25年来の最高値」と大きな騒ぎとなったが、昨今はそれをはるかに上回る値を算出し続けており、そのような言い回しも無意味なものとなった。

続いて、2007年以降に期間を絞り、直近の金融危機以降の動向が分かりやすいものに生成し直したものがこちら。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2011年12月)

砂糖の2010年初頭からの急落ぶりが目立つが、これは元々過熱感のあった相場に対し、豊作が伝えられたをきっかけにする反動の結果。しかし価格上昇の原因である需要の拡大(新興国、特に中国)に伴う需給バランスの不安定感が解決するはずも無く、再び上昇をはじめている。昨今では高い領域での上げ下げを繰り返している状態。

今回計測月となる12月においては多くの値で11月同様に下げる動きを示している。12月の総合指数211.0(暫定値)は昨年10月(205.0)以来の低い基準。リリースでは「穀物や砂糖、油脂の豊作に伴う国際価格の急落が原因」と説明している。

昨今の食料価格の上昇ぶりを確認するため、各指標の前年同月比・前月比を併記し、数字の変移が分かりやすいようにしたのが次のグラフ。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2011年12月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2011年12月)

直近月の前月比では直上で触れているように、豊作に伴い穀物、油脂、砂糖の価格が急落しているのが明確に分かる。特に砂糖は2割近くもの下落が起きている。前年同月比でも似たような動きを見せており、食肉の上昇が余計に目立つ。リリースでは今月の動きについて「トウモロコシをはじめ、小麦、米共に豊作によって価格が下がり、穀物の値を押し下げた」「ヤシやヒマワリの油などが油脂の供給を大きく支え、需要を十分以上にカバーした」「砂糖の急落はインド、EU、タイ、ロシアなど主要生産国での豊作に伴い、供給過多が懸念されることを受けてのもの」などと説明している。

冒頭にもある通り、直近では食肉を除くと昨年後半からやや減少=値下がりの動きが確認できる。食品群の値下がりは調達を容易にするものだが、その原因が豊作や生産量の増大、在庫放出だけでなく、多分に「経済後退で需要が減ったから」でもあることから、そして価格の急変は生産・販売側の経済事情をも大きく変動させうることから、素直に喜ぶわけにもいかない。



食料価格の上昇は新興国における需要の急速な拡大に加え、バイオエタノールの材料に転用される問題、天候不順や地力減退による不作、さらには商品先物市場への資金流入に伴う相場の過熱感と合わせ、価格が安くなる要素を見つけにくい。大きな需給関係のバランスを動かす事態が発生しない限り、中期的には値を上げ続けることになる。一方でここ数が月は先進諸国、そしてそれに連動する形で新興国の経済上の歩みの乱れが需要減を、そして幸いにも複数種の作物における豊作を起因とする供給増が、価格下落を導いている。現在は数少ない「価格が安くなる要素」が発動している状況。

一連の記事からの繰り返しになるが、食事のベースとなる穀物価格、そして贅沢品のベースとなりやすい砂糖や油脂の高騰は、社会情勢を不安化させる要因となる。昨今の世界各地における情勢不安・差別化問題に対する運動拡大化も、要因の一つに食料価格の上昇があると考えるのが道理。それだけに食料価格を世界的な視点で眺められる世界食料価格指数には、十分な留意が求められよう。

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